常翔学園広報誌 FLOW 79号
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を重ねています。こうした取り組みを外部にアピールすることで生徒募集にもつなげたいですね。ICT教育で重要なアウトプット力─ICT教育は両校でも取り組みが進んでいますが、共通テスト にもICT機材が使われることも出てきそうで、今後ますます ICT利用が進化するのは不可避です。教員の対応を含めて各 校の現状と今後の取り組みをお話しください。北尾 今の生徒は生まれた時からパソコンがありスマートフォンがあるソーシャル・ネイティブです。ただ彼らのSNSの使い方には偏りがあり、教育手法としてのICTの有効活用を進めなければいけません。ICTは双方向な学び、アクティブ・ラーニングにつながりやすいです。生徒の主体的学びや教員、生徒同士の対話的学びに生かします。ICTはただ単に大学入試のためというだけでなく、大学入学後、更には社会に出てからの課題解決や仲間との協働的取り組みにも必要になるものと、広い視野でとらえています。吉村 ICT機器は画期的な教材です。視覚的に訴え、アクティブ・ラーニングに連動しやすいです。授業の効率化が間違いなく進んでいます。例えば、理科ではYouTubeで実験の動画を家で視聴することにより予習させています。また、振り返り授業も容易にできるので生徒の学習記憶を定着させることができます。ただ至れり尽くせりのICTですが、生徒にしっかりした国語力が身についていないと、分かった気になっているだけで表現力にはつながりません。ICTに国語力を加えることが重要だと思っています。北尾 ICTで入ってくる情報量が増えますが、それを生徒にアウトプットさせないといけません。うまくアウトプットさせて学びを定着させる必要があります。それでないと「面白かった」で終わってしまいます。昔のITからICTに変わったのはCのコミュニケーションです。双方向で生徒参加型の授業を進めるために教員の力が問われます。学園のスケールメリットもブランドに─2018年問題が現実となる中、学校のブランディングが重要です。 それぞれの学校のブランド力アップの取り組みを教えてください。北尾 本校は探究活動を通じて課題解決力や協働的学びを生徒に身につけさせるキャリア教育に先進的に取り組んできました。今は他校も同じようなことをしようとしているので、ブランド力として取り組みを更に強化していきます。大手塾が昨年出版した「私立中学の魅力」でも、本校はキャリア教育が優れていると評価されました。大学入試一辺倒でない本校の良さとしてアピールできています。また英語力やコミュニケーション能力の育成にも力を入れていきます。吉村 私学の一番のブランド力は進学実績です。一朝一夕には向上できないことですが、こつこつと進路保証と学校での充実した生活、更に安全保証を打ち出していきます。中学校は2つのコースの特長を生かして6ヵ年教育を推進していきます。もちろんキャリア教育、ICT教育にも力を入れ、特にグローバル教育では近くの関西外大から外国人留学生を実習で受け入れることも始めます。北尾 学園のスケールメリットを生かして、難関大学から学園内3大学まで多様な進路選択が可能というのも2校のブランド力ですね。常翔啓光学園中学校・高等学校校 長 吉村 仁志※大学入学共通テスト = 大学入試センター試験に代わり2021年1月から始まる。知識・技能に加えて、思考力・判断力・表現力を一層重視する。国語と数学で記述式問題が導入され、英語では4技能(読む、聞く、話す、書く)を評価するため外部の民間試験を活用。06May, 2018 | No.79 | FLOW2校の現状と今後の取り組みについて語る両校長取り組みを加速よしむら・ひとし 関西外国語大学外国語学部卒業。1979年4月上宮中学・高校教諭に。入試対策部長、教頭を歴任。2016年4月から現職。校長2期目。学園理事。教科は英語。趣味はスポーツ観戦とクラシック音楽(特にモーツァルト)鑑賞。座右の銘は「Where there is a will,there is a way(意志あるところに道は開ける)」
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