常翔学園 FLOW No.80
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事業は、日本で唯一の知的財産学部・専門職大学院を持つ本学の知財エキスパートが企業のあらゆる知的財産にかかわる課題解決をサポートします。教員には特許庁出身者や企業の知財部署経験者がおり、企業の特許の取り方や知財戦略を具体的にアドバイスします。このアドバイスに知的財産学部の学生たちが立ち会えば、学生たちは生きた教材で学ぶことができます。イベントで活動を活性化─大阪工大は今後、どのようにかかわっていきたいですか。小寺 研究者でもある教員は自分の研究も大事ですが、研究は社会のために役立たなければならないわけで、そういう意味でXportを活性化させるとの心構えを持ってもらうことが教員にも重要です。産学連携の活動を更に活性化するために、本学は9月に全学部・学科の教員約200人が研究・技術シーズを一挙に公開する「大阪工業大学イノベーションデイズ2018」を梅田キャンパスで開催します。産業界のニーズとのマッチングで新規事業につながることを期待しているほか、特に将来の理工系イノベーション人材になりうる高校生たちに先端技術を間近に体験してもらうのも狙いです。このイベントはXportの活動を更に活性化するでしょう。AI、IoT、ロボット、ビッグデータなどによる第4次産業革命が言われているこの時代に教育も変わらなければなりません。創造力の強化、イノベーション人材育成が教育界に問われているところで、このXportでの取り組みは今後の日本の大学が目指すべき取り組みであると信じて、私たちはこれを全力で進めていきたいと思います。スピード、試行錯誤、自由な発想で既成の価値観から飛び出す集団を─Xportをどのように企業に利用してほしいですか。児玉 日本の企業経営に欠けているのはスピードです。米国のシリコンバレーや中国の深圳に行くと痛感します。例えば深圳では「1万個作って不良品ゼロ」を目指すのではなく、「不良品がいくつか出ても交換すればいいので、それよりも開発のスピードが大事」という考え方です。Xportでは参加各社が本社や中央研究所のしがらみから離れて、スピード重視で試作品をどんどん作り、駄目ならやり直す、ということを繰り返していただきたい。そういうやり方でないと新しいものは生まれないのではないでしょうか。Xportは本社とは離れた“出島”なので、本社の方針から離れ自由な発想でさまざまな分野の人たちと交わり、既存の会社の価値観をぶっ壊すというくらいの気持ちで利用してほしいです。また大阪工大の学生さんには世界と戦うためのスピード感を持ったやり方を間近で感じてほしいです。ベンチャー企業やスタートアップ企業を早くここから誕生させたいと思っています。とにかくXportのいろいろな可能性を探り、既成の価値観から飛び出た、尖った集団の場にしたいです。 しんせん06August, 2018 | No.80 | FLOWXport = 今年4月に、大阪工大梅田キャンパス8階のロボティクス&デザインセンター(約1000㎡)にオープン。試作のための3Dプリンターやレーザー加工機などの最先端機器を配備。主な事業は①交流事業(フューチャー・ラボ、ビジネスミートアップ、産学連携PBLなど) ②研修事業(デザイン思考講座、モノづくり企業のための知的財産入門など) ③試作支援事業 ④海外連携プログラム ⑤知財関連アドバイス(無料相談)。会員制。会費は幹事企業が年会費300万円、大企業が同50万円、中堅・中小企業が同5万円、スタートアップ・一人メーカー・学生は無料。Xport 副会長大阪工業大学 副学長小寺 正敏こてら・まさとし 1977年大阪府立大学工学部電子工学科卒。1982年同大学院工学研究科電子工学専攻博士後期課程修了。同年から1983年11月南カリフォルニア大学PostDoctoral Fellow。1984年大阪工業大学工学部電子工学科(現:電子情報通信工学科)講師、1988年助教授、1994年教授。2015年11月から副学長。専門は電子ビーム工学。企業見学会で設備の説明を聞く企業関係者らからビジネスの芽をメディア、経済界、政界からも注目 Xportの開設記者発表は多くのメディアに取り上げられ、経済界や政界からも関心を集めています。5月22日に開かれた企業見学会には在阪の大企業13社から約20人が参加。6月11日には岸田文雄自民党政調会長が視察に訪れました。 企業見学会ではXportの紹介と各事業への参画を呼び掛けました。課題解決プラットフォーム「フューチャー・ラボ」の幹事企業である、大和ハウス工業の藤井将朗経営企画部事業企画推進グループ長は、同ラボで掲げる4つの大きなテーマとそれをビジネスモデルにまでつなげる今後のスケジュールを説明、ワークショップなどを通じ「できるだけ早期に各プロジェクトのチームを立ち上げたい」と話しました。参加した企業からは、「拠点として素晴らしい立地。日本人ばかりでは発想が同じようになるので、Xportが目指す海外ネットワークの活用は大事です」(パナソニック)、「企業から見てもこれほどの大学の設備を使用できるというのは非常に魅力的」(サントリーホールディングス)などの感想が聞かれました。企業見学会

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