「キラリ*Josho note」page36は、水泳経験を生かしパラ水泳選手のトレーニング用具を開発している広島国際大の中村颯希さんと、プラスチック製品の可塑剤含有量や混成具合の研究を行っている大阪工大大学院の関口ゆりあさんです。今回も常翔学園のキャンパスでキラリと輝く学生たちを紹介します。 プラスチックの消しゴムと定規を一緒にしたまま放置するとくっついて剥がせなくなる原因の1つ、可塑剤。柔軟性や加工性を向上させる添加薬品類の総称で、軟らかいプラスチック製品に含まれています。関口さんはこの可塑剤について「含有量は最適か」「適正に混成されているか」を研究しています。測定器に向かう姿は既に研究者の雰囲気が漂いますが、実は高校生になるまでは実験の楽しさに夢中になっていただけで、化学を真剣に勉強しようという発想はあまりなかったと打ち明けます。それでも化学分野を専攻したのは、白衣を着ることにあこがれていたからで「笑っちゃうくらい単純な理由ですが、それが幼い頃からの夢だったのです」。 夢がかない、研究室では白衣姿で過ごす関口さん。成分分析や測定に1日の大半を費やします。9月には、オンライン開催される日本分析化学会年会で口頭発表を行う予定で、研究の傍ら発表準備にも余念がありません。多忙ながらも充実した日々を送っていますが、ここまでアグレッシブに研究や学業に打ち込むようになったのは、学部生の頃に経験した台湾とインドネシアへの短期留学がきっかけだったと言います。 留学先では、現地の学生と協働して実験を行いました。その過程で関口さんは、同年代の彼らが、自分をはるかに上回る知識量を持つことに驚きます。同時に、知的好奇心が旺盛で、自分に自信を持ち何事にも挑戦する彼らの姿に刺激を受けました。これを機に「もっといろんなことを勉強したい」と思うようになったという関口さんは、帰国後、文部科学省主催の学生研修プログラムに応募。審査を経て研修に参加しました。「留学していなかったら応募しようとさえ思わなかった」と留学前後でモチベーションが大きく変わったと振り返ります。 海外留学は、将来の目標にも影響を与えました。関口さんは今後、海外の研究機関で誰もしたことのない研究に挑戦したいと考えています。海外は日本よりも研究レベルが高いことを、留学時に肌で感じたからです。海外渡航が難しい状況はまだ続きそうですが「コロナを理由に夢をあきらめたくはありません」。あこがれは白衣から世界のパイオニア研究者へ。目標に向かって突き進む姿がキラリ光ります。インドネシアでバイオディーゼルの製造を行う関口さん(左)大阪工業大学大学院化学・環境・生命工学専攻 博士前期課程2年関口 ゆりあ さんせきぐち・ゆりあ夢は海外で活躍するパイオニア研究者海外留学がターニングポイント積極的な自分に成長22August, 2021 | No.94 | FLOW庄司 練 さんきんでん中央支店電力通信部電力通信チーム「継続は力なり」小さなきっかけで始めた競技で得た自信と経験 日本の設備工事業界をけん引する企業・きんでんの電力通信部門で、企業や個人の通信インフラを支えるとともに社内のICT活用を推進する社員として働く庄司さん。実は同社のバレーボールチームにも所属しています。多忙な毎日を送りますが、「何事も続けることに意味があり、日々充実している」と言います。それは、10年近く続けているバレーボールを通じて得た自信と経験があるからです。 企業や個人宅の光ネットワーク・ケーブルテレビ・有線LANの工事を行う部門で、契約書や見積書といった書類の作成を行う庄司さん。施工に関する専門的な知識が必要で「勉強の毎日です」と語ります。また、社内のICTツール活用を推進する役目も担っており、週に2日は大阪府下各地にある営業所を行脚しTeamsなどの機能をデモンストレーションしています。デスクワークの合間を縫っての営業所回りは大変なことも多いですが、それでも庄司さんは電話やメールよりも実際にツールを見て触ってもらうほうが利便性や特長が伝わると考え、足を運びます。多岐にわたる業務と日々真摯に向き合う庄司さんですが、休日になると同社バレーボールチームの選手に早変わり。チームではミドルブロッカーを務め、中心選手として活躍します。 競技を始めたのは中学1年生の時で、「学校にバスケットボール部がなかったからバレーボール部を選んだ」という他愛もないきっかけでした。しかし次第に面白さにハマり、練習に打ち込むように。めきめきと実力をつけ、中学3年生の大阪府大会では優勝を果たし、府の代表選手にも名を連ねました。それまで庄司さんは“これが強みだ”と言えるものが自分には無いと思っていましたが、「初めて自分に自信がついた瞬間でした。優勝したことも嬉しかったですが、胸を張れるものができた喜びも大きかったです」と振り返ります。 10校近くの強豪高校からオファーが来る中、中学校まで何度も足を運んでくれたという千葉剛先生に師事したいと、常翔学園高へ入学した庄司さん。「高校時代の思い出は部活動しかない」くらい長い時間を体育館で過ごしました。中でも、高校3年生の時の全日本バレーボール高校選手権大会(春高バレー)大阪予選の準決勝は今でも忘れられません。これまで勝ち抜いてきた試合とは異なり、広い体育館のセンターコートで1試合ずつ行われたからです。大観衆に見守られる中、全力でプレーするも、セットカウント0-2で敗北。「負けて悔しかったけれど、一生記憶に残る良い思い出です」。今でも連絡を取り合って母校の練習に参加するほど、チームメートや千葉先生とは固い絆で結ばれています。 高校時代は部活動一色だった庄司さんですが、現在は仕事とバレーボールで多忙な毎日を送ります。両立は大変ですが、どちらも手を緩めることは決してありません。何事も実直な姿勢で取り組み続けていれば自信がつき、結果もついてくることを知っているからです。 そのため後輩にも「自分の好きなことを続けてください」という言葉を送ります。一方で、好きなことが見つからないからと焦る必要はないと言い「僕のようにきっかけは“何の気なし”でも構いません。続けられそうだなと思うことに取り組んでください。ひたむきに頑張っていればいつか必ず道が開けるはずです」。庄司さんからの力強いエールです。しょうじ・れん 2016年常翔学園高校卒。2020年近畿大学経営学部経営学科卒。同年から現職。同社のバレーボール部・きんでんトリニティーブリッツ所属。大阪府出身。10August, 2021 | No.94 | FLOW
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