かこい・はやとヤンマーホールディングス 内定大阪工業大学 専門職大学院 知的財産専攻 専門職学位課程2年もともとは人前で話すのが苦手だったと話す栫さん。「それでも挑戦してみよう」と臨んだ学会発表での経験が自信につながりました。学部と専門職大学院の課程で学んだことを生かし、将来は「特許や商標を戦略的に活用していきたい」と、今春からヤンマーで新たな一歩を踏み出します。01FLOW|No.102|March, 2023栫さんが大阪工大知的財産学科に入学したきっかけは就職に有利だという親戚の勧めで、当初は知的財産権については「なんとなく知っている程度でした」と笑います。そのため、これが勉強したいという明確な目標は立てなかったものの、勉強を進めるうちに面白さを覚えるようになりました。特に印象に残っているのは特許について学んだ時で「戦略的に特許を取らない選択をする事例があることに衝撃を受けました」。特許は取得することがゴールなのではなく、取得する・しないという選択も含めてうまく活用することが重要なのだと気が付いた瞬間でもありました。 そうした学部時代の学びを発展させ、専門職大学院では商標や特許を専攻。2021年11月に開催された日本知財学会の第19回年次学術研究発表会では「新型コロナワクチンの特許問題についての考察」をテーマに発表しました。まさに現在進行形のホットな技術について、企業の知的財産権を保護するのか、公共の利益のために特許を開放するのか、それぞれのメリットとデメリットを詳細なデータをもとに考察し、学生優秀発表賞に輝きました。実は栫さんにとって学会発表はこの時が初めてで、「そもそも人前で話すことも得意ではありませんでした」。学会発表に参加したのは苦手を克服したいという思いもあってのことで、今回の受賞は自信につながったと胸を張ります。 学業に励む一方で、友人と過ごす時間を大切にしていた栫さん。大学生活の半分がコロナ禍に見舞われ、たわいもない話や一緒にご飯を食べて楽しむ日常のありがたさを痛感したからです。友人とご当地グルメを堪能したのは良い思い出だと話します。 就職活動では、約20社の面接を受けました。一筋縄ではいかない部分もあり、周りが次々に内定を決めていく中で焦りを感じましたが、次第にどの企業からも必ず聞かれる質問や深掘りされる部分がつかめるように。ポイントを押さえて準備を行うことで余計な緊張がなくなり、しっかり受け答えできるようになりました。最終的には2社から内定を得て、ヤンマーへの就職を決めました。配属先は未定ですが、大学で学んだことを生かし、将来は「特許や商標を取るだけではなく、会社の技術や財産をいかに活用するか、保護していくかを戦略的に考えられる人になりたい」と夢を語ります。 大学生活を振り返って、栫さんが後輩に一番伝えたいことは、苦手なことでもまずは挑戦してみることだと語ります。「苦手意識のあることにチャレンジするのは勇気がいるでしょう。けれど、結果は求めずにまずはトライしてみること。あきらめず続けていけば結果はおのずとついていきます」。栫さんらしいエールです。友人らと淡路島で(右が栫さん)巻頭特集2023「苦手」を克服して学会発表で得た自信知財の戦略を考える人材に新卒生からの「エール」栫 隼斗 さん
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