15FLOW | No.93 | May, 202122収入の部◆学生生徒等納付金収入(312億円)学生生徒数は、大阪工大・摂南大・広島国際大・常翔啓光学園中で増加を見込み計上しました。◆寄付金収入(8億円)学園創立100周年記念募金として6億円、各大学の奨学寄付金など2億円を計上 しました。 ◆補助金収入(57億円)国庫補助金収入を8億円増額計上しました。主な要因は、授業料等減免費交付金を前年度の実績比率等に基づき大阪工大・摂南大で4億円の増額、経常費等補助金で大阪工大・摂南大における「学生納付金収入に対する教育研究経費・設備関係支出の割合」の改善及び大阪工大システムデザイン工学科の完成年度を迎えたことによる補助対象への算入により4億円の増額などによるものです。 支出の部◆人件費支出(217億円)教員人件費支出145億円、職員人件費支出56億円、退職金支出15億円などを計上しました。大阪工大データサイエンス学科の開設及び前年度退職者の補充等による教員数の増加により、 教員人件費支出を見込んでいます。◆教育研究経費支出(106億円)前年度予算額から13億円減額の106億円を計上しました。主な減額は、前年度に、大阪工大大宮キャンパス6号館外壁タイル補修工事等の実施や、各学校における「緊急学修支援金」の支給などが影響しています。■ 資金収支予算書■ 資金収支予算書の概要収 入 の 部■ 事業活動収支予算書■ 主な施設・設備整備計画科 目学生生徒等納付金収入手数料収入寄付金収入補助金収入資産売却収入付随事業・収益事業収入受取利息・配当金収入雑収入借入金等収入前受金収入その他の収入資金収入調整勘定前年度繰越支払資金合 計金 額3121185738014910305756△ 601341,018前年度補正予算差異8037△ 1003△ 381△ 52△ 43△ 611013△ 40△ 27△ 3360△ 3620262046△ 730△ 27科 目人件費支出教育研究経費支出管理経費支出借入金等利息支出借入金等返済支出施設関係支出設備関係支出資産運用支出その他の支出予備費資金支出調整勘定翌年度繰越支払資金合 計金 額2171062204925124081612△ 101611,018前年度補正予算差異9△ 13203△ 47△ 6△ 4△ 27△ 2△ 427△ 61(単位:億円)※単位未満は四捨五入のため、合計が一致しない場合があります。※単位未満は四捨五入のため、合計が一致しない場合があります。支 出 の 部収 入 の 部教育活動収支科 目学生生徒等納付金手数料寄付金 経常費等補助金付随事業収入雑収入合 計収支差額金 額31211757141041112前年度補正予算差異8037032225科 目人件費教育研究経費管理経費徴収不能額等 合 計金 額212159290 399前年度補正予算差異9△ 1420 △ 3(単位:億円)支 出 の 部 資金収支予算書とは、その年度における教育研究などの諸活動に対応する全ての収入と支出の内容及び支払資金(現金及びいつでも引き出すことができる預貯金)の収支を明らかにするものです。学園の2021年度予算が、3月22日開催の理事会で可決、成立しました。概要は以下の通りです。教育活動外収支0 0 0 0 特別収支資産売却差額その他の特別収入合 計収支差額2 2 5201 01 資産処分差額その他の特別支出 合 計20 2 00 0事業活動支出計事業活動収入計411△ 34242021年度予算の概要予 備 費基本金組入前当年度収支差額基本金組入額合計当年度収支差額前年度繰越収支差額基本金取崩額翌年度繰越収支差額受取利息・配当金合 計収支差額9 9 9 0 0 0経常収支差額2125借入金等利息 合 計解説事業活動収支予算書とは、1年間の経常的収支である教育活動、教育活動外と臨時的な収支である特別活動の3つの区分に対応する事業活動収入と事業活動支出の内容を明らかにするとともに、基本金に組み入れる額を控除した事業活動収入と事業活動支出の均衡の状態を明らかにするものです。▼大阪工大大宮キャンパス 第2部室センター新築解体工事▼摂南大寝屋川キャンパス 新学部棟新築工事▼摂南大寝屋川キャンパス 3・4号館新築等工事▼摂南大寝屋川キャンパス 7号館耐震補強工事▼常翔学園中高 東館・第2部室センター建替工事 ◆教育活動収支(12億円)経常的な収支のうち、教育・研究活動による収支です。収入は、学生生徒等納付金、手数料、寄付金、経常費等補助金などで411億円となりました。支出は、人件費、教育研究経費、管理経費で399億円となり、12億円の収入超過となりました。◆教育活動外収支(9億円)経常的な収支のうち、財務活動による収支です。受取利息・配当金で9億円を計上しました。◆経常収支差額(21億円)「教育活動収支差額」と「教育活動外収支差額」の合計は、21億円の収入超過となりました。◆特別収支(2億円)資産の売却・処分などの臨時的な収支です。資産売却差額は、摂南大枚方キャンパス薬草園の不動産売却による益(帳簿価額と売却価額との差)を計上しました。資産処分差額は、建物、構築物、機器備品、図書等の売却・処分によるもので、主に建物・図書の処分差額を計上しました。◆基本金組入前当年度収支差額(13億円)「教育活動収支」「教育活動外収支」「特別収支」の合計に予備費を加えた結果、13億円の収入超過となりました。◆主な基本金組入額<第1号基本金>(△36億円)▼大阪工大大宮キャンパス 3号館新築工事(借入金返済額)▼大阪工大大宮キャンパス 4号館及び摂南大寝屋川キャンパス 日本ペイント 跡地整備工事(借入金返済額)▼大阪工大梅田キャンパス 建設工事(借入金返済額)▼摂南大寝屋川キャンパス 日本ペイント跡地整備工事(借入金返済額)▼広島国際大呉キャンパス 3号館・クラブハウス新築工事(借入金返済額)◆当年度収支差額(△27億円)基本金組入れの結果、27億円の支出超過となりました。 ■ 事業活動収支予算書の概要施 設▼大阪工大 外部資金購入備品▼摂南大 WEB配信・講義収録機器設置及び AV機器更新設 備解説GAKUEN NEWS 本年度の日本農学賞・読売農学賞を受賞 近年、地球温暖化の影響もあり熱帯地域に生息していた害虫が、北方でも越冬できるようになり、日本でも目にするようになってきました。日本は多くの食物を貿易によって海外から仕入れていますが、その際に、本来は日本に存在しない害虫が侵入してしまうといったケースも多く見られます。しかも一部の発展途上国の不適切な農薬使用によって、日本の農薬では駆除できない害虫の出現という深刻な問題も発生しています。そこで、最近では農薬を使用せず昆虫の能力や機能を逆手にとって害虫の防除を行う害虫管理法の開発が求められています。我が国の応用昆虫学の第一人者の石川幸男教授は、昆虫の持つ不思議な能力を分子レベルで解明し、害虫防除に応用する研究を行っています。環境の変化に適応することで、約5億年に及ぶ生存競争を勝ち抜いてきた昆虫を研究し、防除法の開発だけでなく社会への応用を目指します。その研究で本年度の日本農学賞・読売農学賞を受賞した石川教授に、「虫を知り、虫を制する」技術について聞きました。農薬の過剰・不適切使用がもたらす薬剤耐性 農作物は雑草、害虫、病気による被害で収量が大きく減ります。これらに対する防除策を何も講じないと、半分以下しか収穫できません。食糧確保の観点からは大きな問題です。害虫と闘う大きな武器は農薬ですが、その武器を人類が手に入れたのは第2次世界大戦後のことでした。戦中の化学兵器の開発研究がもととなっているのです。そのため農薬は危険とのイメージが長くありましたが、現代の農薬は人の「くすり」並みに安全なものが多くなっています。安全になったはずの農薬が現在でも問題になっているのは、その過剰で不適切な使い方で害虫に薬剤耐性ができてしまうからです。虫がいなくても予防的に過剰にまいてしまうことは、一部の途上国ではいまだに多く見られます。害虫がいる時に、特に虫が出始めた時に適正な量をまくことが最も効果的ですが、そのために害虫の発生予測と正確なモニタリング(監視)が大事です。今や農薬の開発費は巨額なものですが、薬剤耐性が農薬の寿命を縮めるのです。 私はこれまで虫の生態を利用することで農薬を効果的に使用し、あるいは農薬なしで害虫を防除する研究をしてきました。今回お話しするのはその生態の中でも、メスの性フェロモンとオスが発する超音波の研究です。私の主な研究対象はガ類で、その中でもアワノメイガ類です。アジア地域においてはアワノメイガが、ヨーロッパと北アメリカでは近縁種のヨーロッパアワノメイガがトウモロコシの大害虫として知られています。海外ではこれら2種の防除目的で遺伝子組み換えトウモロコシが作付けされていますが、遺伝子組み換えが受け入れられにくい日本では農薬による従来型の防除に依存しているのが現状です。日本産アワノメイガ類の性フェロモンを同定 私が長年研究してきたのがガ類の性フェロモン交信システムです。夜行性のガ類は視覚による情報収集が困難で、交尾相手との出会いのために、メスが出す性フェロモンを介した交信システムが発達しています。この高度な交信システムを逆手に取れば、ガ類の防除につながります。私は近縁種の性フェロモンを体系的に調べることで、その相違を利用して人為的に種間の生殖隔離を操作できると考えました。 日本に生息しているアワノメイガ類9種の中には専門家でも区別が難しいほど、アワノメイガに似ている種もいるのですが、それぞれの種の幼虫が餌とする寄主植物は大きく異なっています。トウモロコシに被害をもたらすのは国内ではアワノメイガだけです。 この研究を着想した1990年時点では、アワノメイガとヨーロッパアワノメイガの2種の性フェロモンだけは同定されていました。私は日本産アワノメイガ類の採集と飼育の確立から始め、約10年で日ニューウェーブ教育・研究03FLOW | No.93 | May, 2021摂南大学農学部 農業生産学科石川 幸男 教授ガを交尾に導く性フェロモンや超音波を逆手に新たな害虫防除の道を探究
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