常翔学園FLOW89号
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page32キラリ*Josho note  「日本には四季があります。身近にある日本の自然の美しさをまず日本人に伝えたい」と写真家としての思いを語る青木さん。元々は電車が好きで高校生のころは鉄道写真の撮影をしていた『撮り鉄』。そこからカメラの世界に没入していきました。機械科の高校教諭だった父の勧めもあり、大阪工大へ入学すると、写真研究部と鉄道研究部のどちらに入部するかで迷いました。結局、「鉄道だけでなく自分にしか見られない世界を写真で切り出してみたい」との思いから写真研究部に入部し、先輩や写真雑誌からカメラの技術や知識を吸収していきました。同部の部長を務めた3年生の時、5人1チームで出場する大学対抗の風景写真競技会「西日本フォトマッチインターカレッジ2018」に初出場。参加に尻込みする部員一人一人に自ら声を掛けてチームを編成し、競技会に臨みました。初出場ながらいきなり準優勝の成績を収めることができたことで部の士気が高まり、まとまりが生まれたと青木さんは振り返ります。 昨年は真冬の北海道のJR富良野駅で撮影した写真で目標だった「第43回鉄道ファン/キヤノンフォトコンテスト」の鉄道一般部門で佳作に入賞するなど、カメラマンとしての腕に更に磨きをかけています。風景写真をテーマにする青木さん。気に入った場所があれば朝暗いうちから何度でも通い、いい写真が撮れるまで何時間でも時間を忘れて粘ります。「それでもいい写真が撮れないこともあります。そこが写真の面白いところですよ」と屈託なく笑います。 4年生からは、写真の知識や経験を生かした研究に着手しました。プロのカメラマンが写真を評価するポイントなどを抽出し、データベースを構築。AI(人工知能)が写真の被写体からさまざまな情報を取り出して評価するシステムの開発を行っています。目標はAIが写真の撮り方をアドバイスしたりする撮影支援アプリに発展させること。「将来は研究者になりたいと考えていますが、プロカメラマンの夢も捨てきれていません。どのような形になったとしても写真にかかわった仕事がしたいです」と語る青木さん。「写真の出来を決めるのは、最後は技術よりも熱意です」と断言するカメラ哲学がキラリと光ります。大阪工業大学大学院 電気電子・機械工学専攻博士前期課程1年写真は技術より熱意青木 俊憲 さんあおき・としのり1枚の写真のためには時間を忘れて粘ることも愛用のカメラを構える青木さん佳作に入賞した「凍える夜」13FLOW | No.89 | August, 2020

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