常翔学園FLOW97号
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03FLOW|No.97|March, 2022のかもしれません。石田 私は第2戦から計3試合に出場しましたが、それまでワールドシリーズなどの国際試合で戦っていた相手ばかりで、知っている選手も多く、試合には緊張せずに臨めました。コンディションは悪くはなかったですが、試合後半の途中からの出場で出番が少なく思い通りのパフォーマンスはできませんでした。一番の反省はスタメンから使ってもらえなかった実力不足です。チームとしては、初戦のフィジー戦にあと一歩で惜敗し、あれに勝っていれば流れに乗れたのではと思います。― 他の国のチームの試合や大会全体を振り返って感じたことはありましたか?石田 決勝トーナメントの上位チームの試合がやはりハイレベルだったことです。「まだまだだ」と思わされました。強いチームは松井さんレベルの選手がチーム内に何人もいます。パリオリンピックに向けて7人制ラグビー特有のスキルを磨いたチーム力をもっと伸ばさないといけないことや、個人としてもスピードや体力、技術全ての面で課題が山積していることを痛感しました。松井 フィジーなどは7人制に特化して国技となっている国もあります。でも15人制も7人制もやるというのが普通で、どちらにも対応できる力が必要です。東京オリンピックは海外の強豪だけでなく、コロナという見えない敵との戦いでもありました。毎日のPCR検査だけでなく、外食や練習の合間のコーヒータイムなどもダメというさまざまな行動制限もありました。何より自分が感染すればチーム全体に迷惑が掛かるという思いもあって大変な緊張感を強いられ、全員がメンタル的にきつい大会でした。― オリンピックが終わって、年末の大学選手権では明治大は準優勝で、ウィングの石田さんも活躍されました。松井キャプテンは昨年トップリーグに代わってスタートしたリーグワンの横浜キヤノンイーグルスで活躍されています。オリンピックで得たものが生きましたか?石田 オリンピックの代表が決まるまでの半年間は、周りの期待をプレッシャーに感じメンタル的にとてもきつく、眠れない夜もありました。その経験がプレッシャーへの強さになったのか、大学選手権の大舞台でも緊張せずに自分のプレーに集中できるようになり、周囲からいろいろ言われてもあまり動揺しなくなりました。大学選手権は決勝で帝京大に敗れましたが、春から4年になっての目標はもちろん大学選手権優勝です。明治大ラグビーの伝統である「前へ」を胸にチームをけん引していきたいです。松井 日本代表のキャプテンを2年もやったので、自分のプレーだけを考えるのではなくゲーム全体、チーム全体を見る姿勢が身につきました。トライやミスに一喜一憂しなくなりました。すぐに切り替えられるようになり、メンタル面で成長できたかなと思います。コベルコ神戸スティーラーズ戦でプレーする松井選手=写真提供:横浜キヤノンイーグルス写真提供:横浜キヤノンイーグルスお客を呼べる選手に パリではメダルを― 高校ラグビーで母校の常翔学園高が通算100勝を達成しました。その後輩たちへメッセージをお願いします。石田 スクラムでも当たり負けしない常翔らしいラグビーを見せてくれました。何より野上先生に記念すべき100勝をプレゼントしてくれたことがうれしいです。私は野上先生に選手としての可能性を引き出してもらいました。後輩たちには野上先生の教えを守れば、高校で良い結果が出なくても将来必ず生きてくると言いたいです。だから先生の教えに真面目に取り組んで頑張ってください。松井 学園100周年の年に100勝を達成してくれたことがうれしいです。その100勝のうちのいくつかは自分も貢献できたかなと誇りに思います。あえて試合になかなか出られない選手たちに言いたいのは、チャンスは誰にでもやって来るということです。私は高1の時は体も小さく、2年の最後でリザーブになれたくらいで、野上先生にはいつも「お前は使えない」と言われていました。そんな私がオリンピック日本代表のキャプテンになるなんて誰も思っていませんでした。私が高校時代に実践していたのは大きな目標を掲げるのではなく目の前の小さな目標を1歩ずつ達成することで

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