常翔学園 FLOW No.83
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としてそれぞれの立場でかかわってきました。記者としてのスタートが神戸支局だったこともあり、その2年間は甲子園で地方大会から何度も取材しました。デスクとしては、記者の原稿をチェックする役割で甲子園に詰めました。支局長の時は地元の代表チームのスタンドからの応援です。総合事業局長は春の選抜高校野球大会の主催者として大会を運営する立場ですので、開幕の前から近くのホテルに泊まり込んで準備に当たりました。天気予報を見ながらその日の試合を決行するかを決めるのは大変なプレッシャーです。田地 甲子園での印象深い思い出はどんなことですか?小笠原 新人記者時代の思い出は春の選抜高校野球大会で、雪が降る中を甲子園のアルプススタンドで凍えながら取材したことですね。デスクの時は記者室に朝から夜までこもって、各支局から地元チームに付いてやって来た記者の原稿とひたすら格闘していました。スタンドから試合を観戦する余裕はなく、甲子園にいるのにテレビで試合を見ながら仕事をしていました。ある日、目を通した原稿を数えたら120本あったことも。田尾 私は小学3年から6年まで少年野球で男の子と一緒に野球をやっていました。女子が甲子園に出場する時代が来ると思いますか?小笠原 高野連の高校野球は男子だけですが、女子高校野球もできています。高野連とは別の競技団体ですが、個人的には女子高校野球も甲子園でやってもらったらいいなとは思いますね。女子選手も甲子園のグラウンドに立たせてあげたいし、それを見たいです。甲子園での高校野球やプロ野球の始球式では既に女性や女の子が投げていますし、これからはどんどん変わっていってほしいと思います。 書くための最良の教科書は新聞田尾 女性記者としても長年活躍されてきましたが、昔は男社会だった新聞社で苦労したことと、逆に良かったなと思うことを教えてください。小笠原 まだ女性記者が少なく、目立ったので取材先に早く覚えてもらえたというのは良かったですね。でもセクハラを受けることもありましたし、経済部の記者として企業のトップの取材をした際には、「女に話はできない」と露骨に言われたこともありました。そんな古い考えのトップがいる会社は今はもうないですが、各国の男女格差の解消度を数値化した世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数(2018年版)」=*注=によると、日本は世界149カ国中110位です。もちろんG7の中では最低。理由は経済と政治の分野のスコアが著しく低いからです。女性議員と企業の女性トップの数が圧倒的に少ないのです。このように日本の*注【ジェンダー・ギャップ指数】世界経済フォーラムが2006年より「世界男女格差レポート」で公表する世界の各国の男女間の不均衡を示す指標。経済・教育・政治・健康の4分野の14の変数を総合してつけられるスコアをランキングの形で示す。左から上田さん、田地さん、小笠原副代表、田尾さん12March, 2019 | No.83 | FLOW

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