常翔学園FLOW94号
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広島国際大呉キャンパス周辺で発生した乗用車と歩行者の交通事故現場で、10人の学生(看護学科4人、薬学科5人、医療栄養学科1人)が負傷者の応急処置や交通整理などを行い、人命救助に貢献しました。4月17日午後8時ごろ、新入生歓迎イベントの準備を終え、同キャンパス周辺を歩いていた学生らは事故現場に遭遇。動揺しながらも二次被害が起きないよう、暗い車道に立ち対向車に停車するよう働きかけるとともに、頭部から出血している負傷者に対し、自分が着ていた上着で止血を行いました。救助を率先して行った原崎望由さん(看護学科3年)は「この経験で、緊急時に自分がどのように動くべきかを考えることの重要性を実感し、より救急看護の道に進みたいと思いました」と語りました。広島国際大の学生 交通事故現場で負傷者を救助緊急事態宣言解除後に職員から表彰状を受け取る原崎さんオンラインで学生らの行動をたたえる焼廣益秀学長 6月4日~6日にかけて神奈川県・レモンガススタジアム平塚で「2021日本学生陸上競技個人選手権大会」が行われ、陸上競技部の戸澤悠介さん(法律学科3年)が、男子800mの部で1分50秒93の記録で優勝しました。陸上競技を始めて以来、全国大会出場を目標にしてきた戸澤さんですが、初出場で初優勝という快挙を成し遂げました。自身の強みを「全力でレースを楽しめること」だと話し、スタートラインに立つとそれまでの緊張も吹き飛び、ワクワクしてくるそうです。 戸澤さんは4月に開催された「第69回大阪学生陸上競技対校選手権大会」(大阪インカレ)の男子800mでも大会新記録で優勝しており、その活躍に注目が集まっています。現在は、秋の大会に向けてスプリント力を鍛えるトレーニングに励んでいます。摂南大陸上部の戸澤さん 全国大会で初出場・初優勝スプリント力強化のため猛練習表彰台に立つ戸澤さん(中央)常翔学園高は6月10日、12日、15日の3日間、1・2年生の希望者を対象にキャリア教育の一環として、起業家教育プログラム「BizWorldPRO」の体験会を実施しました。45人の生徒が参加し、設立した仮想企業の資金調達のため投資家役・銀行役にプレゼンテーションなどを行いました。講師からの鋭い指摘に起業の厳しさを痛感した生徒らでしたが、正課の授業とは一味違った学びがありました。会社経営体験プログラムをオンラインで実施スクリーンを見ながら手元のタブレットで講師と対話する生徒ら常翔啓光学園高軽音楽部3年生のバンド「モモタルトヒーロー」が、6月19日、20日に無観客・ライブ配信で開かれた「第14回全国高等学校軽音フェスティバル2021」に出場しました。全国から映像審査を通過した28校が出場し、同バンドは邦楽のカバー部門で大黒摩季さんの「Anything Goes!」を演奏。アップテンポでパワフルな音楽を届けました。軽音楽部「モモタルトヒーロー」 全国の舞台で力強く演奏JOSHO TOPICS英国の高等教育専門誌「THE(Times Higher Education)」が6月2日に発表した2021年の「アジア大学ランキング」で、大阪工大が初めて401+位にランクインしました。THEアジア大学ランキングは、「THE世界大学ランキング2021」と同じデータを使い、指標の比重を一部変えてランク付けしています。「教育」「研究」「被引用論文」「産業界からの収入」「国際性」の5分野のうち、「教育」の比重は世界ランキング30%でアジアランキング25%、「産業界からの収入」の比重は世界ランキング2.5%でアジアランキング7.5%となっています。2021年は30の国と地域から551大学を対象にランキング化。日本の大学のランクイン数は116で、すべての国と地域を通じて最多でした。元気いっぱいの演奏を披露大阪工大がTHE世界大学ランキングに続きTHEアジアでも初のランク入り23FLOW | No.94 | August, 2021 かつては「四国の東の玄関」として知られた徳島県の港町、小松島市。海からほど近いところから徳島県内の港や空港の整備を担う大阪工大土木工学科(現:都市デザイン工学科)卒業生の新見泰之さん。港も空港も、国内そして世界へと人、物の流れを中継する重要なインフラ。仕事について語る姿からは誇りと熱意が伝わります。  「99.6%」。事務所紹介のパンフレットの表紙に、この数字が大書されています。島国の日本では輸出入貨物の総量の実に99.6%が港を通ります。行き来する品は、食料や衣料、車や精密機器などの工業製品、石油やガスなどのエネルギーなど多種多様。港は、我々の日常生活と切っても切れないものです。 入庁以来、ほぼずっと港湾に携わってきた新見さんは「全体を考えるのが面白い。地図に残る、規模の大きな仕事です」とその魅力を語ります。岸壁や防波堤を造るには、複雑に打ち寄せる波を計算する必要があります。そうした土木の専門的な技術の一方、他地域へとつながる施設ですから、ニーズなどをネットワークの中で考えることも不可欠。10年、20年先の将来を見渡して施設の必要性を判断していかねばなりません。港湾整備で培われた技術は空港整備にも生かされ、更に東日本大震災以降は、岸壁の耐震化など「人の命を守る」防災の視点も一層大事になっています。 新見さんは徳島県出身ですが、父親の転勤に伴って小学校高学年まで愛媛県で、中・高時代は高知県で過ごしました。民間でトンネル工事を多く手掛けていた父親の姿や、他に土木関係の職に就いていた親類を見て、「自然と土木、建築を進路に選ぶようになった」といいます。進学したのが、当時から厳しい教育で知られていた大阪工大でした。 「大都会」と驚いた大阪での暮らしは、トイレは共同、風呂は銭湯という6畳一間の下宿が拠点。大学からの課題が多く、大学と下宿を往復する日々だったそうですが、構造力学の研究室で、熱心な先生の指導の下、必死に卒業研究に打ち込んだ記憶が残ります。 ある時、大学の勉強について、先生に「就職したら役に立つんですか」と尋ねたことがありました。すると、「大学でみんなと一生懸命考えて研究すること自体に意味があるんや」と一喝されたそう。優秀な友人たちに助けてもらったという新見さんは「大学を出てどんな道に進んでも必ず問題点は出てくる。みんなでよく考えれば解決へのアイデアは出てくるもの。学生時代に仲間と悩んだ経験が役に立つのです」と話します。 港を直接使うのは荷役や船舶関連の企業、フェリーを利用する人だったりしますが、整備に向けては地元の自治体や周辺で操業する漁業者などとの調整も必要です。新見さんは「社会に出ると、いろんな人とコミュニケーションが取れる能力も大切」とも指摘します。当初から港湾の仕事に就こうと思って大学へ進んだわけではありませんでしたが、結果として広い世界へと飛び出していく最初のステージになりました。 2020年4月から務める所長職。約40人もの職員を束ねる重責も背負いますが、「自分がこうしたい、という思いを、優秀な職員がバックアップしてくれ、毎日が楽しい」と笑顔を見せます。「港があるから日本の生活が成り立っているとの自負がある。そんな世界があることを知ってほしいですね」。社会を縁の下で支え続けます。07FLOW | No.94 | August, 2021新見 泰之 さん国土交通省四国地方整備局小松島港湾・空港整備事務所長将来を見据える広い視野で人流・物流・防災のインフラを支えるにいみ・やすゆき 1986年大阪工業大学工学部土木工学科(現:都市デザイン工学科)卒。1987年同大学院土木工学専攻修士課程退学。同年運輸省第三港湾建設局(現:国土交通省近畿・中国・四国地方整備局)に入庁。東京の本省勤務や徳島県鳴門市など自治体への出向経験もあり、これまでの異動は10回を優に超える。小松島港湾・空港整備事務所へは4度目の配属。徳島県出身。巻頭特集活躍する卒業生

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