「ルールを与えられる」東京と「ルールを作りだす」大阪─大阪はかつて大正期から昭和初期に「大大阪」と言われ、日本の経済の中心でした。東京一極集中から脱却し、日本の成長を牽引していくことを目指す大商ですが、大阪経済の一番の強みと弱点は何だとお考えですか?尾崎■大阪の強みは「特色あるものづくり」「研究開発機能の集積」「アジアとの強い結びつき」の3点です。化学素材分野、一般機械、金属製品で特色あるものづくりの集積があり、医薬品・医療機器分野を始めとした企業や大学の研究開発拠点も多くあります。また、輸出入金額に占めるアジアの比率は7割を超え、それが年々増加しています。一方で、課題は国際都市としての知名度の向上ではないでしょうか。東京は“官の町”でルールが与えられる町ですが、“民の町”大阪はルールを自分で作り出してきました。新しいことを発想しやすく、まさにイノベーションにふさわしい都市です。また、外から呼び込んだ力を大きく育て、他地域に還元してきた都市です。万博などを契機にこうした開かれた魅力のある大阪の都市力を発信していきたいですね。教員の活性化と学生の成長も─大商は2017年度からの中期計画「たんと繁盛 大阪アクション ~最前線×最先端で、日本とアジアを牽引~」で、国内外から多様な人材や企業を引き付け、先端分野に取り01FLOW | No.80 | August, 2018巻頭特集大阪商工会議所 × 常翔学園 × 大阪工大トップ鼎談オープンイノベーション拠点「Xport」が梅田で始動老舗企業、ベンチャー、教員、学生の出会いからものづくりに革命を知の交流で大阪・日本の成長を牽引大阪商工会議所会 頭 尾崎 裕おざき・ひろし学校法人常翔学園理事長 久禮 哲郎くれ・てつお大阪工業大学学 長 西村 泰志にしむら・やすし 今年で創立140年の大阪商工会議所と、2022年に創立100年を迎える常翔学園が設置する大阪工業大学は昨年4月に連携協定を締結し、それに続いて今年4月、都心型オープンイノベーション拠点「Xport(クロスポート)」を同大梅田キャンパスに共同開設しました。大企業、中堅・中小企業、スタートアップ、社会人、学生などの多様な主体がここを拠点に社会の課題解決、新規事業創出を行うためのマッチング支援や産学連携による人材育成などのプログラムを実施していきます。大商第13代会頭は本学園の前身関西工学専修学校初代校長でもある片岡安だったというゆかりもある両者が、大阪を新たな成長拠点にするべくタッグを組んだのです。尾崎裕第26代大商会頭(大阪ガス会長)、大商議員でもある久禮哲郎本学園理事長、西村泰志大阪工大学長の3人に連携への期待、大阪のものづくりの未来などについて語り合ってもらいました。 聞き手 : 西田太郎 学園本部広報室長
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