常翔学園 FLOW No.87
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01FLOW | No.87 | February, 2020活躍する卒業生・特別編<日本IBM・山口明夫社長に聞く>巻頭特集 20世紀初めからコンピューターで世界をリードしてきたグローバル企業アイ・ビー・エム(以下IBM)。その日本法人日本IBMの社長に昨年就任した山口明夫さんは大阪工大経営工学科の卒業生です。金融オンラインシステムなどの現場のエンジニアからスタートし、一つ一つキャリアを積み上げて昨年、グループ社員3万人、協力会社を含めると10万人近くを引っ張るトップに立ちました。同社生え抜きで、7年ぶりの日本人社長です。社長就任後に「あらゆる枠を超える」というビジョンを掲げ、組織や企業の垣根を超えてテクノロジーで世の中の課題を解決しようと奮闘しています。社内外の人望の厚い山口社長に学生時代の思い出や社長としての意気込みなどを聞きました。「大阪工大の七不思議」と言われた日本IBM内定 山口社長は和歌山県紀の川市の農家の長男として生まれました。「あら川の桃」で有名な旧桃山町で桃やミカンなどを両親が栽培していました。県立那賀高校では理系の勉強が好きだったこともあって、将来主流になることが確実なコンピューターを学べそうと大阪工大経営工学科に進学。授業ではIBMが開発した世界最初のコンピューター用高水準言語「FORTRAN(フォートラン)」を使ったプログラミングなどを学ぶ時代でした。山口社長の話から浮かぶのは意外と普通な地方出身の学生の姿です。 課題の提出物でも友人に助けてもらうような学生で、コンピューターの最先端企業のIBMに入ろうなどという野心は全くなかったですね。長男なのでいずれは地元に戻りどこか就職先を見つけ、週末には農業をするのかなという漠然とした思いがありました。  大阪工大時代の思い出は「働き続けたこと」と言うほど、山口さんはアルバイトに精を出しました。まさに「昭和の学生生活」の思い出が続きます。 地元の千林大宮商店街のスポーツ用品店で午後5時から9時まで、その後、守口のコンビニで午前2時まで働きました。さらにお金が無くなったら深夜から朝まで関目のハンバーガー店で清掃の仕事もしました。スポーツ用品店の店長とは今でも年賀状をやり取りしています。豊里大橋のたもとにあった家賃1万1千円の古いアパートに下宿し、トイレは共同で風呂は銭湯。卒業論文のテーマは確か「コンピューターソフトを使った生産管理システム」でした。  そんな学生だった山口さんが日本IBMに入社することになったのは、当時のゼミの栗山仙之助教授と能勢豊一教授の推薦。研究室まで来た人事担当者の面談を受けて内定しました。 実は何年か前までは単位が足りずに大学を卒業できない夢を時々見ていました。それくらい大阪工大での成績はぱっとしなかったですね。当時はIBMと言えば大学院生か学部でも成績がトップクラスの学生しか入っていなかったので、どうして自分がとの思いでした。周りからも「大阪工大始まって以来の七不思議」と言われましたよ。  キャリアのスタートは保守要員 入社同期が国内だけで1700人という大量採用の年でした。新入社員研修では、スピーチがうまく優秀な同期が多くて圧倒されました。「自己アピールも下手な自分がちゃんとやっていけるのか不安になりました」と振り返ります。最初の配属は大阪のコールセンター。クライアントからの製品の故障や不備の連絡に対応する保守要員でした。2年後、東京に転勤になり、しばらくして大手都市銀行担当のオンラインシステムのチームに入ります。銀行の現場に張り付いて、システムのメンテナンスや故障対応に当たりました。「枠を超えろ」を合言葉に3万人の社員とITの世界を牽引山口 明夫さん日本アイ・ビー・エム 代表取締役社長執行役員やまぐち・あきお ■ 1987年大阪工業大学工学部経営工学科卒。同年日本IBMに入社。エンジニアとして金融機関のシステム開発・保守などに携わった後、2000年に社長室経営企画スタッフに。ソフトウエア製品のテクニカルセールス本部長を経て、05年に米国IBM本社の役員補佐。07年以降はコンサルティング、システム開発・保守や、ビジネス・プロセス・アウトソーシングなどの領域でお客様の企業変革を支援するグローバル・ビジネス・サービス事業を担当し、理事、執行役員、常務、専務を歴任。2017年より取締役専務執行役員、グローバル・ビジネス・サービス事業本部長に就任。併せて、米国IBM本社の経営執行委員に就任。2019年5月から現職。経済同友会会員。趣味はテニス、ゴルフ。和歌山県出身。連携でイノベーションを起こし、地域貢献の核に 昨年開学70周年を迎えた大阪工大。「現場で活躍できる専門職業人育成」の建学の精神にのっとり、多くの技術者を輩出してきた教育力に定評がありますが、近年その研究力も存在感を増し、研究を軸にした産学連携や地域貢献も進んでいます。教育力と研究力は大学の車の両輪です。2つの力が合わされば更なる大学のブランド力アップにつながります。昨年8月に東京ビッグサイトで開催された大学の“知の見本市”である「イノベーション・ジャパン2019」には、大学では全国2位の22件の研究シーズが採択されました。また9月には大学独自の「イノベーションデイズ2019“智と技術の見本市”」を昨年に続いて開催し、多くの来場者でにぎわいました。同大の研究ブランディング推進や地域貢献活動などについて、研究支援・社会連携センター長の杉浦淳知的財産学科教授=写真=に聞きました。存在感増す大阪工業大学の研究力特集252019年(令和元年)11月25日 発行表紙「inrevium杯 第19回レスキューロボットコンテスト」で、大阪工大ロボットプロジェクトチーム「大工大エンジュニア」が大会史上初3度目の「レスキュー工学大賞」を受賞。日ごろ学ぶ分野が異なるメンバーがお互いの知識・技術を生かし、ワンチームで快挙を成し遂げました。Photo GalleryCAMPUS大阪工大エンジュニア 大会史上初3度目の大賞受賞地域住民と作り上げ、皆に愛される交流の場に10月26日、広島国際大呉キャンパスの「呉ローズガーデン」で植栽会が開催されました。地域住民や大学関係者ら約100人が参加。植栽を通じ、地域住民と学生・教職員との会話が生まれ、和やかな雰囲気に包まれました。植栽したバラは来春、見ごろを迎える予定です。FLOW | No.87 | February, 2020FLOW86号(2019年11月25日発行)に掲載したニュースやトピックスをダイジェスト版で紹介します。詳しくは学園HPにデジタルパンフレット版を掲載していますので、ぜひご覧ください。https://www.josho.ac.jp/flow/DigestJOSHO TOPICS常翔啓光学園高の大津さん、高校ラグビー西日本選抜選手に常翔学園高水泳部員 全国で健闘広島国際大医療栄養学科のチームが郷土料理のアレンジレシピで「ご当地タニタごはんコンテスト」全国大会に出場摂南大が2020年4月に開設する農学部の開設記念シンポジウム「食と農の未来を考える~次世代農業の視点から~」を開催広島国際大医療技術学科の和田恵理子さんが第1回JACLaS Award 2019で優秀演題賞(学部生部門)を受賞大阪工大大宮キャンパス新3号館 利用開始YouTubeで動画配信中!イノベーション・ジャパン2019(東京ビッグサイト)イノベーションデイズ2019(大阪工大 梅田キャンパス)巻頭特集学長改選大阪工業大学OSAKA INSTITUTE OF TECHNOLOGY摂南大学SETSUNAN UNIVERSITY広島国際大学HIROSHIMA INTERNATIONAL UNIVERSITY益山 新樹 学長焼廣 益秀 学長荻田 喜代一 学長 常翔学園は、設置・運営する3大学の学長の10月31日付任期満了に伴う改選手続きを行いました。同23日開催の理事会で、大阪工大は益山新樹学長を、摂南大は荻田喜代一学長をそれぞれ新任し、広島国際大は焼廣益秀学長を再任(3期目)しました。 任期は3学長とも2019年11月1日から2021年10月31日まで。学園3大学で学長改選

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