常翔学園FLOW100号
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イイ天気デスネ遊んでよ中、世界中の街がすべて「光合成建築によるグリーンシティ」になることを意図しているわけではありませんが、緑と水に恵まれた集落であれば、具体的に実現してほしい夢としてあげられると考えています。2 単独でエネルギー生成できる建築・街の実現 それぞれの地域に固有のエネルギー生成方法と建築デザインを組み合わせて、日本中、世界中の生活が自給できるようになれば、自然と人間の共生がより確実になっていくと考えます。「地域の多様な特色、例えば、傾斜地であれば高低差を利用し、川があれば川を利用し、水がなければ熱を利用する。古来の人間の知恵を新しい科学によって、より効率的にエネルギーに変換することで、自然に寄り添った多様な暮らし方が可能に。■ 長森英二・大阪工大生命工学科准教授  分野=工学、生物化学工学、培養工学1 持続可能型社会の実現     実現可能性 100%でないと困る 化石資源を人類が使い果たす前に、あるいは、二酸化炭素濃度の上昇による気温上昇が致命的なレベルになる前に、太陽光をエネルギー源とする持続可能型社会(炭素循環型社会、水素社会)をどうしても実現させる必要があります。太陽光発電等で消費エネルギーの化石燃料依存率が低下し、プラスチックなどの化成品は植物由来原料からバイオ技術で作られ消費されるようになります。■ 藤井秀司・大阪工大応用化学科教授  分野=工学・農業・建築・経済・環境1 生態系バイオミメティクスに基づく  自立可能な循環型社会 工学、理学、生物学、自然史学の連携により「材料系バイオミメティクス」が発展し、生物の構造、機能、プロセスに学んだ材料が開発されてきました。今後、■ 石川幸男・摂南大農業生産学科教授  分野=農学1 食料に占める昆虫由来タンパク質の割合が、  動物由来、魚類由来を超える実現可能性 70% 食料としての昆虫の育種が進み、大量、安価、迅速に生産ができるようになるとともに、栄養面においても動物や魚類より優れたものとなる。これにより、昆虫由来タンパク質の生産と消費が、動物や魚類のそれを超える。人口が現在の推定通りに増加するなら、世界における既存の食料では供給が絶対的に不足する。昆虫がその不足を補うだけでなく、好んで消費されるようになる。2 化学農薬(殺虫剤)の使用量が現在の10%以下に殺虫剤に依存しない害虫防除法が数多く開発され、実October, 2022|No.100|FLOW化学、生命科学、農学     実現可能性 ?%実現可能性 50%常翔学園3大学実現可能性 100%実現可能性 75%際の農業において広く普及し、防除の主力となる。天敵、微生物などを利用する生物的防除や光、熱、音(超音波)などを利用する物理的防除を組み合わせて行うのが特徴である。■ 池田裕美・摂南大応用生物科学科助教  分野=農学(動物科学)1 動物と会話可能に実現可能性 90% 動物行動学はヒトと会話することができない動物たちの気持ちをくみ取ることができる学問です。この学問の体系が確立されてからまだ100年も経過していませんが、その間に様々な研究者により動物の行動や心理、鳴き声との関連性など多様な研究が進められました。現在では、イヌやネコの鳴き声からヒトの言葉に変換できるおもちゃやアプリなどが開発されています。今後100年の間には行動や表情、生体信号などを利用し、より精度の高い機械が登場するかもしれません。ヒトの感情や生体信号などがイヌやネコに伝わるような製品も期待できます。誰もがドリトル先生のように自由に動物と会話する日もそう遠くはないかもしれません。2 精神状態を良い状態に保つ成分の発見実現可能性 80% 精神状態が悪くなると、うつ病や気分障害などの様々な精神疾患や、身体の状態も悪くなってしまいます。脳神経のどこかで異常が生じているのですが、ひどい場合は自らに、もしくは他者に危害を加える恐れもあります。このような状態を抑える、もしくは予防できるような栄養素が発見されると、精神的にも穏やかになることが期待できます。14アンケート材料のみにとどまらず、生物間および生物と自然環境間で起こっている相互作用、相補性まで思考を広げ、農林水産、都市設計等までバイオミメティクスの範疇に入れた「生態系バイオミメティクス」の潮流が大きくなることを期待しています。30億年以上の時間をかけて、数学、化学、物理の法則に従って進化してきた生態系に学び、100年後、自然のエネルギー(太陽光、風、波、地熱)を主エネルギーとする人間生活を実現したいと思います。■ 高松宏治・摂南大薬学科教授  分野=生物学1 地球外生命体の発見実現可能性 限りなく0%に近い 地球上に存在する全ての生物は、地球上で誕生した共通祖先から進化したと考えられています。このような地球型生物とは由来が異なる地球外生命体(生命の条件を備えた存在)が宇宙のどこかで発見されると期待しています。その発見で地球の生命誕生の謎や進化の歴史が明らかになると期待されます。2 人工生命体の創出実現可能性 100% 全てまたは一部の構成要素が人工合成された人工生命体(生命の条件を備えた存在)が創り出されると思います。軍事利用も考えられ、地球環境に修復不可能なダメージを与える恐れもあります。3 ヒトの全遺伝子の機能解明動物語翻訳機動物と自由に会話も動物と自由にに会話もも

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