あや・ゆうま徳島大学病院 内定広島国際大学 医療技術学科 臨床工学専攻4年 昨年10月には、第11回中四国臨床工学会で初めて学会発表を経験しました。資料作成など発表までの準備が大変なこともあり、「挑戦しようか迷っていた」と話します。しかし、実習先の技士長からの「若い時に失敗することも大切」という言葉を思い出した綾さんは、「色々な経験をしておこう」と学会発表に立候補。卒業研究として取り組んだ「気管内チューブのカフ内圧」に関する研究成果を発表し、学生演題の部で優秀演題賞を受賞しました。 コロナ禍の就職活動は、先輩が苦労した姿を見て、早めに動くことを意識し情報収集を行いました。その中で、徳島大学病院は、綾さんが目指す集中治療室(ICU)で、集中治療専任の医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士による24時間体制治療を採用している全国でも数少ない病院で、重症患者の死亡率を減少させる治療成果も出していました。施設見学の時に、臨床工学技士が1人で複数の業務をこなし、医師ら医療スタッフから厚く信頼されている姿に刺激を受け、「憧れの病院で働きたい」という熱意をアピールし、見事内定を勝ち取りました。社会人になっても、「学生時代に身につけた学ぶ姿勢を忘れず、成長し続ける臨床工学技士になりたい」と意気込みます。 4年前、不安で押しつぶされそうだった新入生の綾さんが、「今後の人生が楽しみです」と力強く語れるのは、苦手なことでも挑戦してきたから。後輩たちには「少しの勇気がチャンスに変わることもあるので、やりたいことは諦めず挑戦してほしいです」とエールを送ってくれました。07FLOW|No.97|March, 2022中学生の頃から医療関係の仕事に憧れを持っていた綾さんですが、理系教科が苦手で「理系の大学進学は諦めていました」と振り返ります。そんな中、高校2年生の時に参加した広島国際大のオープンキャンパスで、人工心肺装置などに触れる臨床工学専攻の実習体験を通して医療機器に対する関心が高まり、「臨床工学技士を目指そう」と決意。苦手な数学や生物などを猛勉強しました。地元四国の大学にも合格しましたが、「より施設が充実していて、勉強に集中できる環境が決め手でした」と広島国際大に進学しました。 入学当初は、自分の中で勉強のハードルを高くしすぎ、ついていけるのか不安だらけ。それでも、授業や学内実習を通して、先生の分かりやすい説明や学生同士で教え合うことで、苦手だと思っていた内容も自然と乗り越えていきました。更に、1カ月半の中四国臨床工学会「優秀演題賞」を受賞病院実習が「将来なりたい自分」を見つけるきっかけに。新型コロナウイルスの感染対策により、見学が中心でしたが、医療スタッフが連携し、チームで最も医療機器の知識に長けた臨床工学技士が医師をサポートする姿を目にして、「目指す理想像」が明確になりました。病院実習で学ぶ姿勢に弾み信頼される臨床工学技士を目指す数学が大の苦手な文系高校生だった綾さんは、「医療職に就きたい」と広島国際大で努力を重ね、飛躍的に成長を遂げました。医療現場で人工呼吸器やECMOなど高度医療機器を扱うエンジニア“臨床工学技士”として今春から医療の最前線に立ちます。綾 悠真さん
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