VIVID CLUB―普段の活動について聞かせてください。牧野/ほぼ毎日、約2時間半練習しています。平日は火・水・木曜日に体育館で、月・金曜日にトレーニングルームなどで体力づくりに励んでいます。男子と女子でコートを半分ずつに分けるなど工夫して練習しています。曽我/部員は、男子が18人、女子が7人です。2年生が10人、1年生が15人で、女子部員は全員1年生です。個々のレベルを上げるため、最近は主にシュートやドリブルなどの練習を中心としています。堀部/ディフェンスの練習も肝要ですが、やはりシュートが決まればうれしいし楽しいものです。初心者もいますので、バスケットボールを好きになってもらうためにも、今はオフェンス重視の練習メニューを組んでいます。―コロナ禍の影響を受け、練習などに変化は ありましたか?牧野/練習中もマスクを着用し、手指消毒液も常備するようになりました。マスクを着用しながらの練習は大変ですが、接触プレーが多いスポーツなので、感染対策には気を使っています。曽我/練習時間が短くなりました。短いなと思う時もありますが、一斉休校期間中は仲間に会えず、練習も全くできなかったので、今こうして毎日練習できることは本当にうれしいです。―部活動を通じて学んだことについて教えて ください。曽我/仲間の存在のありがたみです。部員が少なく苦労することもありますが、だからこそ互いに助け合うようになっていますし、仲間の存在に救われています。フォローし合える関係が築けているのは、チームの大きな強みだと思います。牧野/忍耐強くなりました。以前は、思うように成果が出ないと分かると途中であきらめることもありましたが、最後までやり抜くことで、得られることがあると分かり始め、今は粘り強く戦い続ける姿勢が身についたと思います。堀部/プレーの技術だけではなく、仲間への思いやりや折れない心を持つことを学んでくれているのはうれしいですね。―今後の目標について聞かせてください。牧野/1試合1試合を大切にして、自分やチームの課題を見つけ改善していくことです。地道なことではありますが、それが必ず生きてくると思います。インターハイ(高校総体)が集大成の場なので実力を出し切りたいですね。曽我/キャプテンとして部員の士気を高め、それぞれスキルアップできるようにしたいです。連携プレーの練習も増やし、パスワークで得点できるようなチームにしたいと思います。公式戦での勝利を積み重ねたいです。堀部/「勝てるチーム」にしたいと思いますが、部員には、勝利がすべてではないということをしっかり伝えたいですね。礼儀作法やマナーを身につけることも、勝つことと同じくらい価値のあることです。部活動を通じて人間力を養ってもらえるよう心掛けて指導していきたいと思います。YouTubeで動画配信中!男子キャプテンの牧野さん女子キャプテンの曽我さん堀部コーチバスケットボール部常翔学園高校オフェンス重視のプレーで勝利を目指す傍ら、粘り強く戦い続ける大切さも学ぶ 鋭いドリブルやシュートの音を体育館に響かせる常翔学園高バスケットボール部は、高い得点力が大きな武器です。男子キャプテンの牧野舜世さん(2年)、女子キャプテンの曽我理加さん(1年)、監督の北村雄二教諭ととともに同部を指導する堀部昌越コーチにお話を伺いました。18March, 2021 | No.92 | FLOWせるためなのです。 ところで発熱に生体防御機能を高めるという意義があるならば、なぜ解熱剤がこんなに多く服用されているのでしょうか。多くの動物実験や人の臨床データは、解熱剤が生体防御に不利だと示しています。動物の発熱を解熱剤で抑えても、死亡率が高まったり、回復までの期間が長くなったりするという実験結果があります。風邪ウイルスに感染した成人が解熱剤を服用した場合に、完治までの期間が延長したという研究もあります。少なくとも発熱が軽度なら解熱剤は服用しない方がいいのです。それでも解熱剤が広く使われているのは、高熱の場合は生体に負担にもなるからです。解熱剤には鎮痛効果もあり、悪寒などの不快感も和らげてくれ、患者のQOL(生活の質)を高くすることができます。私は長年、風邪を引いても解熱剤を服用してこなかったのですが、最近服用してみるとやっぱり体が楽になりました。多少風邪の回復が遅れても解熱剤を服用する効果はあるのです。また、言葉を話せない乳児・小児や、感覚が鈍った高齢者の場合は発熱で脱水状態に陥りやすいので、水分補給をするなど注意が必要です。サイトカイン(免疫系)→PGE₂(神経系) 次に感染が原因で脳が発熱の指令を出すまでの仕組みを見ていきましょう。ウイルスや細菌の感染は、上気道や肺など脳から離れた場所で起きます。その情報がどうやって脳に伝わるのかが長い間分かっていませんでした。分子生物学の発展で今ではその仕組みの多くが解明されてきました。 感染が起こった場所には白血球=*注1=など免疫系の初動部隊である細胞が集まってきます。そして異物が侵入したとの警戒警報的な信号である生理活性物質サイトカインを出します。その信号で白血球は病原菌などへの抗体を作りますが、抗体ができるまでは時間を要するので、それ以前の防御機能として発熱などの諸症状が起きるのです。白血球から出た信号は血液によって体中に伝わります。特に脳に伝わると最終的に視床下部の神経細胞に作用して体温を上げよとの指令を出すのです。すべての臓器はさまざまなメッセージ物質=*注2=をやり取りして生体を維持していますが、サイトカインもメッセージ物質の1つです。それぞれのメッセージ物質にはそれに合った受容体を持つ特定の細胞が存在し、結合すると反応を引き起こすのです。空間にはさまざまな電波が飛び交っていますが、私たちは認識できません。その電波に合った周波数のアンテナを持つ機械だけが反応します。サイトカインと受容体の関係はそんなイメージです。 実はサイトカインは高分子のタンパク質で血液脳関門というゲートを通過して脳内に入ることができません。そのためその信号を脳に伝えるために、サイトカインは第2のメッセージ物質プロスタグランジンE₂(PGE₂)の合成を促進し、PGE₂によって情報が視床下部に伝わるのです。1980年代半ばまでにPGE₂が発熱に必須の脳内の信号物質であることが分かってきました。①サイトカインを動物に投与すると脳内でPGE₂が増加②PGE₂を脳に投与すると発熱が起こる③解熱剤はPGE₂の合成を阻害し解熱作用を発揮する、などが確認されたからでした。私たちは1990年、PGE₂が作用して発熱の指令を出す脳の部位を詳細に解明しました。COX-2という酵素に着目 では、サイトカインは脳のどこでPGE₂の合成を促進するのでしょうか。長い間分かっていませんでしたが、サイトカインを受ける受容体が脳の血管の一番内側の内皮細胞にあることが1995年に我々の研究で明らかになりました。PGE₂は細胞内で細胞膜の脂質を原材料にして3段階の酵素反応を経て合成されます。そのうちの第2段階の酵素シクロオキシゲナーゼの1つCOX-2に着目し、発熱時のラットの脳血管内皮細胞に出現することを遺伝子レベルで確認しました=写真。これらのことから脳血管内皮細胞が、免疫系と神経系をサイトカインとPGE₂という2つの信号物質で仲介するインターフェースであると分かったのです。 そのPGE₂は視床下部の視索前野に作用します。視索前野は通常は体温の上昇を抑える信号を出しています。逆に言うと、そこが活性化すると体温が下がります。PGE₂はその信号を抑制するため発熱が起きるのです。脳出血が視索前野で起きると体温が上がることは知られていました。それは脳出血によって視索前野の神経組織が壊れて活動が低下して体温が上がるとともに、PGE₂も作用して発熱が増強します。私は実験モデルを作って、このテーマも研究を進めています。 発熱の仕組みは近年の研究で7割以上は解明されたと言えますが、PGE₂合成の第1段階の仕組みやセットポイント仮説の裏付けなど未解明なことはまだまだあります。*注1【白血球】=生体防御にかかわる免疫担当細胞である単球(マクロファージ)、リンパ球、好中球、好塩基球、好酸球の5種類。*注2【メッセージ物質】=生体の各器官は自律神経系、免疫系、ホルモン系の情報伝達系と呼ばれるネットワークでつながり、信号を送り合っている。06March, 2021 | No.92 | FLOW細菌を注射されて種々の室温で飼育されたトカゲの生存率1234567020406080100(Kluger et al. 1975)42℃(24)40℃(12)38℃(36)36℃(12)34℃(12)ラット脳におけるCOX-2 mRNA発熱していない時神経細胞にCOX-2発熱している時血管にCOX-2脳の血管に発熱にかかわる遺伝子が現れることを世界で初めて発見した画像。上が平常時で下が発熱時PGE2を検知して発熱の指令を出す脳部位(中央下部の黒い部分)血管
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