夢玉巻:いろんなことに挑戦する反田さんの今の夢は何ですか?「ホールもピアノもお気に入りに」 音楽との出会い・プロへの道反田:4歳からピアノを始めたのですが少し聴いただけで簡単に弾けました。それを母や周囲が喜ぶのを見てだんだん弾くのが楽しくなっていきました。玉巻:音楽を職業にしようと思ったのはいつごろからですか?反田:高校の進路を決める中学2年の時に、父と大げんかになったのです。ピアノもろくに練習していないのに、音楽学校に行くのはどういうことか? 普通高校、大学と進むべきだと。「音楽に進みたいなら1位の表彰状を持ってこい」と言われたので、負けず嫌いの僕は受けられるコンクールを片っ端から受け全部1位を取りました。それでやっと音楽高校に進むことができたのですが、「1位を取らないと見えない景色があるだろう」という父の言葉が今も忘れられません。 ショパンコンクール玉巻:ショパンコンクールは長い期間で、苦しいこともあったと聞いていますが、それをどう乗り越えたのですか?反田:乗り越えられた一番大きな理由は友達の存在でした。コンクールで競い合う仲間同士の支え合いです。後輩の角野隼斗さんや幼なじみの小林愛実さんらとお互い頑張ろうと声を掛け合っていたのが励みになりました。友達がどれだけたくさんいて、友達のことを想える感情の引き出しがある人が結果として残っていったように思います。 成長のために大切にしていること反田:1つ目は自分の直感です。演奏していて浮かぶアイデアや初めての感覚を大事にしています。2つ目は矛盾するようですが第3者的な物事を俯瞰する目です。アクセルを全開するだけでなくブレーキも持つ必要があると思います。リティーも素晴らしく、ホールの響きもすごく良くて、お気に入りのホールになりそうです」と常翔ホールとピアノを絶賛しました。1位を取らないと見えない景色がCross Talk 特別版 MBSラジオ公開収録01FLOW|No.99|August, 2022そりた・きょうへい ■1994年生まれ。2021年第18回ショパン国際ピアノコンクールで日本人では半世紀ぶりの第2位を受賞。2016年のセンセーショナルなデビュー・リサイタル以降、毎年定期的にリサイタルやオーケストラとのツアーを全国で行っている。2018年からは室内楽や自身が創設したJapanNational Orchestraのプロデュースも行っており、2021年5月からはオーケストラを株式会社で運営し、奈良を拠点に世界に向けて活動を開始した。また、2019年にはイープラスとの共同事業でレーベルを立ち上げ、2020年のコロナ禍ではいち早く有料のストリーミング配信を行うなど、クラシック音楽の普及にも力を入れている。2020年からは海外での演奏も増え、パリ、ウィーン楽友協会でデビューを果たし、2023年のシーズンはミュンヘン、カナダと活動の場を広げていく。また、若手の音楽家とファンをつなぐコミュニケーションの場となるような音楽サロン「Solistiade」も運営している。2014年チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院を経て、F.ショパン国立音楽大学(旧ワルシャワ音楽院)研究科に在籍。玉巻アナウンサーとのトークTalkingふ かん世界のピアノコンクールの最高峰、ショパン国際ピアノコンクールで昨年、日本人歴代最高位タイの第2位に輝いたピアニストの反田恭平さんが3月12日、大阪工業大学梅田キャンパスの常翔ホールでMBSラジオ番組「反田恭平Growing Sonority」(毎週月曜18時〜18時半)の公開収録を行いました。反田さんが2021年4月からパーソナリティーを務める同番組のスポンサーの1つが常翔学園であることから同ホールでの番組初の公開収録が実現しました。2週分の収録で約1時間半にわたって、これまでの音楽人生や音楽観、ショパンコンクールでの裏話など人間味あふれるトーク、学園の学生・生徒からの質問コーナーでの楽しいやり取り、更に最後にホール自慢のスタインウェイによる生演奏と、約100人の聴衆は世界的ピアニストとの中身の濃い時間を過ごしました。まだコロナ禍とあって公開収録の聴衆は学園設置中学、高校、大学のピアノや合唱などの音楽が好きな学生・生徒や学園関係者ら約100人に制限されました。世界的ピアニストに生で接する期待感で収録前から常翔ホールには静かな熱気が感じられました。舞台上にはスタインウェイのグランドピアノ、ラジオ収録用の見慣れない機材がセッティングされていました。アシスタント役はMBS毎日放送アナウンサーの玉巻映美さんで、3月21日放送分の収録が始まりました。 髪を後ろに束ねたヘアスタイルに口ひげという独特の風貌で「ピアノ・サムライ」の愛称もある反田さんの登場です。別のメディアのインタビューで「(西洋人にとっては)アジア人は顔が似ているので、ステージに出た瞬間に覚えてもらえるように」と答えていた反田さん。ショパンコンクールではその風貌だけでなく、ピアノの実力で瞬く間に世界の音楽ファンをとりこにしました。 通常の番組収録はMBSの東京支社のスタジオで収録します。反田さんは「公開収録は初めてで緊張はしていますがワクワクします」と言いながら、玉巻アナウンサーとのトークが始まりました。まず初めての常翔ホールについて「奇麗でびっくりしました。ピアノのクオ巻頭特集1人間味あふれる音楽トーク 100人の聴衆を生演奏で魅了コンクールでの心の支えは競い合う友人や仲間の存在ショパンコンクール2位のピアニスト反田 恭平さん×常翔学園の学生・生徒たち08
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