常翔学園FLOW97号
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巻頭特集常翔学園高の花園での足跡 常翔学園高(2007年度第87回大会までは大阪工大高)が全国高校ラグビーフットボール大会で花園に初登場したのは1965(昭40)年の第45回大会で、いきなり4強に。初の全国制覇は1977(昭52)年の第57回大会。これまで優勝5回、準優勝2回、ベスト4が14回。花園100勝のうち大阪工大高で78勝、現校名で22勝。最終回04March, 2022|No.97|FLOWした。今試合に出られなくても、そんな努力を積み上げればいいのです。― これからどんなラガーマンを目指しますか?松井 大学卒業後に入ったトップリーグのサントリーサンゴリアスは常に優勝に絡む強豪チームでしたが、2年前に移籍した横浜キヤノンイーグルスは成長途中の若いチームです。今の一番の目標はその横浜キヤノンイーグルスをリーグワンの優勝を争えるチームにすることで、そこで活躍し、来年のラグビーワールドカップ・フランス大会の代表として出たいです。更に大きな目標は大リーグの大谷選手のようにお客を呼べる選手になることですね。海外リーグで活躍するのもいいですが、今はリーグワンを盛り上げたいです。石田 大学卒業後はリーグワンのチームに入り活躍したいです。7人制では次のパリオリンピックにも代表に選ばれてメダルを取ることが一番大きな目標です。特に目標とする選手はいません。フィールドのどこにでも顔を出すようなポジションにあまり固定されない今までいなかったスタイルの選手になりたいです。高校に入学した頃は体も小さく目立たなかった松井選手が輝き出したのは、2年の夏のニュージーランド遠征でした。外国人をどんどん抜いていくスピードで周囲を驚かせたのです。3年ではみんなに頼られる中心選手になっていました。スピードもすごいのですが、それ以上に相手をかわすコース選択などのランニングセンスが抜群です。全国優勝した3年の時の決勝戦で逆転の決勝トライを挙げたのが松井選手でしたが、チームのみんなが「松井に回せば最後に絶対勝てる」と慌てなかったほどの頼れる存在でした。オリンピックのフィジー戦のトライを見て「エースやな」と感じました。日本代表のキャプテンを経験して更に成長し、リーグワンでも自信を持ってプレーしているのがうれしいです。 石田選手は高校1年の時から物おじせずマイペースで、桁違いの俊敏さが目立っていました。10秒間の10mのシャトルラン練習では、他の選手より1往復は上回っていました。時代が違っていたら忍者になっていたのではと思うほどの身体能力です。大学生でオリンピアンになりましたが、「やっぱりな」と納得できます。彼には体のサイズも年齢も関係ないですね。ポジションに関係なくフィールドを動き回れるこれまでいないタイプの選手で、このまま順調に成長してほしいです。 2人がこれからもけがせずに活躍してくれることを願っています。第101回全国高校ラグビーフットボール大会(東大阪市花園ラグビー場で2021年12月27日〜2022年1月8日)に大阪第1代表として出場した常翔学園高は、1月1日の3回戦で石見智翠館高(島根)を降し、花園通算100勝を達成しました。秋田工業高(134勝)、天理高(105勝)に続く史上3校目の金字塔です。次の準々決勝で優勝した東海大大阪仰星高に惜しくも敗れましたが、創立100周年を迎える年の初めに学園への大きな「100」のプレゼントとなりました。組み合わせで6校中5校が8強以上の実績を持つ「死のブロック」に入った常翔学園高は、Bシードで初戦となった中部大春日丘高(愛知)との2回戦では、先制トライを許すもフォワードとバックスの連係の取れた攻撃で得点を積み重ねて反撃を振り切り、52−26のダブルスコアで制しました。前半2分に先制されるも、その後5分、9分、12分、18分と4連続トライを挙げて流れをつかみました。26−5で折り返した後半も勢いは止まらずリードを広げました。風の影響が強い第3グラウンドで、風上の前半はキックを多用し、風下の後半はキックを1度も使わず、花園を知り尽くした巧みな試合運びでした。元日の3回戦は、難敵・石見智翠館高(島根)とのシード校対決となりました。この日も先制を許し、前半を5−12でリードされて折り返す苦しい展開に。しかし、山本大悟主将(3年)が「こういう状況は想定内だった」と言うように動揺を見せず、後半6分、カウンターからWTBの神田陸斗選手(同)がトライを決め2点差に。同15分、ゴール前5mのスクラムで相手にプレッシャーをかけてターンオーバーすると、NO.8のファイアラガ義信ダビテ選手(2年)が逆転トライを決めました。SO仲間航太選手(3年)のコンバージョンも成功。27分には石見智翠館高に反則が出ると、仲間選手がPGを決めて8点差とし、勝利を引き寄せました。平均体重が100キロに迫る大型FW。高校生は安全のためスクラムで1.5mしか押せません。他のプレーに重点を置くチームが多い中、常翔学園高はスクラムにこだわり続けてきました。この日、選手たちは「一気に押そう」と声を掛け合っていました。「1.5m」の制限下でもボールを奪いトライにつなげる常翔学園高らしい戦いになりました。試合後、野上友一監督は「フォワードがよく頑張り、うちの一番の強みを生かせた。100勝は先輩方が積み上げてきたもので、誇りに思います」と話しました。大阪第2代表の東海大大阪仰星高との準々決勝は7−45で敗れ、2大会ぶりの4強を逃しました。開会式での2人=写真提供:松井選手ランニングセンス抜群の松井選手 桁違いの俊敏さの石田選手野上 友一 ラグビー部監督(社会科教諭)常翔高校ラグビー部 花園通算100勝達成

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