常翔学園FLOW91号
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 心身のケアを行い、人々の健康に貢献できる作業療法士になりたいと話す實谷さんは、臨床実習で医療の重要性を学びました。實谷さんが初めて医療現場を体験したのは1年生の時で、2年生と3年生には2~6週間の臨床実習を経験。4年生では集大成となる「総合臨床実習」に備え準備をしていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、医療現場は実習生の受け入れが困難となり1カ所の実習が中止に。学内での実習に切り替わり、学生が患者役となって実習を行いました。これまでの臨床実習で経験したリアルな環境と比べ「緊張感が違い、臨床実習で得られる経験の重要性をより一層感じました」と話します。何とか実習を行うことができたもう1カ所の病院では、「消毒液を携帯し、患者さんの目の前で消毒してからリハビリを行いました」とコロナ禍の中での実習を振り返ります。就職活動でも病院見学ができない、新卒採用の募集が見送られるなど苦労の連続でしたが、地元の病院から無事内定を得ることができました。2月に国家試験の受験を控える實谷さん。「感染症への不安はありますが、合格を目指して全力で頑張ります」と意欲を燃やしています。 新型コロナウイルス感染防止のため、面接試験を急きょオンラインにする大学があり、受験生は学校や自宅からネットを通じて臨んでいます。乾さんもそんな受験生の1人で、専用アカウントの取得や自宅のネット環境の整備など、準備段階から苦労の連続でした。面接時は音声が聞きづらく戸惑いましたが、自宅だからこそ冷静に対応することができたと振り返ります。 また、1月に初めて行われる大学入学共通テストは人生の大きな分岐点となるので「自分のため、そして他の受験生にも迷惑をかけないように」と体調管理に余念がありません。 試験日程やシステムについてさまざまな情報が飛び交い、翻弄された乾さん。その経験から、物事の本質を見極め思考する力の重要性に気付きました。そのため、大学では哲学を専攻し、過去の偉人たちの考え方に触れ学びを深めたいと言います。厳しい時代だからこそ、絶対解のない問題に向き合える人になりたいと目標を語ってくれました。 休校期間中、河本さんは以前から興味のあった編み物を始めました。独学で編み始めたひざ掛けは、登校再開後の教室で活躍。現在は、保温性に優れた毛糸を使い「2代目」を編み始めています。 そんな河本さんは、看護師の母ら医療従事者が新型コロナウイルスの感染リスクを背負いながらも患者のために働く様子を見て、あこがれと尊敬の念を抱くように。「私も将来は誰かの命を救える人になる」と決心しました。もちろん、苦労も覚悟しています。医療従事者に感謝する一方で、未知のウイルスへの恐怖から心無い言動をする人も報道で見ました。しかし河本さんは「自分のことよりも、患者さんのつらさや気持ちに寄り添える医療人になりたい」と言います。 「この1年で学校や友人の存在のありがたみが分かった」という河本さん。具体的な進路の検討を重ねつつ、行事や友達と過ごす何気ない時間を紡ぎながら4月からの高校生活を充実させたいと笑顔を見せました。12January, 2021 | No.91 | FLOW乾 虎太郎さん常翔啓光学園高校3年 いぬい・こたろう翻弄された大学受験本質を見極める力の重要性に気付く車いすに乗った患者役の学生に接する實谷さん實谷 未来さん広島国際大学 リハビリテーション学科4年じつたに・みく感染予防の緊張感満ちた実習医療現場でしか得られない経験河本 磨依さん常翔学園中学校3年かわもと・まい緊急事態宣言時に決めた将来の夢医療分野で誰かの命を救える人にほんろう

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