常翔学園広報誌 FLOW 78号
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 サッカー少年だった山内さんは、常翔学園高サッカー部の試合を見て「楽しそう」と感じ進学しました。「摂南大、大阪工大、広島国際大と同じ学園内に文系から理系までの内部進学先の選択肢が多かったのも大きな決め手でした」と話します。高校の時のサッカー部のポジションは右サイドバックで練習に明け暮れました。いつも隣のグラウンドで練習していた同期のラグビー部が花園で全国優勝し、「全国一になるクラブの凄さ」を間近に感じられたのも良い刺激になったと言います。 キャリア教育の「企業探究学習」での大企業から出された課題への取り組み、学園内の大学の教員が講義する「夢発見ゼミ」などは、「常翔ならではの教育で、大学選びや将来の職業を考える良い機会だった」と感じています。 摂南大外国語学科に内部推薦で進学。サッカー部では3年で副キャプテン・主務として、部外との交渉や部費などのお金の管理を任されました。周囲が認める几帳面でしっかりした性格もあって、やがて金融業界を志望するように。「金融機関に進んだクラブの先輩らに影響を受けていたのかもしれません」。在学中にファイナンシャル・プランナー(FP)3級の資格を取り就活。昨春入行した池田泉州銀行では銀行員にとっての信用の重みを改めて実感しています。「お客様には1年目の行員もベテラン行員も同じで、『知っていて当たり前、できて当たり前』と思われます。それだけ期待値が高い職業です」と仕事に誇りも感じています。 摂南大の卒業研究「タイのサッカーの現状と課題」で現地調査を経験。「外国人教員や海外留学する学生が多い環境は刺激的で、英語スピーチなどの少人数教育は楽しかった」と話します。後輩たちへは「日本をよく理解するためにも海外で異文化を体験してください」とアドバイスします。 子供のころから鉄道好きだった柏井さんは、常翔啓光学園中に進学後、中学3年で後輩らと「鉄道研究サークル(現在は鉄道研究部)」を立ち上げました。高校1年の時に初めての合宿旅行で兵庫県の余部鉄橋などに行き、知らない土地の鉄道に乗ることの面白さにはまっていきました。「鉄道はただ乗るだけでなく、車窓から見る景色や街の雰囲気、出会う人などその体験全体が魅力です」と話します。高校で大阪工大の教員による模擬授業や大学見学を体験し、「自分の可能性が広がる大学」と思い進学。都市デザイン工学科に進んだのも、やはり「鉄道を含めた街のデザイン」を勉強したかったからでした。 運輸職種で入った念願の東京メトロは9路線で1日700万人以上が利用する東京の大動脈です。1年目は新宿三丁目駅の駅係員として勤務。その後、登用試験と研修を経て半蔵門線の車掌に。指導員と一緒の乗務から独り立ちして5カ月になります。ドアの開閉、車内放送、車両状態や乗降の監視と安全輸送のために気が抜けない日々です。「でも車内のお客様の笑顔を見ると、人と人、街と街をつなげる大事な仕事を担う会社の一員であることのやりがいを実感します」と話します。今は大きな目標である運転士になるための試験に向けた準備もしています。「健康が第一の職種ですので規則正しい生活を心掛けています」。もちろん休日に東京近辺のさまざまな鉄道に乗りに行くことも楽しみです。 学園内で中学から大学までを過ごした柏井さんは「熱血先生が多く、礼儀など生活面でも濃密な指導を受けられた」と振り返り、後輩たちには「自分がなりたい職業を早く意識して目標にしてください」とアドバイス。「それが決まれば学園の先生方はいろいろな情報を提供して応援してくれます」と学園のキャリア教育にも感謝しています。 薬剤師と言えば薬局や病院というイメージですが、森田さんが公務員の道を考えるようになったのは大学のキャリア教育の業界研究で公務員として活躍する薬剤師の話を聞いてからでした。「患者さんとなら1人ずつ向き合うのですが、大勢の人にかかわる公衆衛生行政に興味がわきました。薬剤師として地域を支える仕事がしたくなったのです」と話します。 現在は広域監視担当として茨木保健所と守口保健所の管内を主に担当し、毎日先輩と2人で多い時には4カ所の食品工場や給食施設、飲食施設などを抜き打ち検査します。衛生設備や衛生的な取り組みの点検から掃除の仕方や調理方法のアドバイスまでチェックは多岐にわたります。「あまり歓迎される仕事ではありませんが、『食中毒を出さないという目標はお互いに同じです』と説得し、丁寧に説明します」。強い立場であるからこそ易しい表現と笑顔を忘れません。大阪らしく改善策の提案も「お金をかけずに明日からでもできる提案」を心掛けます。 薬剤師を目指して進学した常翔学園高では、高校1年の時に広島国際大体験で薬学部の見学に参加。「充実した設備に驚きましたし、早い段階で薬剤師という仕事のイメージをつかむことができました」と学園内の高大連携に感謝しています。大学では薬学部学生の全国組織「日本薬学生連盟」の事務局長を務めるなど、広い視野で「薬剤師のあり方」を考えてきた森田さんは、広島国際大が重視する他学部の学生と取り組む専門職連携教育(IPE)にも積極的に参加しました。 一昨年1月から週に2日、仕事の後に家庭環境の多様な地元中学生の学習支援をするボランティアをして、仕事以外でも地域を支えています。後輩へは「将来何をするにしても、早くから情報を集め選択肢を多く持つことはいいことです」とアドバイスしてくれました。卒業生版10March, 2018 | No.78 | FLOW特集中高大連携教育

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