山下さんは大学4年間を通じて人力飛行機プロジェクト活動に注力し、電気工作やカーボン素材の加工など所属学科の学びを越えた経験を積み重ねました。3年生の3月ごろから始めた就職活動では、機械メーカーや食品メーカーなど、エンジニアとして活躍が期待できる企業にエントリーし、4月にはインターンシップに参加した運搬・搬送機器メーカーから内定を獲得しました。しかし、同プロジェクト活動で航空業界に関心を持っていた山下さんは夢の実現に向けて内定を辞退。就職活動の継続を決意します。その矢先にコロナ禍によりキャンパスが閉鎖され、企業の採用活動も一旦ストップする事態となりました。就職部のオンライン面接の指導を受け、目線の送り方やライティングなど対面とは違う注意点に苦労しながらも「画面越しの面接なのでメモ用紙を用意できる」とメリットにも気付き、本命の航空機用内装品メーカーであるジャムコのオンライン面接を突破。7月の対面の最終面接では、ものづくりへの熱い思いを伝え、内定を勝ち取りました。 「4月に内定が出た後、コロナ禍で就職活動が制限されて将来について熟考することができました。夢をあきらめずに活動を継続してよかったです」と声を弾ませました。 挑戦したスポーツの中で初めて“難しさ”を感じたことをきっかけに陸上競技にハマった定井さん。中学から競技をはじめ、大学では主将として「関西学生陸上競技対校選手権大会(関西インカレ)での1部昇格」を目標に、個人競技でバラバラになりがちな陸上競技部の団結力を高めるよう部員一人一人と向き合いチームの絆を深めました。引退試合となる5月の関西インカレに向けチーム一丸となって練習に打ち込んでいた矢先に緊急事態宣言が出され、練習が一切できない状況に。定井さんは不安を抱える部員を勇気づけるためオンラインミーティングを開催。自身も河川敷や公園で自主練をし、練習再開後は試合のめどが立たない中でもポジティブな姿勢を貫きました。10月にようやく開催された同大会では惜しくも1部昇格は逃したものの後輩が想像以上の好成績を収め、成長した姿を見れたことが嬉しかったと話します。主将就任と同時に始まった就職活動でも早々に行動し、4年生の春には目標としていた大手企業の内定を獲得。「自分の限界を疑わず、自分の努力を疑え」が定井さんのモットー。「逆境で落ち込むのではなく、結果を残せる可能性が1%でもあれば信じて努力することで必ずプラスの結果が出る」と熱く語ります。 新型コロナウイルスの影響で、今春卒業する学生らは、就職活動や部活動、医療現場などでの実習において苦労を強いられました。また生徒らは、受験に関する情報が錯綜し混乱したり、突然の休校で友人に会えない寂しさも経験しました。しかし、「こんな状況だからこそ」と努力しています。夢や目標を定め、悩みながらも前向きに歩みを止めない学生・生徒らの声をお届けします。11FLOW | No.91 | January, 2021コロナ禍で最終学年を迎えた学生・生徒の声 ▲▲▲▲▲コロナ禍 悩み、考え、乗り越えた人力飛行機プロジェクトの機体製作の現場山下 絵理香さん大阪工業大学 生命工学科4年やました・えりか逆風の航空業界へ ものづくりへの情熱を胸に定井さんの専門種目「三段跳」定井 諒太さん摂南大学 経営情報学科4年さだい・りょうた逆境にこそ限界をつくらないポジティブ思考が成功のカギ
元のページ ../index.html#12