常翔学園FLOW100号
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健康体です■ 松尾康光・摂南大生命科学科教授  分野=環境・エネルギー1 光合成でエネルギーを自給する街 22世紀には、石油・石炭・天然ガスなどの枯渇資源を利用する時代は終息し、棄てられる伐採植物や廃棄野菜の光合成初期過程を利用して、生物からリアルタイムに水素を得る「自然と共生できる新エネルギー」が市場へ導入されることが期待されます。この水素は各家庭の光合成パネル(屋根、窓、壁)から生成でき、分散型発電となるので、災害に強いエネルギー源となり、さらに多くの家庭で利用されれば、「光合成でエネルギーを自給できる街」が実現します。これは、20世紀に発展した電子(エレクトロン)を主体とした「エレクトロニクス」と同じように、21世紀の水素イオン(プロトン)を活用する「プロトニクス」の急速な発展によりもたらされるでしょう。これに伴い、環境負荷を気にせずエネルギーを利用できる社会につながるでしょう。建築、デザイン■ 赤井愛・大阪工大空間デザイン学科准教授  分野=プロダクトデザイン 1 視覚障害の有無にかかわらず、  風をきって歩ける社会に実現可能性 99% 以前、盲導犬ユーザーの方からうかがった「盲導犬と暮らすようになって、風をきって颯爽と歩く感覚を久しぶりに味わえた」というお話がずっと心に残っています。高齢化で視覚障害も増加傾向にある一方で、国内で活躍する盲導犬は約850頭(2022年時点)。現在、様々な技術を駆使し段差などの危険を察知する新たな白杖が各所で検討されていますが、白杖を持たずに周囲の状況を把握し安全な歩行が可能なデバイスやシステムがこの先の“普通”になることでしょう。2 障害の有無を超え、共に楽しみ学べる環境に実現可能性 100% 私たちの研究室では、視覚障害の有無にかかわらず楽しめる教材として、実際に訪れるのが難しく、光が届かない“深海”を題材にした空間型教材『深海エレベーター』を創出しました。16台の指向性スピーカによる音像の定位や移動と、アルゴリズミックデザインによる光の表現を活用し、海洋生物の生態を感じ、学ぶことができるというものです。このように障害の有無にかかわらず皆が対等な状態で体験や学びを共有し、楽しむことができる環境を、未来の子どもたちに渡せたら…と夢見ています。■ 吉村英祐・大阪工大建築学科教授  分野=建築1 建築資材の完全リサイクル実現可能性 100% 部品・部材の3R(Reduce・Reuse・Recycle)が建築の分野は大きく出遅れている。だが、2010年代から普及し始めたBIM(Building Information Modeling)は、設計段階から解体・再利用を考慮しておく易解体設計(逆設計)との相性がよく、BIMの劇的な進化と普及により、21世紀半ばには建築分野でも自動車業界並みの3Rが普及する。21世紀後半には、建築物の過半が易解体設計により建設されたものになる。易解体設計で建設された建築物の部材・部品は(現在のIoTが劇的に進化した方法で)完全に管理され、100年後の都市自体が超巨大な「建築資材庫」となり、建築資材の「自給自足」が達成される。2 建築関連法規のビッグデータ化実現可能性 80%建築分野に関連する法令の数と種類をすべて把握し、またそれらが相互にどのように関連しているのかを知ることが極めて困難ななかで、各法令がばらばらに制定あるいは改正されてきた。関連する全法令の全文と改正経緯をビッグデータとしてAIに読み込ませると、法令間の不整合、矛盾、重複、漏れなどの不備がすべて洗い出されるだけでなく、必要法令の数、各法令の条文数とも大幅に削減可能で、矛盾のない完全かつ合理的な法体系が完成するであろう。法令の一部を改正すると、関連した他の法令・条文の改正が瞬時に示される。■ 河野良坪・大阪工大建築学科准教授  分野=建築環境工学1 Simulation Driven Design実現可能性 90%以上設計は制約条件が多く一筋縄ではいきませんが、あらゆる情報を数値化することで、例えば、安藤忠雄先生らしさを持つ建築作品で、かつ、構造的合理性や省エネ性能を兼ね備えた建築を、敷地条件に合わせて自動的に生成することが可能になるのではないかと。私が行っている研究内容には、風・温熱・光といった目的に限定した最適化がありますが、多目的最適化とディープラーニング等の技術を組み合わせることで、技術的には優れた設計者の考え方そのものを構築することが可能になるであろうと思います。本質を理解されている意匠設計者の方々がご自身の設計にこれを活用することで、新しい優れた作品が実現します。■ 白鳥武・摂南大住環境デザイン学科准教授  分野=地球共生デザイン                     1 他民族や多文化の理解が広がる実現可能性 100% アイヌ民族や琉球民族文化がもっと日本中に広まり、その叡智が日常生活に普通に見られること。その美しい文化や風習により多くの人が触れられること。これにより多民族国家日本の本来の在るべき世界を皆が体験し、他民族や多文化を理解できることで、平和の豊かさを享受している。2 地球全体で考える共生教育の普及実現可能性 100%共生への教育が重視され、地球全体で物事を考える教育内容へのパラダイムシフトが起こること。ありとあらゆるコトとモノを地球全体の共生を基軸にしてデザインする考えが蔓延し、地球全体で考える教育内容へと教科書が塗り替えられる。3 地球内の争いの撲滅実現可能性 100%■ 川上比奈子・摂南大住環境デザイン学科教授  分野=建築・インテリア・デザイン1 光合成でエネルギーを自給する街 生命科学科の松尾教授との共同研究の理念・目的の延長にある夢です。日本13FLOW|No.100|October, 2022実現可能性 ?%実現可能性 ?%世界中の大学を受講医療胃袋チェック中学習アバターくらしの中に光合成でエネルギー光合成成でエネルギー

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