森川輝=3年・クラリネット:つまずいたり落ち込んだ時に、どのようにして立ち直ってきましたか? 大切にしてきたモットーを教えてください。佐渡:スーパーキッズ・オーケストラのみんなにもよく言うのが「奇跡を起こす方程式」です。才能、努力、運の3つを足し算し、その全体に掛け算するのが感謝力です。どんな状況でも感謝できる人は、才能や努力や運を1.5倍にもできる。逆に自分の状況を恨んで、感謝できない人はせっかくの才能や運を生かせず0.8倍くらいにしてしまうのです。言葉の力も不思議で、落ち込んだ時に自分自身に「ありがとう」と言うと元気を与えられます。うまくいかなかったり、落ち込んだ時にこそ感謝が足りないのではと反省し乗り越えてきました。山口紗代=2年・チューバ:佐渡さんのお母様が作る料理が豪快だと有名ですが、その中で一番好きな料理は何ですか?佐渡:母は93歳ですが、昔はオーケストラのメンバー全員に手作りのマドレーヌを配るくらいでした。母の料理では春菊の天ぷらが一番好きです。これをご飯の上にのせて卵をかける天丼が我が家の朝ごはんの定番でした。時間をかけられることこそが大事川原愛理=1年・フルート:私は特技がなく、何をするにも他の人より習得するのに時間がかかり焦りがちです。これからの人生で自分だけの特技がある方がいいですか?佐渡:僕はゴルフがすごく好きですが、その才能はありません。でもいつもゴルフのことを考えています。時間をかけられることは大事なことです。何でもできる人に苦労は分かりません。僕は30歳近くまで指揮の仕事がほとんどありませんでした。小澤征爾さんやバーンスタインに認めてもらえるまで自信もなかったです。それでも自分の中では「好きな指揮で飯を食うぞ」という思いだけは変わらなかった。一つのことをやり続ける決心が大切です。だから時間がかかるのはとてもいいことなのです。30歳になって夢中になれることに出会うことだってあるので悲観する必要はありません。音楽は一生の友玄凛太郎=1年・パーカッション:将来、音楽と関係ない仕事に就いても、音楽を習っていて良いことはあるのでしょうか?佐渡:僕にとって音楽は天職だと思っています。みんなも自分にとっての天職を見つけてほしい。音楽と仕事とは別です。でも音楽は一生の友です。僕は自粛期間中にベートーヴェンやマーラーの交響曲の勉強もしていましたが、車の中ではジャズやロックを聴いていました。家ではウイスキーを飲みながら今井美樹さんの『PRIDE』という歌を聴きます。さまざまな音楽が身近にあると人生が豊かになります。ブラームスの曲で、若いころは難しいと思っていたのに40歳になって突然その素晴らしさに気付くこともありました。 特別授業の後半は佐渡さんとの貴重なトークです。あらかじめ部員たちが「音楽」「人生」について提出した質問に佐渡さんが答える形式で、質問者(高校生)との生のやり取りでは大いに盛り上がりました。どの質問にも真剣に丁寧に答えてくれた佐渡さんに、部員たちは音楽だけではない多くのことを学んだようでした。QQQAQAAA緊張しながらも質問する女子生徒06November, 2020 | No.90 | FLOW●常翔啓光学園中高吹奏楽部創部4年。部員は高校生48人、中学生15人の計63人。夏の吹奏楽コンクールやアンサンブルコンテスト、ソロコンテストなどコンクールにも積極的に参加。昨年は初の定期演奏会を開催。また昨年の大阪府吹奏楽コンクール北地区大会で銀賞。大阪府アンサンブルコンテストのクラリネット7重奏で銀賞。今年も管打楽器ソロコンテスト地区大会で金賞9人、銀賞7人。同大阪大会で金賞5人、銀賞2人、など実力を上げている。聞いた!笑った!学んだ!広島国際大義肢装具学専攻の山田哲生講師は、広島市安佐動物公園から依頼を受け、生まれつきの障害で立てないアミメキリンの子供「はぐみ」に、装具装着による治療を実施し、同専攻の学生も協力しています。今年の4月、はぐみは両後足の足先を曲げるための腱が伸びきって自分で立てない状態で生まれました。ギブスで固定して立てるようになったものの症状が改善しないため、山田講師に相談がありました。キリンの装具治療は想像以上に難しく、初めての装具製作に何度も同園に足を運び、歩く姿や本来の足の角度を観察。痛みで装着を嫌がったり、装具の強度が足りないなど試行錯誤の連続でしたが、治療の効果が表れ、歩行や走ることも可能な状態まで回復。11月上旬には、装具を外しても歩けるようになりました。補助として同行し、「動物の義肢装具」を卒業研究のテーマとする藤本涼花さん(4年)は「今回の装具治療の経験を生かして研究を深めたいです。将来は、義肢装具士として人間だけでなく動物の助けにもなりたい」と抱負を述べました。後ろ足の障害で立てないキリンの子供に教員と学生が装具治療を実施常翔学園高吹奏楽部は10月25日、「中之島まるごとフェスティバル」でフェスティバルホール(大阪市北区)の大階段を舞台にコンサートを行いました。今回の出演は、昨年の大阪府マーチングコンテスト金賞受賞など、同部の近年の活躍に関西吹奏楽連盟が注目して推薦したことがきっかけで実現しました。同部は、災害やコロナ禍で厳しい状況が続く中、音楽の力を通じて人々に元気を届けたいという願いを込めて、往年のヒット曲などを演奏。ザ・ドリフターズのメドレーが流れると大きな手拍子が起こるなど会場は盛り上がりを見せました。演奏を終えて、部長の市田詩織さん(2年)は「天井の高い空間で音の響きや広がりがありました。人前で演奏する機会が減少している中、このような大舞台に立つことができてとても光栄です」と笑みをこぼしました。往年のヒット曲を演奏し観客を魅了常翔啓光学園中は、1年生を対象に国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」について理解を深める「SDGs教室」を実施しています。この授業は朝日新聞社が提供するもので、講師は同社の社員。初回の9月23日は、カードゲームを使って「17の国際目標」について学習。同30日は、朝刊からSDGsに関連した記事を探し、付箋にコメントを書き込んで意見交換を行いました。今後は班ごとに更に学びを深め、SDGs達成のために自分たちができることを考えます。それらをまとめた「SDGs新聞」を来年3月に発行し、授業内で発表する予定です。新聞記事から学ぶ「SDGs教室」を開催SDGsの17の目標を意識して記事を読む生徒たちはぐみの装具治療を行った山田講師(左)と藤本さん装具を着けたはぐみ。右は生まれた時の様子=広島市安佐動物公園提供コンサートはYouTubeでライブ配信も行われた広島国際大は広島難病団体連絡協議会に加盟する難病患者・家族との交流を目的に、「科目名のない授業」プロジェクトを開始しました。「科目名のない」には、病名を限定せず難病に関する理解を深めるという意味が込められており、学生は同協議会が主催するさまざまな活動に参加します。また、難病患者やその家族が抱える諸問題を共に考え、一般市民の難病に対する理解の促進や支援の普及に向けた企画提案など、啓発活動にも取り組んでいきます。7月25日に開催された同協議会主催の「難病カフェ」では、医療福祉学科の学生8人が運営に携わるとともに難病患者らと意見交換を行い、パーキンソン病患者の実体験を聴講しました。更に9月20日には、認知症の当事者を支援する団体「たぬき倶楽部」の竹内裕代表から、認知症サポーターとして必要な姿勢などを学びました。学生らは「病気と闘いながらも前向きに生きる人たちの姿が印象的でした」「偏見や先入観を持たず、相手を知る姿勢が大切だと思いました」と語り、座学では学ぶことのできない貴重な経験を得ました。難病患者との交流を通じて未来の医療人を育成するプロジェクトが始動難病患者の実体験を聴講する学生ら(写真右)。近隣住民も参加した。YouTubeで動画配信中!18November, 2020 | No.90 | FLOW
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