常翔学園 FLOW No.87
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page31キラリ*Josho note  「投手戦よりはバッティング重視です。シーソーゲームで打ち勝つ方が好きですね」と野球論を語る岡田さん。といってもグラウンドでする野球の話ではなく、コンピューター画面上の野球です。岡田さんはプロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALL プロリーグ」の東北楽天ゴールデンイーグルスで活躍するれっきとしたプロプレイヤーです。小学生の時に初めてゲームソフト「実況パワフルプロ野球」で兄と一緒に遊び、高校生になって友人とのゲーム対戦の面白さに目覚めたのがeスポーツに進むきっかけでした。 プロになるのを意識したのは摂南大入学後。オンラインで対戦するゲームの楽しさにはまり、自分がどれだけ強いか試したいと当時のトッププレイヤーに“出稽古”を申し込みます。自信を持って臨んだのに、結果はあっさりとコールド負け。「自分が強いわけではない」と痛感させられた岡田さんは、その後はトッププレイヤーの試合を徹底的に分析し、大学1年の終わりごろにはそんな相手にも徐々に勝てるように。1000試合以上の対戦経験を積み、オンライン成績上位にランクインされるようになった結果、2018年にプロリーグが発足すると、プロ野球さながらのeドラフト会議で楽天から2位指名を受けました。「まさか2位で名前が呼ばれるとは思っていなかったので驚きました」と当時を振り返ります。 チームメート4人の中では岡田さんは最年少。毎週末のセ・パのリーグ戦とセ・パe交流戦6ゲーム計21ゲームを戦います。リーグ優勝して1月のSMBC e日本シリーズに進出して日本一になったチームには1400万円の報酬があり、個人タイトルを取ればそれが更に積み上がる世界です。岡田さんは「年齢も違い、住んでいる場所も全国に散らばっている仲間との出会いも刺激的で財産です」と競技や報酬を越えたeスポーツのもう1つの魅力を語ります。eペナントレースは11月に開幕。「1試合でも多く出たい」と風邪を引かないように体調管理とコントローラーを握る「商売道具」の手を守るケアも怠りませんでした。今季は見事コカ・コーラeクライマックスシリーズに進出しましたが、惜しくもファーストステージで敗退しました。 4年進級後は「もっとeスポーツを皆さんに知ってもらいたい」とeスポーツと実際の競技とのかかわりについて卒業研究を始める予定です。eスポーツにかける情熱がキラリ光ります。摂南大学 経営学科3年夢はe日本シリーズV岡田 郁斗 さんおかだ・ふみとプロ野球eスポーツの面白さを広めたいリーグ戦でプレイする岡田さん(右)19FLOW | No.87 | February, 2020第99回全国高校ラグビーフットボール大会常翔学園高校 全国 3位花園で躍動!特集2019.12.30 Mon.07FLOW | No.87 | February, 2020第99回全国高校ラグビーフットボール大会が12月27日~1月7日、東大阪市花園ラグビー場で開催され、常翔学園高は優勝した2012年度以来7大会ぶりの全国3位(ベスト4)という好成績を収めました。特に終了間際のロスタイムに劇的な逆転トライを決めた準々決勝の京都成章高戦は、ラグビーファンの記憶に長く残る名勝負になりました。Bシードで初戦となった大分東明高(大分)との2回戦は、モールでプレッシャーをかけて計13トライを奪い、83―5で圧勝。3回戦は同じBシードの中部大春日丘高(愛知)に後半4点差まで詰め寄られる苦しい戦いでしたが、ゴールラインを背にした必死の防御で残り5分を耐え抜きました。今大会のハイライトとなった1月3日の準々決勝。花園のスタンドは立ち見が出るほどの満員でした。相手は近畿大会を制した強豪の京都成章高。平均体重が100㌔近く、大学チーム並みのFW陣を誇ります。野上友一監督の作戦は「前半を耐えて後半勝負」。前半はキックを多用し、体の大きな相手に体力を消耗させて、後半一気に攻める狙いでした。前半を終えて8-19の11点差でしたがそれも想定内で、「チーム全員が『これなら行ける』と思っていた」(為房慶次朗主将)という後半に。思惑通り後半16分に俊足のFB吉本匠希選手がトライと自らキックも決めて逆転しました。ところが「あれは想定外でした」と野上監督が振り返る後半24分、再び逆転のトライを許して4点差に。残り時間も少なく勝負あったかと思われましたが、そこから「このチームは本当にギリギリまで諦めない」(野上監督)という持ち前の驚異的な粘りを発揮。後半30分を過ぎたロスタイム。プレーが途切れれば敗退という状況でした。パスミスも許されない中、自陣22mからボールをつなぎ残り30mまで迫ると、左中間ラックから左に展開。最後はWTB生駒創大郎選手が、ゴール直前で軽快なステップで内側に鋭く切れ込み、京都成章高ディフェンスの2選手を一瞬に振り切って逆転のトライに成功しました。手に汗を握って見守った約1万8500人の観衆から大きなどよめきが起き、キックも決まって27-24で勝利するとスタジアムは歓声と拍手に包まれました。5日の御所実業高(奈良)との準決勝は、善戦するも7-26で敗退しましたが、野上監督は「力を出し切ってくれ、本当に楽しい大会になりました」と大きな成長を見せたチームをねぎらいました。1万8500人がどよめいた準々決勝京都成章高戦でロスタイム劇的逆転勝利京都成章高戦で逆転トライを決める生駒選手(中央)大分東明高戦

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