常翔学園FLOW93号
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学生自治会とも距離 学内メディアである大学新聞は、大学当局とだけでなく学生自治会(学生会)とも適度な緊張関係を持っていたようです。 全国初の授業放棄ストライキとは驚きです。学生新聞の存在価値を議論 1950年代の大学進学率は10%以下でした(1959年で男子13.7%、女子2.3%、全体で8.1%)。大学生であるだけで社会ではまだエリートと見なされた時代です。しかも、彼らは戦争の理不尽さを身に染みて体験した世代でした。戦争を引き起こし、止められなかった旧世代や権威に反発し、反抗するのはある意味自然で、政治的な関心の高さも現代とは比べ物にならなかったでしょう。紙面からは政治との距離の取り方など学生新聞の存在価値について本当に真面目に考えていたことが分かります。学生の切実な思いを代弁するメディアを 大正年間(1912~26年)に次々と創刊された大学の学生新聞=年表=ですが、昭和初期から第2次世界大戦中にかけて他のメディアと同様に受難の時代を迎え、自由にものが言えない、書けない言論弾圧が続きました。戦後は多くの新制大学の誕生もあり、次々に再刊、創刊され、一気に表現・言論の自由を謳歌し始めました。大阪工大新聞もその1つです。創刊5年の特集号で、新聞創刊時のことが回顧されています。 クラブ活動の社会科学研究部(社研)のメンバーが週刊紙を出したのが発展しました。 戦後の貧しさの中で、少しでも大学を良くしたいという切実な思いから、学生の声を代弁するメディアが求められたことが分かります。この「工大週報」は7号まで出ましたが、次第に「もっと本格的な新聞を」との要望が高まって新聞部が作られ、1951年には大阪工業大学新聞社が設立されました。 インターネットの出現で誰もが容易に情報発信できる世の中になりましたが、ネット社会以前は、情報発信の手段はほとんどが紙のメディアでした。第2次世界大戦後、1949(昭和24)年に新制大学として再出発を果たした大阪工大でも開学から間もなくの1950年に学生新聞「大阪工業大学新聞(大阪工大新聞)」が創刊しました。1960年代、70年代になるにつれ全国的な大学紛争の拡大とともに学生新聞の紙面も先鋭的な政治的テーマやイデオロギーの主張に支配されていきましたが、創刊当初はまだどこかのどかな紙面で、常翔歴史館に残る紙面や創刊15周年の縮刷版は当時の学生生活や世相をうかがい知る貴重な史料になっています。戦後の貧しさからまだ抜けられないながら、戦争からの解放感と表現することの自由を手に入れた喜びが紙面から感じられます。今回は創刊当初の大阪工大新聞を手掛かりに、開学間もない大阪工大の学生たちの生の声に耳を傾けます。 <私が入学したのは昭和廿五年(1950年)だがその頃は、この様な新聞は勿論なかった。…東西の両中庭には空襲で焼けてしまった木造校舎の基礎がそのまま残っていたし…実習に用いられたと思われる機械の残骸が赤錆のままであちらこちらに放置されていた。中央本館も直撃弾があったと云う話しで雨が降れば図書館は水だらけ、電灯の処からもれる水を板で応急に樋を作り窓から外へ出していた。…教室と廊下との間の窓や扉は殆どガラスは割れてしまっていて、ベニヤ板や杉板等でやっと塞いでいた。…この様な環境の中に我々は大学生活の大半を過ごしたのである> <当時の大学の状態が前述の如くだったので学生の多くは不満に満ちていた。…集まると必ず校舎の貧弱な事を嘆き、教授陣の手薄を論じた。学生大会でも必ず採り上げられた議題は教授陣の強化であり、設備の拡充であった。この忿怒(ふんぬ)を私は学校当局に知らせ学生間の与論を掻き立てたかった。そのために週刊紙の発刊を思い立った。…二人で半紙大のガリ板刷の工大週報なるものを発刊した>戦後の解放感と表現の喜びが紙面に若者らしい権威への反抗も「常翔年“モノ”語り」学園センテニアル企画centennial8学生新聞が伝えた戦後キャンパスおう か17FLOW | No.93 | May, 2021創刊当初は手書きの謄写版(ガリ版)印刷だった紙面(左)と創刊15周年に発行された縮刷版寮祭で仮装行列する大阪工大生ら=1950年代 <…昭和二十六年十二月に第一回学生大会が開催され、本年五月で満四年七カ月。…学生の最高議決機関である本大会が、いかに苦難な道を浮き沈みしたか…ある時は理事問題を巡って、学園当局と学生間に摩擦が生じ全国で初めて授業放棄ストライキを決行し当時のジャーナリストをおどり上(が)らせた事件は、先輩諸君のファイトの塊が爆発したものであろう>=創刊5年特集号全国初の学生ストを回顧する記事01FLOW | No.93 | May, 20214 /5Mon.大阪工業大学大宮キャンパス総合体育館 体育館で例年一堂に会して実施している式典を3部制としました。益山新樹学長は大学院生に向けたメッセージの中で「将来は国際社会で見識ある行動ができるよう、目標を高く掲げて充実した大学院生活を送ることを期待しています」と述べ、新入生代表は「修学に専念し、学生の本分を全うすることをここに誓います」と宣誓しました。2314人 学部2037人 大学院277人4 /3Sat.広島国際大学東広島・呉キャンパス教室  例年、東広島キャンパスの講堂で挙行している入学宣誓式を今年度は所属学部・学科ごとに分け、東広島・呉キャンパスの各教室で実施しました。事前収録した焼廣益秀学長の式辞、新入生代表の宣誓、在学生歓迎の辞のビデオメッセージを上映し、これから始まる大学生活に向けて、新入生らにエールを送りました。1114人 学部1082人 大学院24人 専攻科8人巻頭特集入学(宣誓)式レポートWELCOME! 学校法人常翔学園は設置する各学校で2021年度入学(宣誓)式を挙行し、7131人の新入生を迎えました。今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各学校は3密を避けた形での式典等を実施しました。その様子をお届けします。

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