常翔学園 FLOW No.83
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場になる方が仕事が面白いということもあります。上からだから見えることもあり、別々の仕事をつないで新しい仕事をつくり出すこともできます。一方で、下の人が働きやすくするのが上に立つ人間の大事な仕事だとも思っています。田地 これまで仕事で心が折れるようなことはありましたか?その時はどう乗り越えたのですか?小笠原 「辞めたいな」と思ったことはあります。でも辞めなかったのは新聞が好きだったからだと思います。人間の心はそんなに簡単には折れない。一晩寝たり、おいしいものを食べたり、人とおしゃべりしたりして気分転換をうまくやることです。自分で自分を追い詰めないことが大切だと思います。 新しい世界に出会える新聞の良さ上田 副代表のお立場で、新聞や紙媒体の未来をどうお考えですか?小笠原 新聞社には大変に厳しい時代です。新聞を読まない若者が増えているからです。スマートフォンは確かに便利でどんな情報もすぐに検索して得られるのですが、そこにはうそや誰かの一方的な考えも多いのです。新聞の良さは必ず人に会って話を聞いて記事を書いているということで、フェイクニュースがありません。だからウェブのニュースやテレビの情報番組の元はほとんどが新聞記事なのです。新聞では読みたいニュースをページを繰って探さないといけない手間が必要ですが、その過程で思いも寄らない記事との出会いもあります。全く知らなかった世界を知ることができるのです。今日の毎日新聞朝刊は米国のトランプ大統領の一般教書演説をほぼ1ページ使って載せています。米国大統領の議会での方針表明です。「日本人に関係ないのに何でそんなに紙面を割くのか」と思うかもしれません。それは米国の動きが世界に大きく影響するからです。日本のことだけ考えていては駄目な時代で、大きく世界を見ないとこれからのことは見えません。そのために新聞は大いに役立ちます。確かに新聞を全部読むのは面倒くさいかもしれません。そのために見出しが付いていたり、識者のコメントも付いています。将来、紙媒体がなくなることはないでしょうが、新聞社もウェブ媒体へのニュース配信にどんどんシフトしています。しかし、正確なニュースを届けるという新聞社の使命そのものは変わりません。 女性ももっと欲張りに生きよう田尾 最後に女性のキャリア形成で何かアドバイスをいただけませんか?小笠原 世界的に女性を排除できなくなっていて、男性だけでは社会の物事は進みません。だから女性のフィールドを皆さんでどんどん広げていってください。今はいろんな情報を容易に得られる時代であることを生かして、狭く考えないで広い視野を持ってください。毎日新聞の女性社員たちにも、「自分でよく考えて選べば結婚しても子供を産んでも働き続けられる時代になったのだから、自分の人生は自分で決めるべきだ」と話しています。女性がもっと欲張りに生きていい時代です。田地 瑞季さん 野球場に入ること自体が初めてで新鮮な体験でした。すごく広くて案内されて歩いているだけで疲れました。私は優柔不断なところがあって、就職の志望もまだ迷っていますが、小笠原さんに言われたように自分で自分の人生を選べるようになりたいです。女性がもっと欲張りに生きていい時代です。14March, 2019 | No.83 | FLOWおがさわら・あつこ 1983年京都大学文学部史学科卒。同年毎日新聞社入社。神戸支局を経て経済部で長く経済記者を務めた後、大阪本社で岡山支局長、経済部長、京都支局長、編集局次長、総合事業局長、営業総本部大阪事業本部長などを歴任し2018年から副代表。2017年から日本高校野球連盟理事。兵庫県出身。 撮影場所 information阪神甲子園球場 (兵庫県西宮市甲子園町1-82)●通称「甲子園」。1924年に全国中等学校優勝野球大会の開催を主目的に建設。日本初の大規模野球場で、収容人数は国内最多の4万7508人。 プロ野球セントラル・リーグの阪神タイガースの本拠地で、選抜高等学校野球大会及び全国高等学校野球選手権大会という2大高校野球全国大会の開催球場。「野球の聖地」と称されている。高校生の各種全国大会でも「~甲子園」の名称が使われることが多い。

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