03FLOW | No.86 | November, 2019摂南大の新学長としての抱負を─ 大学教育の「質の保証」が求められる中で、本学は開学以来、実践的教育や少人数ゼミを続けるとともに、近年は学部の垣根を越えたソーシャル・イノベーション副専攻課程やPBL(プロジェクト体験型学習)などの全学教育を通じて主体的な学びの場を提供しています。今後はこの全学教育を更に進めて、 ①1年次から短期留学で海外体験でき国際市民感覚を身につける「グローバル・シチズンシップ副専攻課程」の設置 ②リベラル・アーツを上位年次でも学べる教養教育の強化 ③入学者の多様性に対応した初年次教育の開発などを推進します。更に学修成果を可視化(数値化)し、社会にアピールする教育力のブランド化に活用します。今後、1万人規模の大規模大学に仲間入りし、さまざまな色や輝きを付けて社会にアピールし、世界に誇れる大学を目指します。教職員に期待することは─ 第1に学生とともに成長し続ける教職員であってほしいです。成長するために教育、研究、大学運営に関する自己研鑽を欠かさないでください。一人一人の成長なくして組織の成長はありません。第2に期待することは、「変わることを恐れない」ということです。選ばれる大学、発展する大学の条件の1つに、「社会状況やステークホルダーのニーズの変化に俊敏に適応できること」があると考えます。摂南大の最大の魅力は─ 学生と教職員の距離感が近いこと、元気で活動的な学生、教員と職員のチームワークの良さなどが挙げられます。35年前に大学院を出たばかりの助手だった私に、職員の人たちが庶務、教務、会計のことを温かく指導してくれたことが忘れられません。教員、職員、学生の関係の温かさは本学の大きな魅力です。教育の面では、学部横断的な教育プログラムなどで「主体的・対話的・深い学びの場」を実現していることが、卒業時の学生の満足度の高さに表れています。アクティブ・ラーニングの実践力がある教員も多いです。これらが「就職に強い大学」ランキングの上位に位置していることにつながっています。来年度に誕生する農学部への期待と、開学50周年(2025年)に向けた取り組みは─ 国連が持続可能な開発のために掲げた国際社会の共通目標であるSDGsは、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」など17の目標を掲げていますが、その多くの目標達成が農学部のミッションです。気候変動、食糧危機、人口爆発、超高齢化社会など、人類の存続のために必要なあらゆる分野をカバーする学問です。農学部に着任予定の60数人の教員の多くは、産学公民連携の実績があります。既に地域の多くの自治体や企業からさまざまな課題解決への連携の要請があり、農学部への期待の大きさを感じています。その期待に応えるために、IoTやロボットの農業生産への応用で理工学部や大阪工大と、予防医学で薬学部と看護学部と、それぞれ連携を推進します。また産学公民連携の推進拠点となる「先端農学研究所(仮称)」を設立します。 開学50周年に向けては、「選ばれる大学」となる基盤を構築します。①時代や社会の要請に応える既存学部・学科改組や新学部設置 ②寝屋川キャンパス3、4号館の建て替えを含めたキャンパス整備を更に進めていきます。摂南大学 学長荻田 喜代一おぎた・きよかず ■11代学長(新任)。1977年近畿大学薬学部卒業。1979年長崎大学大学院薬学研究科製薬化学専攻修士課程修了。1983年大阪市立大学大学院医学研究科生理系専攻博士課程修了。1984年摂南大学助手に。講師、助教授を経て2004年教授。薬学部長、大学院薬学研究科長、副学長を歴任。医学博士(大阪市立大学)。大阪府出身。64歳。大きな期待集める農学部時代に合った新学部・学科も検討変化を恐れず、選ばれる大学に学長のお薦め本『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子著(東洋経済新報社) どんな新しい教育手法も読み書きの基本ができていないと無意味です。この本を読んで自分が日ごろ学生と接して気に掛かっていたことが何か腑に落ちました。今、学生が自ら本を読んで、要約するアクティブ・ラーニングも始めています。どんな新しい教育手法も読み書きの基本ができていないと無意味です。この本を読んで自分が日ごろ学生と接して気に掛かっていたことが何か腑に落ちました。今、学生が自ら本を読んで、要約するアクティブ・Pickup My favorite Book
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