常翔学園FLOW94号
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います。効率性や性能、低コストなどの追求よりも、「幸せとは何か」といった問いに対応できる人材。つまり生きる力のある人材が求められる時代なのです。だからAが大事なのです。数学などの理系の科目も感覚や感性など遊びの要素が重要だと思っていますが、日本人は真面目で理解されにくいので、あえてAを明示するようにしました。 研究者や科学者のように考えアーティストのように作る北尾 常翔STEAMもそうですが、この教育では教員は自分の専門科目を越えて行うことになり、負担が大きくなりませんか?中島 総合的な探究の中では、専門知は今まで以上に重要になるので、先生方のこれまでの経験はとても大切な礎になると思います。ただ、当面は大変なこともあるかもしれません。多くの場合「正しい答えを教えないといけない」と先生方は考えがちで、答えを知っているべきという規範にとらわれがちだからです。答えが1つではないことが多い世界で、これからの学びは必ずしも「答え」を教えなくてもいいのではないでしょうか。先生は調べ方や正しい情報源に当たる姿勢を示し、生徒と一緒に考えればいいのです。ファシリテーターや伴走者の役割です。課題探究型のプロジェクト型の授業が理想で、例えば「数学×美術」や「歴史×科学」などのコラボ授業もいいですね。横断的な学びでは科目ごとの分断や科目の「聖域」を解消する必要があります。研究者の共同研究のイメージです。科目や分野の垣根を越えてワクワク試行錯誤し、何かを創造する過程こそが本来の学びです。とにかく生徒たちにはワクワク、ドキドキする体験が大切です。池田 そうした課題探究型授業では成果物があった方がいいですか?中島 子供たちにとって、作ることは楽しいことです。日本での学びの成果はポスター発表やパワーポイントのプレゼンテーションが多く、ものづくりが少ないです。アイデアが形になれば説得力があります。学習記録のeポートフォリオにも載せられます。池田 本校では高校で「ガリレオ・プラン」と言って8つのゼミに分かれて科学探究活動を行っていて、ポスターセッションや発表会、論文作成もします。ドローン研究やロボット作り、プロジェクションマッピングなどのテーマで取り組んでいます。教員がそれをサポートするのですが、やはり教員が自分とは違う異分野に関わるのは難しいですね。中島 そうした体験が学びにつながればいいですね。研究者や音楽家はできる人というより、できなくても好きで自分なりのやり方を見つけられる人です。苦労しても根底に創造する喜びがあるので強いのです。だからSTEAMでは科学や技術を学ぶことより、「研究者や科学者のように考え、アーティストやエンジニアのようにものを作る」ことを重視します。子供にとって与えられたものは面白くなく、遊びの中からでもワクワクする気づきや発見がある体験が本当の学びにつながります。知識を受け取るのではなく、知を自ら創り出す喜びを体験することがSTEAMです。プレイフルに学べる環境作りを進めていきたいです。 大阪万博では「いのちを高める」場を北尾 中島さんは大阪・関西万博のプロデューサーとしても活躍が期待されていますね。中島 私が担当するパビリオンのテーマは「いのちを高める」。具体的な計画はこれからですが、遊びや学び、スポーツや芸術を通して生きる喜びや楽しさを感じ、いのちを高めていく共創の場を創出することを目指しています。まさにSTEAMの延長です。学校や大学も含めて多くの人を巻き込んでいきたいと思っています。ご協力をお願いします。steAm社によるSTAEM教育の例●スライムで食品サンプル作り=出したい粘り気や色にするために五感を使って試行錯誤する●キッズAIプログラミングコンテスト=動作や顔の表情の写真を撮ってAIに学習させ、それらを判別できるようにAIを育てる●バッハの音楽やエッシャーの絵画から対称性を学ぶ=学んだ対称性を使って自分のオリジナル作品(曲やデザイン)を作る●農業×ロボット工学=農業高校生が水やりや肥料管理にロボット工学を活用●スポーツ×数学=タックルの代わりに腰に付けたタグを取られたらボールをパスするルールのタグラグビー。選手の動きを数理モデル化し、みんなで碁盤ゲームで俯瞰して振り返る。繰り返すうちに動きの妥当性が言語化され、多くの選手の動きが良くなる北尾校長(奥左)と池田教諭(同右)04August, 2021 | No.94 | FLOW戦後の解放感と表現の喜びが紙面に若者らしい権威への反抗も インターネットの出現で誰もが容易に情報発信できる世の中になりましたが、ネット社会以前は、情報発信の手段はほとんどが紙のメディアでした。第2次世界大戦後、1949(昭和24)年に新制大学として再出発を果たした大阪工大でも開学から間もなくの1950年に学生新聞「大阪工業大学新聞(大阪工大新聞)」が創刊しました。常翔歴史館に残る紙面や創刊15周年の縮刷版は当時の学生生活や世相をうかがい知る貴重な史料になっています。戦後の貧しさからまだ抜けられないながら、戦争からの解放感と表現することの自由を手に入れた喜びが紙面から感じられます。今回は創刊当初の大阪工大新聞を手掛かりに、開学間もない大阪工大の学生たちの生の声に耳を傾けます。4 /7Wed.常翔啓光学園中学校・高等学校常翔啓光学園中高体育館540人 中学校76人 高校464人4 /7Wed.常翔学園中学校・高等学校大宮キャンパス総合体育館909人 中学校141人 高校768人28August, 2021 | No.94 | FLOW 学園は、広報誌FLOWを年5回発行しています。卒業生の皆様や企業の人事担当様に学園や設置各学校の動きをお伝えするため、年2回(8月号・3月号)の発行号をお届けしています。右のQRコードからアクセスまたは【学校法人常翔学園】FLOW公式チャンネルで検索ください。「チャンネル登録」していただくと最新の動画情報をお届けします。※通信料が掛かります。機種などによっては正常に再生しない場合があります。常翔学園ウェブサイトにも動画を掲載しています。JOSHO TOPICSPhoto GalleryCAMPUS大宮キャンパス6号館1階の中央食堂がリニューアルオープン 4月1日、多様化する学修環境に対応するため、6号館1階の中央食堂をリニューアル。設計案は、中央食堂を利用する学生や食堂スタッフへのヒアリングも参考に建築・都市デザイン工学専攻の学生らが手掛けました。「食事の場はもちろん憩いの場・学習の場として活用できるサロンのような魅力的な空間」をコンセプトに落ち着きのあるシックな雰囲気の食堂に生まれ変わりました。新たな未来社会の実現を目指して 「データサイエンス学科」を新設常翔学園高ラグビー部 強豪ぞろいの近畿大会を制し全国大会でベスト8に広島国際大が2021年度入学生から情報端末を必携に寝屋川キャンパスに2号館・体育練習場・部室棟3が誕生常翔啓光学園中 クエストカップ2021で準グランプリに輝く常翔学園中高の新たなスポーツ施設「中学高校東館」利用開始YouTubeで動画配信中!YouTube【学校法人常翔学園】FLOW公式チャンネルでFLOWの記事を動画で楽しめます。「常翔年“モノ”語り」学園センテニアル企画centennial8学生新聞が伝えた戦後キャンパスYouTubeで動画配信中!サイエンス部常翔啓光学園中学・高校「なぜ?」を繰り返し、結果と原因を考察 身近なフシギを科学するVIVID CLUB 身近なものを使って不思議な現象を作り、その謎をひもとく常翔啓光学園中高サイエンス部。結果と原因の関連性を明らかにすることがサイエンスだと語る同部部長の村上海空斗さん(高校3年)、副部長の髙須隆希さん(同)、顧問の堀内さゆり教諭にお話を伺いました。創刊当初は手書きの謄写版(ガリ版)印刷だった紙面(上)と創刊15周年に発行された縮刷版デザインした学生らへのインタビュー動画を公開中 https://youtu.be/mnoJ7o8LbC8みくとりゅうき

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