間違って殴ってしまっても構わないという姿勢です。本気で投げ、本気で投げられることが大事です。また、受としては受け身の音に気を付けます。鈍い音ではなく一発で乾いた「パン」という音を出すように心掛けています。音によって取も気分良く技に入り込めます。「剛体」という体の中心に芯のある姿勢で相手の力を受け、投げられなければなりません。気を抜くと体が曲り、良い音もしません。投げられ役の土台を作った五輪代表選手の付き人の経験― 投げられ続けるのは大変そうですね。横山 1回2時間の練習で100回以上は真剣に投げられます。「痛い」と思ったら世界一にはなれませんでした。もともと恩師が私に形競技を勧めたのは、投げられるうまさを評価してくれたからでもありました。大学時代に五輪代表にもなった先輩の付き人を経験したのが、投げられ役の始まりで、受の土台が作られました。一流選手の投げ技の研究に付き合い続けたのです。その後、数多くのオリンピック選手から投げられ役の指名が掛かるようになりました。これはとても貴重な経験で、投げられることで個性の違う一流の選手たちの技を体で覚えることができました。今では学生を指導する際に、学生に自分を投げさせることで何が問題かを指摘することができます。― 2020年の東京オリンピックは柔道の形競技を世界にアピールする機会になりますね。横山 前回の1964年の東京大会の時は、競技としてまだなかったですが講道館が形のデモンストレーションを行いました。もし2020年の東京大会の会場で形の模範演技を披露できたら最高です。声を掛けてもらえるように、そのころまでは競技を続けて世界連覇も続けたいです。よこやま・たかゆき2006年筑波大学体育専門学群卒。2009年同大学院人間総合科学研究科博士前期課程修了。2010年摂南大学スポーツ振興センター保健体育教室特任助教。2013年から現職。1997年高校総体(柔道90キロ級)で新潟県代表。2011年第3回世界柔道形選手権大会(投の形)優勝。2012年、2014年から2017年の同大会で優勝。講道館五段。摂南大学柔道部監督。全日本柔道連盟公認審判員。修士(体育学)。新潟県出身。ごう たい6回目の優勝を果たした昨年のイタリア・サルディーニャ島の世界選手権で(左が横山講師)12August, 2018 | No.80 | FLOW■ 釣り込み腰■ 肩 車■ 内 股
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