常翔学園FLOW88号
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01FLOW | No.88 | June, 2020大阪工業大学益山 新樹 これまでの努力の成果が実を結び伝統ある本学にご入学された新入生と保護者の皆さまに心からお慶び申し上げます。 学生生活を充実して過ごすために、特に「主体的に学ぶこと」「失敗を恐れずチャレンジすること」を念頭に置いてください。専門科目だけでなく語学や一般教養科目も貪欲に学び、更に大学院で研鑽を積むことを強く勧めます。また、クラブ活動、学生プロジェクト、多彩な国際交流プログラムにも積極的に取り組むことで自分自身の成長を実感し、生涯の財産となる友を得ることができるでしょう。ますやま・あらき学長摂南大学荻田 喜代一 新入生の皆さんのご入学を心から歓迎します。 これからの情報化社会では、専門的知識・技術に加えて、「文章や情報を正確に読み取り、理解する力」「考えて・決断する力」「対話する力」「コミュニケーション力」が重要となります。本学ではその能力を高めるために多くの学びの場を用意していますので積極的に行動してください。 皆さんには才能という宝物があります。本学は学生自らが才能を見つけ、自ら伸ばす学び舎です。「やりたいこと」に夢中で取り組み、目標や夢を実現してください。おぎた・きよかず学長 学校法人常翔学園は設置する各学校全体で6658人の新入生を迎えました。今年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大に伴い、新入生や保護者の方、関係者らの健康と安全の確保を第一に考慮するとともに、感染拡大防止の観点から苦渋の決断により、常翔学園中高を除く設置各学校の2020年度入学(宣誓)式を中止しました。中止となった各学校では新入生に向けた動画による学長・校長メッセージを配信。唯一実施した常翔学園中高(4月7日、大宮キャンパス総合体育館で実施)でも行政からの指針に基づいた感染拡大防止策を講じ、中学・高校を分けて時間を短縮、新入生だけが出席するという従来とは異なった式となりました。 このような中、大阪工大や広島国際大では出席者数の分散や時間短縮など実施方法の見直しを図りながら新入生ガイダンスの一部を実施しましたが、4月7日に政府から「緊急事態宣言」が出されたことにより、オンラインガイダンスに切り替えるとともに、前期授業の開始も各学校とも5月に延期。3大学では原則オンラインによる授業がスタートしています。巻頭特集2125人■ 学部 1885人 ■ 大学院 240人2275人■ 学部 2236人 ■ 大学院 39人ご入学 おめでとうございます 多くの新入生を迎えるこの時期に世界は終息の見えないウイルスとの闘いの渦中にあります。 緊急事態宣言の期間中は学校の休業も要請され、設置各学校ではキャンパス閉鎖など教育・研究活動に厳しい規制が続いています。 このような中で本学園は、学生・生徒の皆さんの安全維持と勉学機会の確保のため、状況の変化に対応しながら最善の策を講じています。 一刻も早く事態が終息し、平穏な学校生活が訪れるよう、学園構成員が持てる知恵と力を結集してまいりますので、ご理解・ご協力を心からお願い申し上げます。久禮 哲郎学校法人常翔学園くれ・てつお理事長Message けられていた城北校舎(現:大宮キャンパス)は、爆弾や焼夷弾の攻撃目標となり、大きな被害を受けました。屋根の一部は爆風で吹き飛び、4階建て本館の梁も折れ曲がりました。キャンパス近くの城北公園では勤労動員の女子学生をはじめ避難していた多くの住民が米軍戦闘機による集中的な機銃掃射を受け、数百人から千人ともいわれる犠牲者を出しました。その慰霊塚「千人塚」が同公園の淀川堤防上に今もあり、お供えの花が絶えることがありません。爆弾、焼夷弾と共に空から降った宣伝ビラ 米軍機から宣伝ビラがまかれたのは、その大空襲から約1カ月半後の7月26日。広島への原爆投下まで10日、終戦まであと19日の日付です。「マリヤナ時報 号外」の題字。マリヤナとはサイパン島、テニアン島、グアム島などからなるマリアナ諸島のことで、1944年8月にマリアナ諸島を制圧した米軍が、ここを基地にして同年11月からB29爆撃機による日本本土への長距離爆撃を始めました。空からは爆弾や焼夷弾だけでなく「マリヤナ時報」という宣伝ビラも大量にまかれました。日本人捕虜の中の元新聞記者らも使ってハワイで編集されたもので、終戦までに450万枚以上が投下されたと言われています。そのうちの1枚を藤川さんが保管していたのです。内容は同日付けで米国、英国、中国の3国が日本に出したポツダム共同宣言です。裏面の最後の13項目目に無条件降伏の要求があります。こうしたビラが今でも各地に残されていますが、「大本営 大阪工大のルーツである摂南工業専門学校電気科の卒業生(1948年)で、2019年に亡くなられた藤川清さんが生前に寄贈した戦時中の2枚の紙の資料が常翔歴史館にあります。1枚は「貯金通帳焼失證明書」。もう1枚は米軍機からまかれた降伏を促す宣伝ビラです。戦費を賄うための貯蓄奨励 「当校ニテ保管中…戦災ニヨリ焼失セルコトヲ證明ス」と校長名で書かれた貯金通帳焼失證明書は、終戦の年(1945〈昭和20〉年)の6月7日に、3回目の大阪大空襲=*=で現在の大阪工大大宮キャンパス一帯が大きな被害を受けたことを物語ります。なぜ学校が学生の貯金通帳を保管していたのかは、少し説明が必要です。日中戦争以降、軍事費が飛躍的に増加し、それを賄うためには増税と国債発行では足りず、国民の預貯金を充てることが計画されました。1941年に「国民貯蓄組合法」が制定され、国民は地域や職場、学校で結成された国民貯蓄組合のいずれかに加入し貯金をさせられたのです。その貯金通帳を学校が保管していたと推測できます。 それが焼失したという大空襲は、6月7日午前11時過ぎから約1時間20分にわたる白昼の惨劇でした。米軍B29爆撃機は城東の大阪陸軍造兵廠を狙って爆弾を投下したのをはじめ、都島区を中心に大阪市北東部に大きな被害をもたらしました。学園でも高射砲陣地が設 学園創立100周年に向けた連載企画の第4回のテーマは「学園と戦争」です。「15年戦争」と表現されることもある満州事変から日中戦争、太平洋戦争にいたる足掛け15年(1931~45年)続いた対外戦争の時代。年を追うごとに自由な学園生活に緊張が高まっていくことが、残された学友会誌などの記録から読み取れます。科学技術も含めた総力戦体制では技術者を育てる学園の教育も大きく翻弄されました。2枚の古びた紙片を手掛かりに二度と繰り返してはいけない歴史を振り返ります。17FLOW | No.88 | June, 20206月7日の大阪大空襲で大きな被害城北公園に残る犠牲者慰霊の千人塚6月7日の第3回大阪大空襲で学校が保管中の貯金通帳が焼失したという証明書降伏を促すB29からまかれたビラ城北公園の淀川堤防上にある千人塚爆風で屋根が飛び傾いた城北校舎「常翔年“モノ”語り」学園センテニアル企画centennial4*【大阪大空襲】100機以上の爆撃機によるものが大空襲と呼ばれ、大阪では1945年3月から8月の間に8回を記録。最も被害が大きかったのは1回目の3月13、14日の大空襲で、約4000人が死亡、約50万人が被災した。6月7日の3回目の大空襲は、B29爆撃機409機と護衛のP51戦闘機138機の銃爆撃で市民ら約2800人が犠牲になったとされる。戦争に翻弄された教育しょう

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