沖縄県内に259店舗を構えるローソン沖縄の代表取締役社長、中西淳さん。10代の頃は料理人を志しましたが方向転換し、摂南大経営情報学科(現:経営学科)でシステムと経営を学びました。「遠回り」したことでお客様目線で考えられるようになり、「現在の失敗は未来の成功に転じる」と話します。現在の失敗は将来の成功に「遠回り」が生きた、お客様目線での商品開発03FLOW|No.104|August, 20231987年1989年1991年1993年1995年2020年〜現在 ローソン沖縄 代表取締役社長 「若い頃は料理人になるのが夢でした」と話す中西さんは、高校卒業後に調理師の専門学校に入学しました。そこで知識とスキルを身につけ、料理人として歩み始めましたが、過酷な労働環境から体調を崩し、別の道へ進もうと摂南大経営情報学科に入学しました。「他の人より『遠回り』しましたが、システムと経営が切り離せなくなった昨今、大学で経営情報学を学んだ経験は大きかったです」。 沖縄県でスーパーマーケットを展開するサンエーに入社後は、同社が経営する店舗の店長を務めました。続いて、大型店舗出店の際に外食部門を直営で出すことが会社の方針で決まり、責任者として本社に異動しました。外食はいったん、諦めた道でしたが、自身の経験が役に立つのならと、直営外食店舗の立ち上げに尽力しました。その後、スーパーマーケット部門の責任者を任されると、特に料理をする主婦なかにし・あつし■兵庫県出身摂南大学経営情報学部経営情報学科(現:経営学部経営学科)卒富士製版印刷入社サンエー入社同外食部部長同常務取締役同専務取締役ローソン沖縄代表取締役社長の目線を意識し、肉や魚の切り方や大きさ、必要な量にこだわりました。料理人を志した時代があったからこそできた考え方でした。また、沖縄の食文化の特徴を生かして具体的に商品に落とし込むことを常に考えていました。サンエーは肉と魚の製造工場を持っており、印刷会社で学んだ工程管理や大学で学んだフローチャートなどの知識がシステム構築に役立ちました。 中西さんが現在、代表取締役社長を務めるローソン沖縄は県内に259店舗(※)を展開しています。沖縄県のコンビニは物流面などの事情から現地法人が運営しており、同社はサンエーとローソンの合弁会社です。最近では競合他社の出店が増え、人口1万人あたりの県内のコンビニ店舗数は全国的に見ても上位になり、激しい戦いになっています。 安定した経営には地元のお客様と観光客のニーズに応えることがカギとなります。そのため、商品として具現化することや愛される店舗展開・経営を心掛けています。 そんな中西さんが後輩たちに伝えたいメッセージは「現在の失敗は将来の成功に」です。「料理人としての修業の時間は一見遠回りでしたが、だからこそ成功したことがたくさんあります。今は失敗と思うことでも将来は成功に転じさせるような、そんな生き方をしてください」。中西さんならではの力強いメッセージです。料理人の視点生かし 顧客目線に立つコンビニ競争激化も 地域に愛される経営を中西さんが手掛けた直営外食店舗※2023年7月末時点。中西 淳さん
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