常翔学園 FLOW No.83
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03FLOW | No.83 | March, 2019  瀬戸内海の離島(大崎上島、豊島)の各地区で高齢者が交流するサロンを訪問し、健康チェックや健康教育を行う『瀬戸内イキイキ』プロジェクトのリーダーを務めた東森さんは、その交流から高齢者にとっていかに食が大きな楽しみかを痛感しました。今では高齢者らの食を支えたいと考え、看護師の経験を積んで摂食・嚥下障害の認定看護師の資格も目指そうとしています。  大学入学まで何かに熱心に打ち込むことがなかったという東森さんですが、勉強以外で夢中になれることに取り組みたいと先輩に誘われて1年生で参加したのが、看護学科の学生が中心となって取り組む同プロジェクトでした。積極的に活動にかかわる姿を周囲に見込まれて、2年生の時にはリーダーに選ばれました。 「1年生で参加している間は、高齢者も歓迎してくれて、ただ楽しいなという感覚だけで活動を続けていました」と言う東森さん。しかしリーダーの役割を担うと、年間スケジュールの策定やサロン活動の準備、当日の運営などに追われて、大変な思いをして涙を流すこともあったと振り返ります。もともと人に頼み事をするのが苦手な性格で、そのためすべて自分で抱え込もうとするあまり自分を追い詰めてしまっていたのです。そんな時、顧問の先生や先輩から「リーダーが全部やろうとせずに、メンバーを頼って」と助言を受けたことが頭を切り替えるきっかけになり、「気持ちが楽になりました」と話します。それ以降、各地区のサロン活動ごとにリーダーを任命し、東森さんはプロジェクト全体の運営に専念。活動目標の細目を立てて全員で共有することで、メンバーの意識がまとまるのを実感しました。 また、サロン活動が本格化する前にメンバーの島への理解を深める宿泊研修を実施したり、医療栄養学科生メンバーを中心とした地産地消の健康レシピの試食会を開催するなど、新たな取り組みにも次々に挑戦。今ではプロジェクトの活動として、毎年の恒例になっています。 リーダーになってからも変わらなかったのは、サロン活動で高齢者と交流できる喜びでした。「島で出会うお年寄りは皆さんパワフルで、健康教育にも熱心に耳を傾けてくれます」。「家に帰っても試してみるね」などの声に、東森さんも励まされてきました。 内定先の神戸大医学部附属病院で、循環器や消化器関連の病棟で摂食・嚥下の看護にもかかわりたいと考えているのも、サロン活動で多くの高齢者から耳にした「食べることが大好き」という話からです。地元で取れる食材や料理について生き生きと語る姿から、高齢者にとっての食の大切さを教えられました。飲み込みに悩みを抱えながらも、食べることをずっと楽しんでいたいという気持ちにも共感。「自分の口で食べられるのと胃ろうのような状態になるのでは、健康には大きな違いが出るはず」と、その支援をしていきたいと考えるようになりました。 プロジェクト活動に加え中国新聞キャンパスリポーターとして取材にチャレンジするなど、勉強以外の活動にも積極的に取り組んだ東森さん。「大学生活でできるだけ多くの経験を積むことは、自分にとってきっとプラスになります」と後輩たちにエールを送ります。イベントの健康測定でお年寄りと和やかに談笑離島でのプロジェクトの学びを生かし高齢者に寄り添い支援できる看護師に東森 茉梨乃さん■ 神戸大学医学部附属病院 内定とうもり・まりの広島国際大学 看護学科4年えん げ

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