常翔学園FLOW100号
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いのうえ・すすむ ●14代学長。1982年京都大学工学部交通土木工学科卒。1984年同大学院工学研究科交通土木工学専攻修士課程修了。同大助手、講師を経て1995年大阪工業大学助教授に。2002年教授。八幡工学実験場長、構造実験センター長、工学部長、大学院工学研究科長、教務部長を歴任。2021年11月から現職。博士(工学)。京都府出身。大阪で土木・建築分野の人材育成を使命としてスタートした学園は、創立時から地域貢献、社会貢献という役割を担いました。働きながら学ぶ学生たちを支えた先人たちの苦労がしみ込んだ100年です。この歴史を引き継いだ本学は、技術者教育で関西での評価が定着し、これからも社会からの期待は大きいと感じています。地下鉄や御堂筋など学園の先人がかかわったインフラなどが今も大阪近辺にいくつも残っており、本学の新入生たちは自校史教育で学び、誇りに感じています。1949(昭和24)年に開学の本学の70年以上の歴史を振り返ると、1986(昭和61)年の構造実験センター開設は偉業でした。当時、私は京都大にいましたが、開所式典で初めて見て「凄い」と思いました。土木構造系の研究者には理想的な実験施設で、多くの企業や役所もこの施設の大きな恩恵を受けてきました。私もその魅力に引かれて本学へ移って来たとも言えます。次に大きな節目は2016(平成28)年の梅田キャンパスOIT梅田タワーの竣工です。学園の新たな顔となりました。大阪駅から徒歩5分の抜群の立地ですが、もっと認知されるように使い方の新たな工夫をしていきます。また、本学の社会貢献を象徴していたのが開学以来続いた第Ⅱ部(夜間)の授業で、「働きながら学ぶ」という建学の理念を体現しました。J-Vision37に基づく将来像で強調したのは、関西に根差した理工系総合大学という独自のポジションを確立することです。長期目標では、学修成果の可視化による教育の質保証を更に進め、産官との連携による教育・研究の充実と社会貢献、最先端の知識と技術を活用した教育・研究の高度化に力を入れます。本学の強みと魅力は、しっかりした技術者教育によって現場での即戦力、つまり理論に裏付けられた実践的技術を持った卒業生を送り出し続けてきたことです。その姿勢は変えるべきではありません。そのうえで、外部の多くの研究資金を獲得している生命工学系や応用化学系などの最先端の研究も新たな魅力であり、もっと社会にアピールしていく必要があります。学園内連携では摂南大農学部などとの異分野の研究連携が増えており、今後も推進します。教育DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることで、3大学の教育コンテンツを共有し、他大学の科目を履修する連携も進むでしょう。摂南大や広島国際大にしかない授業を受けることで、学生が新しい教員免許や資格を取る可能性を広げていきます。社会連携では梅田キャンパスをリカレント教育(社会人の学び直し)の拠点にしていくことも検討しています。100年後は何でも便利になり、街では人が空を飛んで移動しているでしょう。そんな社会を技術で支える人材を育てる「技術の大学」として大阪工大があり続ける未来を、私は思い描きます。教育DXで学園内連携を推進大阪工業大学1940(昭和15)年に開校した関西高等工業学校をルーツに1949(同24)年、新制大学の摂南工業大学として開学、半年後に大阪工業大学に改称。現在、4学部17学科に7509人、大学院4研究科に575人が学ぶ(※1)。大宮、梅田、枚方の3キャンパスに加え、京都府八幡市に全国有数の規模を誇る八幡工学実験場を有する。英国の高等教育専門誌「THE(Times Higher Education)」の2022年「THE世界大学ランキング」で、前年に引き続きランクイン(1201+位)。2021年度実就職率ランキング(卒業生1000人以上)で全国4位、関西1位(※2)。(※1)2022年5月1日現在。(※2)7月20日現在 大学通信調べ。 学長・校長メッセージ大阪工業大学学長 井上 晋偉業だった構造実験センター開設理工系総合大学のポジション確立へMessage from the president / principal20October, 2022|No.100|FLOW我が校の未来へ 踏み出す一歩

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