常翔学園FLOW96号
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■国際環境法(海洋・水)の主な関連年表40カ国ほどで多くないことです。特に国際河川の最上流国は批准べきものとして、各国政府に水道管や浄化設備などのインフラ整備が求められ、先進国には協力が要請されてきました。はなく、国際環境法の中の国際水路法とも密接に関わっていると私は考えます。国際水路法の根幹を成すのが、1997年に採択(2014年発効)された「国際水路の非航行的利用の法に関する条約(国際水路条約)」です。その条文の中に安全な水への配慮を促すと解釈できる規定があります。「国際水路の複数の利用の間糧を生産するために必要な水の双方を内容とする人の生命を維持するために十分な水を供給すること」です。つまり「安全な水」は国際環境法や国際水路法でも「死活的ニーズ」として守られるべきものと読み取れます。ならないという重要な衡平利用原則があります。この原則のもとで考慮すべき諸要素がある中で、死活的ニーズには「特別な考慮」を払うべきとされており、他の要素より優先すべき「考慮の強制」とも取れます。更に国際人権規約の中の社会権規約では、国家が「安全な水」に国際協力義務(域外的義務)を負う可能性があり、「安全な水」が国際的に認められる人権として成立していく中で、国際水路条約の「死活的ニーズ」は「権利」としての見直しが迫られると考えます。現在進行形のメコン川紛争べきものと言えるのですが、問題はこの条約を批准している国がしてもほとんど恩恵がなく、制約を受けるだけという立場になるからです。SDGs 6.安全な水とトイレを世界中にただ「安全な水」は人権法の枠のみに収まるもので国際水路条約には当該水路を衡平かつ合理的に利用しなければすべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する•6.1=2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。あらゆるレベルでの統合的な水資源管理を実施する。国際水路条約という環境の観点からも「安全な水」が守られる国際水路の現在進行形の紛争としてメコン川の問題が挙げられます。最上流国の中国が慢性的な電力不足解消などのために10したやり方が本当に各国住民の「安全な水」につながるのか疑問が残ります。「力の支配」から「法の支配」への転換が国際法の大きな課題なのです。なおメコン川委員会で国際水路条約を批准しているのは最下流のベトナムだけです。ラオスやカンボジアも大規模ダムを建設し加害国にもなりうるというのが現実です。気候変動にも対応できる普遍的な条約を気候変動による水害の増加などによって今後、国際水路での紛争が増えると予想されます。SDGsの「安全な水」の目標を達成するためには、地球規模で河川や海洋を統合的に管理できるより普遍的な条約に国際社会が合意する必要があります。また国際水路法の法体系の中で、国際的な協力義務を基本的な法規範として確立する必要もあります。協力義務のもとに事前通報などの手続的義務と、衡平利用や重大損害防止などの実体的義務の履行は、しばしば共同機構や委員会を通じて行われます。「ウルグアイ川パルプ工場事件」のICJ判決が「関係国は、まさに協力することによって…損害への危険を共同管理することができる」と示したことなのです。基以上もの多くのダムを建設し、2019年に下流各国で水位が低下し農業被害など深刻な問題が起きました。気候変動もあり明確な原因はまだ解明中ですが、下流国はダムによる放流制限が原因と考えています。この解決のために2つの枠組みが設けられています。1つは中国以外の東南アジア各国で構成する「メコン川委員会」で、2つ目が中国主導の「ランチャン・メコン協力」個々の国から協力を取り付けようとしています。こうJANUARY, 2022 I No.96 I FLOW 08 ............................................................................ •6.5=2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、Fli洲戸戸ぎム:;i`’’’’’r三三:み:衷::す国<..td-ャの中::〗:ノの三

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