常翔学園FLOW97号
23/24

March, 2022|No.97|FLOW22に敏感に反応し経費をほとんどかけない費用対効果の優れた広報となりました。もう1つは広島国際大が同じくYouTubeに2019年6月に流したPRムービー「ヒロ国入国」=写真=です。再生回数が900万回以上を達成したこの動画は、同大を「ヒロ国」という国家に見立てて、「人の役に立ちたい」という入国目的を審査する様子や「学科専攻を超えてチームで学び合え」という「ヒロ国憲法」などのストーリーを通して大学の特色を面白くアピールし話題となりました。同大では2017年6月にもYouTubeのPRムービーで、試験で堂々と学生同士のカンニングが許されるような意表を突く様子を描き、現代の医療現場は「1人で問題を解く」のではなく「チームで連携して取り組む」というIPE(専門職連携教育)のコンセプトを強烈にアピールし、テレビなどでも話題になりました。■甲子園球場の看板広告にも登場19501953195619591962196519681971197419771980198319861989199219982001200420072010201620192022■ 戦後の学園・設置3大学の主な広報誌の変遷(校友会誌、後援会誌、学生新聞は除く)学園本部大阪工大摂南大広島国際大*学生新聞の大阪工業大学新聞とは別学園の法人名称が「大阪工大摂南大学」から「常翔学園」に改称された2008年、阪神甲子園球場の3塁側カメラマン席横の看板広告に「常翔学園」が登場しました=写真。人気球団阪神タイガースの本拠地というだけでなく、全国高校野球の舞台となる野球の聖地で「新名称をアピールするのに最適」と決まりました。「サッカーJリーグの選手の腕章やユニーホームに広告を」という案もあったようですが、 “トラキチ”の多い関西での広告効果に■け(この年はリーグ2位)、1シーズンの間テレビ中継で何度もお茶の間に学園の名前を印象付けました。大阪工業大学週報(1〜10号)1954年*大阪工大新聞 (1〜2号)1949年摂大キャンパス(1〜210号)1975〜2018年大阪工業大学月報(1〜37号)1956〜62年学園新報(1〜242号)1984〜2004年おゝよど(1〜278号)1974〜現在ぱぴろにくす=図書館報(1〜116号)1982〜現在学而=図書館報(1〜102号)1984〜現在大阪工業大学学報(1〜401号)1962〜84年FLOW(1〜97号)2004〜現在広国大キャンパス(1〜71号)2000〜20年学海=図書館報(1〜14号)2002〜08年さやけき(1〜15号)2014〜現在Library News=図書館報(1〜14号)2014〜現在19952013 100年の軌跡を、次の奇跡へとつなげるために今こそ、創立から変わらない建学の精神を胸に刻み、未来へと継承していくことが、私たちの使命です。偉大なる先人からの学びと感謝の心を両翼に、学校法人常翔学園は100年先の大空を目指して飛翔しています。 2022年10月30日、学校法人常翔学園は創立100周年を迎えます。世紀末に「新しいしあわせ」の創造を宣言 1998(平成10)年に開学した広島国際大の当時の学生募集ポスター=写真=が残っています。「明日へ向かって出かけよう。」のキャッチコピーと三輪車で1本道にこぎ出す幼児の後ろ姿の写真が印象的です。それに続く見出しで<広島国際大学は「新しいしあわせ」の創造をめざしています>とアピールしています。 この21世紀直前の時代はパソコンが普及し、インターネットが社会インフラになり始めていました。少子化、デジタル化、グローバル化という現在につながる大きな変化が始まっていました。更に日本経済は1990年代初めのバブル崩壊を経て長期低迷に入り、90年代末は北海道拓殖銀行、山一證券、日本長期信用銀行など大手金融機関の経営破綻が相次ぎました。1995年の阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件も経て、暗い霧が立ち込めたような世紀末に、「本当の幸福とは」と人々が考え直し始めていたのです。「新しいしあわせの創造」という言葉からはそんな時代の思いが読み取れます。拡大するインターネットで見せる発信 広報宣伝には、新聞・雑誌やテレビという外部メディアにお金を出して広告を掲載しCMを流す方法と、本誌FLOWのような広報誌などの広報媒体を自ら作って発信する方法があります。インターネット時代の進展で自ら発信する手段が増え、その影響力をますます無視できなくなっています。 伝統的な外部メディアの活用も多様化しています。その1例が2017年4月に誕生した大阪工大梅田キャンパスをアピールした阪急大阪梅田駅ジャック広告でした。同駅のコンコース中央にある4本の円柱広告など複数の広告スペースを買い切って「空間をジャックする」インパクトのある広告です。こうした交通広告には、鉄道車両内のポスターやバス内の告知アナウンスなどもあります。 インターネットの力を実感できた大学広報の例を2つ紹介します。2016年12月、摂南大の学生・教職員約100人が、当時のテレビの人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で話題となった「恋ダンス」を、YouTubeで「恋ダンス・摂南大学バージョン」として公開=写真。1カ月余りで再生回数が7万回を達成しました。「見せる」広報戦略の一環で大学職員らが企画。ブーム問われるイメージ戦略、ブランド戦略 戦後の学制改革で新制大学設置がほぼ出そろった1949年には、4年制大学の数は全国で178校でしたが、2021年度では788校と約4.4倍に増えています。一方で18歳人口は約170万人から約114万人に激減。2040年には88万人になるとも推計されています。大学進学率が向上したとはいえ、大学間の志願者の奪い合いが続くのです。そのような状況で、大学のイメージ戦略、ブランド戦略の重要度は増すばかりで、広報宣伝の力が試される時代です。

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る