摂南大学 経営学部 経営学科04May, 2023|No.103|FLOWTTPsToolsNetwork/Host ArtifactsDomain NamesIP AddressHash Values 私が情報通信技術に興味を持ったのは、子供の頃に見たテレビ番組がきっかけでした。日本の戦国武将たちが戦況の把握や各地に散らばる兵士に指示を送る際に用いた狼煙や飛脚、18世紀末の欧州を戦場とした戦いでナポレオンを勝利に導いた腕木信号機。こうした情報を伝える方法やテクノロジーが世界を変えてきたということに衝撃を受けました。大学で、意思決定行動に関するゲーム理論を学んだ後、大学院では、ひとの心理・行動情報を収集・解析するための情報通信技術や仕組みについて研究しました。 大学院に在籍していた2001年、アメリカの移動体情報通信技術(無線技術など)の開発動向やIT産業支援制度について調査するため、ニューヨーク州にあるホフストラ大学を拠点に活動を行いました。ニューヨークで同時多発テロが起きたのは、この活動を終え帰国した直後のことで、そこから「Human Security(人間の安全保障)」を意識した研究に取り組むようになりました。 専門としているのは、情報学(サイバーインテリジェンス、プロファイル分析)で、サイバー空間のさまざまな脅威(サイバー攻撃集団の動向や手口など)について研究しています。情報通信技術の普及に伴い、国や企業は情報を電子データで保有するようになりましたが、近年、これらの情報を狙ったサイバー攻撃が急増しています。攻撃の手口やサイバー攻撃者の能力、関連組織などについて情報を収集・評価・分析するプロセスや体制をサイバーインテリジェンスと言います。 また、サイバー攻撃を受けると被害者側に痕跡情報が残ります。犯行現場に犯人の足跡や指紋が残ることと同様です。この痕跡情報を、例えば、The Pyramid of Painと名付けた階層図を使って分類します(図1)。ピラミッドの頂点に近い層ほど、攻撃者の特定につながる有用な情報になるのですが、こうした情報を用いた特定作業をプロファイル分析と呼んでいます。痕跡情報手がかりに分析はりお・だいじ ■1997年同志社大学商学部卒業、2006年早稲田大学大学院国際情報通信研究科博士課程修了。早稲田大学国際情報通信研究センター助手、講師として、心理情報プロトコル分析等の研究に従事。2007年摂南大学経営情報学部(現:経営学部)准教授。2021年から現職。大阪府警察サイバーセキュリティアドバイザー。欧州犯罪学会サイバー犯罪研究部会メンバー。博士(国際情報通信学)。公認心理師。長崎県出身。のろしTTPs: Tactics, Techniques, and Procedures(図1)The Pyramid of Pain針尾 大嗣教授
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