06May, 2023|No.103|FLOW犯罪者たちの格好のターゲットになるはずです。おそらく、AI(人工知能)によって作られたホンモノと見分けがつかない巧妙なフィッシングメールやフィッシングサイト、チャットボットが使われ、更に被害が増えることでしょう。 現在、私はサイバー犯罪者のアトリビューション(意図/動機、能力の分析による犯罪者の特定)に用いる分析モデルの研究を欧州犯罪学会サイバー犯罪研究部会に所属する世界の犯罪学者たちと共に進めています※。 近年話題となっているAI、暗号資産、メタバース(3次元仮想空間)、NFT(非代替性トークン)、ダークウェブといった新たな情報通信技術は、今後、サイバー犯罪者のTTPsに影響を与えるでしょう。これらの動きについても、警察をはじめとした関係機関と情報共有をしながら、その対策についても検討しています。※=科研費:2018-2022年度は基盤研究C「サイバー犯罪のリスク発見・判別支援の為の統計的プロファイル分析モデルに関する研究」、2022-2024年度は基盤研究C「サイバー犯罪情報分析に用いるアルゴーコーパスの構築と国際運用スキームに関する研究」 サイバー攻撃やサイバー犯罪は、企業の信用やマーケティング活動に与えるダメージが大きく、消費者の生活にも深く関わっています。そのため経営学部の学生には、サイバーセキュリティやリスクマネジメントといった「守りの経営学」についても関心を持ってもらいたく、日々の教育活動にも力を入れています。「守りの経営学」につなげる(図4)サイバー攻撃者による攻撃の手口を可視化した例地元小学校で開いたサイバー防犯教室の様子。コロナ感染防止のため小学校の放送室よりリモートで実施した不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反他人のID・パスワードを悪用したり、アクセス権限のないコンピュータを利用する犯罪のこと■フィッシングサイトの開設■フィッシングメールの送信■ID・パスワードの不正取得、不正保管等コンピュータ・電磁的記録対象犯罪電子計算機損壊等業務妨害罪・電子計算機使用詐欺罪等■ホームページのデータを無断で書き換える■金融機関などのオンライン端末を不正操作し、無断で他人の口座から自分 の口座に預金を移す行為等不正指令電磁的記録に関する犯罪コンピュータ・ウイルス(不正指令電磁的記録)の作成・併用罪等が不正指令電磁的記録に関する犯罪■他人のパソコンのデータを破壊するためのウイルスを作って保存する■ネット上で事情を知らない人にウイルスをばら撒く行為等ネットワーク利用犯罪犯罪の構成要件に該当する行為について、インターネット等を利用した犯罪又は構成要件該当行為ではないものの、犯罪の実行に必要不可欠な手段として、インターネット等を利用した犯罪■ホームページ上で他人を誹謗中傷する名誉毀損事件■電子掲示板などで犯罪予告を行う脅迫事件■インターネットオークションでの詐欺事件■電子掲示板に販売広告を掲示して覚醒剤を販売した覚醒剤取締法違反事件■わいせつ画像・児童ポルノ等を不特定の人に閲覧させた事件等ダークウェブ上で偽造旅券等が取引されているサイトを発見し調査している様子(撮影:針尾研究室にて)(図5)サイバー犯罪とは(出典:大阪府警察ホームページ)Hario Lab TOPIC「気をつけようSNS」小中学校でサイバー防犯教室 針尾ゼミでは学生有志を中心に、大阪府下の小中学校で児童・生徒を対象としたサイバー防犯教室を開いています。ソーシャルメディアの危険性や犯罪に巻き込まれないための防犯策を学んでもらうことが目的で、大阪府警の支援も受けています。
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