常翔学園FLOW91号
4/16

学生貸し出し用に200台のノートパソコンを準備。ガイダンスをウェブ化することや窓口での申請手続きもウェブから行えるよう対応しました。5月25日にオンライン授業がスタートしましたが、走りながら経験を積んで成長していった印象です。 海外留学プログラムでは、1月下旬から中国圏からの一時帰国が始まり、3月には新規の留学が中止になりました。2月に一度出国した学生が3月には帰国し、同時に出国準備中の2020年度前期出発のプログラムの中止が決まりました。この間、我が子の夢をかなえたい保護者、帰国を望まない現地滞在中の学生、留学準備を終えた出発直前の学生、それぞれの気持ちに配慮しながら対応してきました。また、PBLプロジェクトは5月の段階で不開講を決め、インターンシップも中止にしました。井上■大きな流れは大阪工大も2大学とほぼ同じです。3月中旬に4月からの授業について検討を開始し、まず2週間はオンラインですることが決まりました。ただ学部によって使っていたソフトが違い、Google Meetに統一しました。学生、教員向けのマニュアルは情報センターが4月中旬に作成。学生にデモンストレーションするとともに教員全員に講習会を開催しました。学生への連絡はポータルサイトを通じて行いましたが、特に1年生はポータルサイトへの接続の仕方が分からない学生もいたので、そのような学生を情報センターや教務課でリストアップし、各学科の教員が個別に連絡してケアをしました。パソコンは必携化しているので、特別に用意する必要はありませんでした。授業は連休明けの5月7日からすべてオンラインでスタート。しかし、工学教育に欠かせない実験・実習はオンラインでは無理で、教員からも学生からも「対面で」の要望が強く、6月1日から実験・実習に限り、十分な感染対策を取ったうえでの対面授業を開始しました。また講義日数の不足に対応してお盆明けの1週間に補習も実施しました。実験・実習でたまに登学するだけの1年生に対しては、クラス分けされる基礎ゼミやキャリアデザインなどの授業担当教員に登学機会を設けてもらい、少人数で大学の仕組みなどのガイダンスを実施しました。国際交流プログラムは一部オンラインに切り替えましたが、大部分は中止・延期にしました。オンライン授業の課題の多さに不満も教員のフィードバックの工夫は重要――前期を終えて教育・研究にどんな課題が見えてきましたか?  またその課題への今後の取り組みも教えてください。笛吹■広島国際大では基礎的な日本語や数学的思考を育む初年次教育をアカデミックリテラシーと呼んでいます。そのオンライン授業についての学生アンケートで、昨年までの対面授業より評価が高く、満足度がアップしたことは意外でした。自身のペースで、繰り返し学習できることが理由です。ただし、オンライン授業に適応できていない学生も見られたことから、これらの学生に対するフォローが課題で、後期からはオンライン授業に対面授業を組み合わせたハイブリット型の必要性も実感しています。友達を作りにくく、孤独に陥るという問題については、今後できるだけ学生同士の対面の機会を増やすようにしていきます。ただ本学の特徴として地方からの学生の多くが学生寮をはじめ大学の近くに住み、寮や食堂で学生同士の“見えない交流”があるためか、それほど大きな問題になっていません。 オンライン授業における課題の多さは、全国的に指摘されているように本学でも学生アンケートから同様の傾向が見受けられます。適正な課題量については学習効果も踏まえて、今後検討していく必要がありますが、文部科学省の進める授業時間外学習増に合致し、学生が勉強は自ら進んでやるということに気付けた機会になったとも思います。課題が多いのは勉強の本来の姿でもあります。ただそうは言っても、個々の教員が自由に課題を出すのではなく、教育課程全体、学科全体で課題の量を調整する必要はあります。また、オンライン授業における教員の学生に対するフィードバックは非常に重要と考えていますが、教員の負担が大きいのも事実です。効率的なフィードバックの方法についても多くの事例から学ぶ必要を感じています。伊藤■課題の多さの問題は摂南大でも全く同じです。課題を多くせざるを得ない原因の1つは、授業の開始が遅れたことです。短期間で15週分の授業を行い、しかも教育の質を維持するためには、学習時間や課題の量が従来よりも大幅に増加してもやむを得ません。学生同士で気軽に教え合うことが難しかったことはストレスの要因にもなったと考えられますが、自分1人の力で勉強をする本来の姿に戻って、中身の濃い学習ができた面もあります。学生からの問い合わせは、当初はTeamsのチャット機能を許可しましたが、その後11月までは私的な利用を避けるために不許可とし、メールや個人間のLINEなどを利用してもらいました。学生からの問い合わせは、課題の提出間際、夜間の時間帯が多かったですが、ほと03FLOW | No.91 | January, 2021授業風景・摂南大入構制限・大阪工大

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る