常翔学園 FLOW No.80
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久禮■世界の主要大学の多くは大都市にあります。大都市には人々が集まり、人々が交われば何かが生まれます。特に大阪人にはものづくりに重要なウルトラ・フレキシビリティーと言うか発想の大きな柔軟性があり、まさに梅田はXportにとって最適な場所です。尾崎■大阪は市内に大学が少なく、やはり街の中に若者が少ないのはさびしいですね。そういう意味でも大阪工大梅田キャンパスに期待しています。西村■既に梅田キャンパスでは2017年度から、ロボティクス&デザイン工学部の学生が正課外教育として「RDクラブ」という活動でパートナー企業の出す課題に解決策を提案する取り組みをしてきました。パートナーの企業11社にこのキャンパスまで来ていただき、127人の学生が参加しました。キャンパス内企業インターンシップです。今年度はXportの事業に取り込まれますが、参加説明会には130人以上の学生が集まり、立ち見が出るほどでした。梅田の立地を生かした教育に大きな手応えを感じています。融合教育でライフサイエンスを担う人材を─ライフサイエンス分野は大阪の強みのある分野ですが、製薬会社のトップも務めた久禮理事長に学園のこの分野での貢献をどう考えておられるかお聞きします。久禮■常翔学園内には大阪工大以外に摂南大と広島国際大があり、それぞれが2020年に摂南大は農学部、広島国際大は健康スポーツ学部を設置構想中です。特に農学部は世界や日本の食、農家の高齢化などの課題に取り組みますが、ロボティクスやAIと密接した「スマート農業」と言われる分野も意識しています。農学部は薬学部、看護学部のある枚方キャンパスに計画していますが、近くには大阪工大情報科学部もあります。できれば学部、大学の壁を越えた融合教育でこれからのライフサイエンスを担える人材を育成したいです。更に同じ地域にある関西医科大、大阪歯科大と摂南大薬学部の医歯薬連携も3大学で検討しています。尾崎■AI・ITなどを活用して日本の農業分野で技術開発を進め、サステナブルなシステムを生み出してほしいですね。─大商は大阪を「アジアのイノベーション・ハブ」にとうたって国際戦略を展開していますが、学園と大阪工大のグローバル戦略もお聞かせください。西村■大阪工大では学園創立100周年に向けて「教育と研究で国際連携の推進」「多文化共生キャンパスの構築」「成果の還元」の3つの柱からなるグローバル展開の基本方針を定めています。昨年度、海外へ派遣した学生は約200人、海外から受け入れた留学生は約150人で計350人にもなります。特に海外協定校の学生と混成チームを組んで英語で与えられた課題に取り組む国際PBL(課題解決型学習)には力を入れており、昨年度は計14のプログラムを実施しました。参加した学生がその後、研究活動で上位のプログラムに参加する事例も出てきており、手応えを感じています。久禮■「国際PBLを経験すると学生は本当に成長する」と教員は口をそろえます。Xportで大商の海外ネットワークを生かし、学生、院生に海外との交流を通して、新たな発想を学んで欲しいです。海外との本気の“他流試合”で学生は鍛えられるはずです。─大阪万博誘致へのそれぞれの取り組みと期待をお聞かせください。尾崎■11月の開催地決定までこれからが正念場です。これま03FLOW | No.80 | August, 2018久禮 哲郎 理事長尾崎裕 大阪商工会議所会頭 兵庫県出身。東京大学工学部卒業後、1972年大阪ガス入社。2008年4月代表取締役社長。2015年4月から代表取締役会長。2015年12月から大阪商工会議所会頭。2013年6月から2015年6月に日本ガス協会会長。2017年3月から2025日本万国博覧会誘致委員会副会長。2017年6月から文楽協会理事長。

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