常翔学園FLOW91号
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 触れずに手をかざすだけでエレベーターの上下を指示するスイッチです。「公衆トイレなどには手をかざすだけで水を流す仕組みがあるのに、なぜエレベーターのボタンにはないのかと以前から不思議でした」と話す木田さん。今回のコンテストをきっかけに実際に自分で作ってみることにしました。仕組みや材料の選択などから製作までにかかった日数は2日。従来のボタンと違ってフラットで上下の印の上3㎝以内に手を近づければ、センサーが反応して作動します。4秒間の長かざしでキャンセルもできます。安価な赤外線センサーもありましたが、あえて静電容量型センサーを選択しました。「光に影響されないセンサーで、たとえ暗い中でも電気を通す物が近づけば反応するからです」と話します。しかも製作コストは1つ3000円ほどで量産にも耐えられる計算です。最近、同じような仕組みのエレベーターボタンが各メーカーから出始めていますが、「デコボコのボタンのないフラットな構造はデザイン的にも優れているはず」と自信をのぞかせます。 高校時代はリーダーとして出たNHKロボコンの全国大会で7位になったほどものづくりに打ち込んできた木田さん。昨年10月からは大学を休学し、自分のオリジナル家電ブランドを立ち上げる準備に入っています。まずユーチューバー用のデスクライトを開発・販売し起業資金を貯める計画です。システムデザイン工学科4年木田 大晴さん手をかざすだけ 非接触のエレベータースイッチ ラジオ体操のうまさをポイント評価することで運動意欲を促進し、運動不足解消につなげるアイテムです。4人は人間の動作の計測・解析を通じてそれをモデル化し、ロボット動作に応用する研究などをしている上田悦子教授の「ヒューマンモデリング研究室」のメンバーです。メンバーの動作解析技術の高さを評価する社会人大学院生の福田さんがコンテストへの参加を呼び掛け、普段から研究で使うことの多いラジオ体操を生かしたアイテムの開発に取り組みました。「コロナ禍で密を避けて手軽にできるラジオ体操をもっと楽しくするために、1人でもやりたくなるカラオケのポイント機能をヒントにしました」と八原さん。そのため、OpenPoseという身体の動きをリアルタイムに簡単に解析できる最新のシステムを使い、理想の動作との違いを数値化し、「excellent」「good」「bad」の3段階レベルで示すラジオ体操評価システムを考えました。例えば腕を伸ばす体操では、関節の位置が理想の位置からどれくらい離れているかを数値化し、腕の曲がりを判断します。池本さんは「ラジオ体操をやってみたいと思わせる動機付けがうまくできたのが評価されたと思います」と話します。巣ごもりの運動不足 これで解消!ロボティクス&デザイン工学専攻博士前期課程1年八原 廉さんきだ・たいせいやはら・れんシステムデザイン工学科4年山田 萌さんやまだ・めぐみ福田 哲也さんふくだ・てつや池本 瑚幸さんいけもと・こゆき提案者提案者優秀賞(グッズ部門)凹凸のないフラットなエレベータースイッチ優秀賞(ライフスタイル部門)OpenPoseで身体の動きを解析する画面 広島国際大の焼廣益秀学長が対面授業での教室の「密閉」度合いを計る二酸化炭素濃度モニター=写真=を手作りし、実際に教室の二酸化炭素濃度を測定した結果を学長ブログで紹介しました。「寒くなってくるにつれてインフルエンザの同時流行にも気を付けなくてはいけない時期にもなりますし、気を抜いてはいけません」と呼び掛けています。学長自ら二酸化炭素濃度モニターを手作り教室内の「密閉」度合いの測定結果も紹介広島国際大学 焼廣 益秀 学長  大気中の二酸化炭素濃度は400ppm程度ですが、人の呼気の場合は約40000ppmです。室内で人が呼吸すると二酸化炭素濃度は上昇し、「密閉」度合いの指標となるので換気の目安として使えるのです。焼廣学長は、安価なセンサー2種類を、ディスプレーもついた小さなコンピューターにつないだ手製モニターを使って、9月18日のガイダンスが行われた2つの教室で二酸化炭素濃度を測定しました。 測定結果をグラフ化しブログで紹介。時間が進む中での二酸化炭素濃度の変化が折れ線で表されています。始めは500ppm程度でしたが、学生が集まるにつれ上昇するのが分かります。いずれの教室でも最も高い時で700ppm程度で、平均して600ppm程度でした。文部科学省の学校環境衛生管理マニュアルでは室内の換気の指標として、二酸化炭素濃度が「1500ppm以下が望ましい」とされており、600ppm程度というのは教室の換気が十分だったことが確認できたことになりました。なお、製作日数は実質4日、約1万円ということです。前列右から八原さんと山田さん。後列右から福田さんと池本さん。08January, 2021 | No.91 | FLOWMSOE(Motion Switch of Elevator)コロナ禍における運動不足解消を目的とした体操促進アイテム

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