常翔学園FLOW100号
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■ 真貝寿明・大阪工大情報システム学科教授  分野=理学(物理学)1 光格子時計で地下資源探査も 光格子時計の小型化が実現し、18桁精度での時間測定が普通に可能になる。GPS衛星も3桁精度向上し、人類は現在よりも3桁精度の高いデバイスに囲まれて生活することになる。一般相対性理論が導く重力による時間の進み方の遅れから、高度計測は光格子時計に置き換えられ、重力異常を検知することで地下資源探査も進む。2 宇宙進化をシミュレーション可能に実現可能性 80% 宇宙誕生から現在までの進化の様子は、量子コンピュータを用いたシミュレーション研究が可能になり、銀河中心の巨大ブラックホール誕生の経緯まで含めて明らかになる。また、逆問題として現実の銀河や星の分布を説明する宇宙モデルが議論されるようになる。同時に、極低温凝縮物質を用いた相互作用をコントロールできる重力多体の実験も可能になり、宇宙進化を実験として体験できる博物館が登場する。3 ペットと会話■ 藤元章・大阪工大工学部一般教育科教授  分野=物理学1 宇宙エレベーター実現可能性 30% ロケットの全体の質量の約8割から9割は、化学燃料と言われています。化学燃料は発射時の爆発の危険性もあるので、代替技術として宇宙エレベーターが提案されています。地上から36000kmの高さの宇宙ステーションがあれば、36000kmの長さのケーブルが必要となります。そこにクライマーと呼ばれる乗り物がケーブルをつたって昇降することになります。現在のエレベーターに使われている鉄鋼のケーブルを宇宙エレベーターに用いると相当重いので、軽くて丈夫な素材であるカーボンナノチューブを宇宙エレベーターの素材に用いることが提案されています。大林組がこの宇宙エレベーターの構想を発表しています。2 室温超伝導の実用化 発電してから各家庭に送電するために、抵抗のジュール熱によるエネルギーロスが生じないので、電気代は安くなるはずです。火力発電所や原子力発電所で、たくさん発電しなくてよいということになります。歴史、社会、地域■ 川田進・大阪工大工学部総合人間学系教室教授  分野=国際関係論、アジア地域研究1 アフリカ大陸でオリンピック・パラリンピック実現可能性 80% 五輪マークは、五大陸の団結と世界中の選手が大会に集うことを表現したものであるが、人類はまだアフリカでの五輪開催を実現することができない。過度な商業化で高コスト体質が続き、ますますアフリカ大陸での開催を遠ざけてしまった。オリンピズムが掲げる根本原則の一つが人間の尊厳や人権であることを踏まえて、私は人種隔離政策アパルトヘイトが実施された南アフリカ共和国でコンパクトな五輪が開催されることを期待する。 ■ 浦野崇央・摂南大国際学科教授  分野=インドネシア地域研究・社会学1 インドネシアが身近に実現可能性 80% インドネシアは東南アジアの中で日本から最も遠い国です。100年後の未来には、飛行時間が短くなり、より近い国になると、お互いの交流も盛んになるのではないかと予想します。インドネシアは親日の度合いがとても強い国で日本フリークがとても多く、一度は行ってみたいという人がたくさんいます。2「先進国」や「発展途上国」の格差が無い世界に実現可能性 70% 今から100年後の世界では、「先進国」や「新興国」「発展途上国」あるいは「開発途上国」といった区分さえ、無くなることを願っています。インドネシアのジョコ大統領は貧しい家庭に生まれ、「格差社会」を無くすべく、貧困根絶のあらゆる施策の実行に邁進しています。■ 赤澤春彦・摂南大国際学科教授  分野=日本史学1 全国各地に残る古文書の適切な管理保存実は日本全国各地の名主などの村役人を務めた家や商家などにはまだまだ多くの古文書が眠っており、私たち研究者でも未調査、未発見の文書が数多くあります。しかしながら、古文書はいま深刻な危機に瀕しています。都市部への人口流出、過疎化によって、限界集落が増え、家の取り壊しとともに古文書が廃棄されたり、悪質な業者が二束三文で買い叩いたりするケースをよく耳にします。こうした地域の実像を示す貴重な共有財産でもある古文書をきちんと残す取り組みをしている博物館や自治体あるいは有志団体も数多くありますし、私もこうした活動の経験がありますが、散逸のスピードに追いついていないのが現状です。例えば科研費を用いて国と行政、博物館・資料館・文書館、研究者などが大きなプロジェクトを組むなどすれば良いと思います。■ 浅野英一・摂南大国際学科教授  分野=開発学1 消滅集落の棚田を守る実現可能性 50%長年、PBL活動として和歌山県すさみ町佐本地域という限界集落で学生と共に地域活性化を3つの軸にした活動を行ってきた。農業・観光・地域おこしのお祭りである。15年前までは限界集落であったが、高齢化が進み、消滅集落に近づいている。先祖代々からの棚田は耕作放棄地になり、鳥獣被害が多くなっている。現在は、多くの耕作放棄地が太陽光発電パネル棚田になっている。日本の現状から、消滅集落を限界集落に戻す手立てはなかなかないが、残された棚田を守るための方策を考えて行きたい。2 耕作放棄地を活用し観光客に朝採れ野菜実現可能性 50% すさみ町の道の駅内には、地元の「朝採れ」野菜の出荷量・出荷品目が少ない。耕作放棄地を活用し、観光客がたくさん買いに来る「付加価値のついた朝採れ野菜」を出せるように工夫し、地域経済と地域農業を発展させたい。3 サイクリング街道で地域おこし実現可能性 50%■ 西之坊穂・摂南大経営学科准教授  分野=経営学1 AIや仮想空間で画期的に  学習方法や働き方が変化実現可能性 100%【教育機関の変化】保育園から大学まで、世界中の様々な場所や環境でバーチャルに学ぶことができるだろう。例えば大学生は海外の提携大学の授業をバーチャルで受け、次の授業は企業と商品・サービスの共同開発をバーチャル上で行い、その市場性等をAIが算出するだろう。【企業での働き方】教育機関での実績がすべてデータ化され、マッチング率の高い企業で働くことになるだろう。企業での働き方も会社に出社するという概念や一つの企業で働くという概念はなく、複数の企業を掛け持ち契約した上で貢献度に応じた報酬体系で賃金を得る仕組みになるだろう。また、人は仕組みを考えたり、ビジネスアイデアを創発したりすることが主な仕事となるだろう。2 高い専門性とマッチングが重要な時代に実現可能性 80% 幼いころからの実績(関心や体験等)に基づく様々なデータから職務適性が導き出されて学習体系(基礎コースと専門コース)が設定され、プロフェッショナルへの道を歩む人が多い時代がやってくると思われる。■ 久保貞也・摂南大経営学科准教授  分野=経営情報学1 働くことが遊びの一つになる実現可能性 50% 仕事がつらいものになる原因には先が見えず、頑張りが評価されないからと17FLOW|No.100|October, 2022実現可能性 100%実現可能性 50%実現可能性 5%経済、経営、観光、法律実現可能性 3%アフリカで五輪 社会が

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