生徒が主語になる学校づくりと常に進化し続ける教師集団を■教頭から校長に就任されて、抱負をお聞かせください ─学園創立100周年の節目の年に大役を任され光栄に感じるとともに、その歴史の重みを考えると身の引き締まる思いです。北尾前校長らの下で大きく発展してきた流れを引き継ぎ、自分も地に足を着けた改革者でありたいと思っています。力を入れたいことは、まず生徒中心の学校づくりを推し進めることです。生徒の自主性を伸ばす指導に力を入れ、教員の指示を待つのではなく、生徒自らが動けるような学校を目指します。そのために変化を恐れず進化し続ける教師集団を育てます。■学校の強みと課題をどう認識されていますか ─本校の強みは、これまでの発展の大きな要因でもある、やる気があり元気な教員が多いことです。外に出て積極的に学ぼうとする姿勢も頼もしいです。職業観を生徒たちに養うキャリア教育や課題探究活動などが時代を先取りする取り組みとして教育界でも評価されています。一方、課題は大きく3つを挙げています。1つ目は新学習指導要領の流れでもありますが、生徒の主体性を重視し、教員ではなく生徒が主語になる学校作りです。2つ目は教員の働き方改革で、全教員が心理的により安全で元気に働ける職場を目指します。オーバーワークやメンタルケアに十分に対応したいです。3つ目はチームワークがあり、常に新しい指導法などを学習し進化し続ける教師集団作りです。■少子高齢化が続く中での生徒募集対策を教えてください ─ 幸い近年の生徒募集は好調です。大学進学実績が良くなっていることも大きいですが、その他に、15年以上前から力を入れているキャリア教育、探究授業、グローバル教育、1人1台のタブレットなどのICT積極利用などが生徒や保護者に認知されて、元気があり勢いのある学校をアピールできているからだと認識しています。この姿勢を維持し更に発展させることがこれからも重要と考えます。■今春の大学合格実績と今後の目標や入試対策についてお聞かせく ださい ─ まず「国公立大に100人以上の地域の進学校」という中長期目標は達成できており、今春も128人の国公立大(大学校・短大を含む)合格者を出しています。学園内大学への進学者は現在25%くらいですが、30%の目標に近づけたいと思います。次の目標は現在の進学実績を維持しつつ、教育先進校になることです。教育の中身を重視し学校の売りにしていきたいです。新学習指導要領でも重視されるアクティブラーニングや探究授業をする教員がどんどん増えていますが、校 長田代 浩和私は福岡県直方市出身で、中学3年から吹奏楽部に入り、高校3年間は吹奏楽にのめり込み、仲間とコンクール入賞を目指す日々でした。京都の同志社大に進学してからも、1年間は吹奏楽部で活動しました。楽器はサックスやクラリネットを担当しました。その経験が買われて、本校でも吹奏楽部の部長も務めました。現在は楽器を吹くことはなく、専ら国内外の小説(お気に入りはエイミー・タン)などを読むことが楽しみです。03FLOW|No.98|May, 2022私の中学・高校時代たしろ・ひろかず ●1985年同志社大学文学部英文科卒。86年大阪工大高(現:常翔学園高)教員に。進路指導部長、教頭などを歴任し、2022年4月から現職。学園評議員。趣味は読書や旅行、スキー。座右の銘は米国の小説家ソール・ベローの「Seize the Day(今を生きる)」。この流れを更に進めます。 今後の入試対策では、国公立大が入学者の半分を総合型・学校推薦型選抜で確保する時代が来ています。本校では現在推薦で10人前後が国公立大に進学していますが、まだまだ増やせると思います。本校の科学探究授業のガリレオプランなどでの研究成果や論文が、今後増える特色入試で生徒の強みになるはずです。また、海外への大学進学が増えています。近年台湾の大学に10人前後が進学していますが、今春はオーストラリアとオランダの大学にも1人ずつ進学します。生徒や保護者の関心も高まっており、短期留学の推進や海外姉妹校を増やし、海外との連携・交流を活発化するなどの取り組みも強化したいです。吹奏楽にのめり込んだ中高時代常翔学園中学校・高等学校大学時代、吹奏楽の仲間と(右から2人目)photograph with full of memories特集学園2中高の校長選任
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