02November, 2019| No.86| FLOW大阪工大の新たな舵取り役としての抱負を─本学は今年で開学70周年の“古希”を迎えましたが、100周年に向けての30年間の持続可能な発展の礎を築きたいです。高い評価を受けている技術者教育の土台を更に強化することで、大学の生き残り競争の中で選ばれる大学になるための具体的な施策を打ち出していきます。また、学生たちには「Be proud of OIT(大阪工大に誇りを持て)」と訴えていきます。私は卒業生ではありませんが、長年ここで教育や研究に携わり、卒業生でないことが残念と思えるほどになりました。この思いを学生たちに伝えていきます。教職員に期待することは─ 私は根っからのラグビーファンですが、今回のW杯の日本チームはあんなに国籍が多様なのに「ワンチーム」にまとまって素晴らしい活躍をしました。大学という組織も多様な思いを持った教職員の集団です。自分と違う意見を認め、お互いに耳を傾けることで新たな展開があります。不確実性の時代に「ワンチーム」で大阪工大の方向性を共有することが大事です。学長としては教職員と膝を突き合わせた対話を進めたいと思います。大阪工大の最大の魅力は─常翔歴史館の館長を務めて改めて学園の歴史をひもとくと、学園を作った先人たちの先見性に感動します。例えば創設時の理事の1人、清水は現在のOsaka Metro御堂筋線の建設を指揮したことで知られますが、大阪の大動脈となることを見越して、車両が1両編成だった時代に8両編成に対応できる長いプラットホームで、広々としたドーム型の空間の、最先端のエスカレーターも備えた駅を建設しました。その恩恵を85年後の私たちが受けています。こうした先を読める技術者が作った学校(関西工学専修学校)から発展し、技術者教育をしてきた歴史が、本学の最大の魅力で誇りです。教育、研究、社会貢献などで今後の新たな取り組みの構想は─2021年に情報科学部にデータサイエンス学科を設置構想中です。高度情報化社会においてデータ分析は重要で、即戦力の人材育成を目指すとともに、ビッグデータを広い視野で活用できるように文理融合型の教育を進めます。また、リベラルアーツ(一般教養)教育を全学的に強化します。大学からリベラルアーツ教育を取ったら専門学校と変わりません。感性を磨き、人生を豊かにするリベラルアーツは技術者にも不可欠です。異分野交流を進めるために「工大×〇〇」をキャッチフレーズにして、研究の社会実装や社会貢献を実現していきたいです。得意分野を持った者同士の掛け算で新たなことができるはずです。例えば連携協定を結ぶ大阪音楽大となら、「工大×音大」でホール設計や音響、楽器の開発・研究などで新たな取り組みができないか。「工大×伝統芸能」の掛け算も面白いと思います。文楽人形はロボット工学の教育に参考になるかもしれません。18歳人口減少の中での生き残り策としては、社会人のリカレント(学び直し)教育や生涯教育を推進したいです。梅田キャンパスの地の利を生かし、社会人のための資格取得講座や定年者ら向けの文化教養講座などを検討したいです。大阪商工会議所とタッグを組む梅田キャンパスの都心型オープンイノベーション拠点「Xport(クロスポート)」を起点に産業界との連携も強化していきたいです。大阪工業大学 学長益山 新樹ますやま・あらき ■13代学長(新任)。1980年大阪大学工学部応用化学科卒業。1982年同大学院工学研究科応用化学専攻博士前期課程修了。同大助手、講師、助教授を経て2006年大阪工業大学教授に。教務部長、工学部長、大学院工学研究科長、常翔歴史館館長、図書館館長を歴任。体育会ラグビー部顧問。工学博士(大阪大学)。大阪府出身。62歳。「工大×〇〇」の可能性を追求学生のリベラルアーツ教育や社会人向け生涯教育の推進も学長のお薦め本『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』塩野七生著(新潮社)私は歴史学者になりたかったほどの歴史好きで、塩野七生や司馬遼太郎の大ファンです。この本は“ルネサンス期の織田信長”のような男の波乱に満ちた生涯を描いたもので、高校の時に読んで「こんな男になれたら」とわくわくしました。Pickup My favorite Book 合唱部常翔学園中学・高校調和のとれたハーモニーで、メロディーだけでなく歌詞と想いも届けたい9月の文化祭では、生き生きとした歌声で会場を魅了した常翔学園中高合唱部。ハーモニーだけでなく歌詞を届けてこそ観客を魅了できるという考えのもと、練習に励んでいます。部長の木本菜都さん(高校2年)、副部長の阿南宙良さん(同)、顧問の禅定佳隆教諭に、人を魅了する合唱の秘訣について伺いました。YouTubeで動画配信中!VIVID CLUB副部長の阿南さん―合唱部の活動について教えてください。木本/部員数は9人で、高校2年生が4人、高校1年生が2人、中学3年生が1人、中学2年生が2人です。火・水・木・土曜日の週4日活動しています。阿南/平日は16時〜18時、土曜日は14時〜16時に活動しています。活動場所は音楽室で、練習した成果を文化祭のステージや合唱祭などで発表しています。―部の雰囲気はどうですか?阿南/学年にかかわらず仲が良いのが合唱部の自慢ですね。いつも皆で楽しみながら活動していますし、笑顔で活動することが部の目標でもあります。また、部員数が少ない分、一人一人が責任をもって活動しています。木本/幅広い学年の部員がいますが、全員で協力し合える雰囲気があります。部として何か決めないといけない時も、全員が主体的に考え意見を述べています。禅定/彼らの仲の良さや部内の柔らかい雰囲気は歌にも表れていますね。声にまとまりがありハーモニーが綺麗です。―合唱の難しさはどんなところにありますか?木本/「声を合わせること」と「歌に想いを乗せること」です。それぞれ異なる声の高さ、質、響きを1つにすることに苦労しています。私たちは男女混声合唱なので、同性同士で合わせる以上に難しいですね。阿南/そのため、練習では輪になって歌うようにしています。輪になる際は、自分とは違うパートの人が隣になるように並びます。他のパートの音域を聴きながら自分のパートを歌うことで調和させようという意識が自然と働きます。木本/歌に想いを乗せるため、楽譜に書かれた歌詞を自分で書き起こし、自分なりに歌詞を解釈してみるということを行っています。阿南/実際に歌詞を書いてみると、歌っているだけでは気が付かなかった言葉の意味やそこに込められた想いを感じることができます。禅定/ただ歌うだけでは観客に何も届かないよ、ということを生徒たちにはよく話しています。彼らが書いた歌詞を見比べると、漢字やひらがなの使い方に個性が出てなかなか面白いんですよ。 ―今後の目標について教えてください。阿南/明るく楽しい雰囲気を保ちつつ、皆で合唱が上手くなりたいと考えています。木本/私も今の部の空気がとても好きなので、そこは大切にしたいと思います。それから部長として、部員みんなを支えられるような存在になることが目標ですね。禅定/彼らのハーモニーの美しさはもちろんですが、歌っている時の楽しそうな表情がとても印象的です。学校行事や地域のイベントを通じて、たくさんの人たちに常翔学園中高合唱部の歌を聴いてほしいですね。部長の木本さん顧問の禅定教諭22November, 2019| No.86| FLOW
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