常翔学園広報誌 FLOW 77号
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人材の高度化と研究ブランディング推進モノづくりで地域企業と連携を強化社会のニーズに応える農学部や健康スポーツ学部関西版シリコンバレー目指し梅田キャンパスを「未来を創る拠点」に健全な財政の確立を昨年誕生した大阪工大梅田キャンパス「OIT梅田タワー」は、学園全体のシンボリックな「成長の拠点」として順調なスタートを切りました。アメリカのスタンフォード大がシリコンバレーを生んだように、梅田を産・官・民と連携した「未来を創る拠点」「イノベーションの拠点」の“関西版シリコンバレー”に変貌させる可能性も秘めたキャンパスです。18歳人口が減少し始める2018年をいよいよ迎えましたが、この「未来を創る」というテーマに学園全体で取り組んでいかなくてはいけません。具体的には、まず第1に設置各学校での「教育の質的転換」です。2016年度に大阪工大が国の支援事業である大学教育再生加速プログラム(AP)に関西の私立大では唯一選ばれたように、学園の取り組みは評価されており、今後も強力に推進します。第2に教育環境の整備です。大阪工大の大宮キャンパス再整備、摂南大の隣接地を取得する寝屋川キャンパス再整備や農学部設置に伴う枚方キャンパス整備、広島国際大の東広島キャンパス再整備と呉キャンパスの充実などを進めます。この他に「人材の高度化」への対応も急ぎます。少子化、成熟化社会にあって企業は優秀な人材を既に世界から集めています。これは大学でも喫緊のテーマです。そのために産業界や海外を含めた他大学との連携を強めていく必要があります。価値観を共有できるパートナーを見つけ、手をつないでお互いの人材を生かし合うことも必要です。国は第5期科学技術基本計画(2016~2020年度)で、未来社会の姿として「ソサエティー 5.0」を提唱しています。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く5番目の社会で、サイバー空間とフィジカル空間を融合させ、地域、年齢、性別、言語による格差なく快適に暮らせる社会です。実現の鍵としてIoT、ビッグデータ、人工知能、ロボットを挙げています。これは学園内3大学がそれぞれ目指している方向に合致しており、国の施策を見据えながら大学発のイノベーションを追求し、研究ブランディングにつなげていきます。学園内の中高大連携も強化します。文部科学省の高大接続改革も見据え、思考力、判断力、表現力、協働力などを持った学生・生徒を育てるために連携し、学園内高校の優秀な生徒に学園内大学を目指してもらえるような取り組みを進めます。大阪工大の地域企業の新製品や新サービスの開発をサポートする「地域産業支援プラットフォーム(OIT-P)」が昨年11月に文部科学省の「平成29年度私立大学研究ブランディング事業(タイプA【社会展開型】)」に採択されました。ロボティクス&デザイン工学部の大松繁客員教授がコニカミノルタと共同開発した世界初の体臭チェッカー「クンクンボディ(Kunkun body)」が現在大きな注目を集めています。企業と大学が技術やアイデアを組み合わせたオープンイノベーションの好例です。こうした起業化のシーズ(種)となる研究が大阪工大には多く、知的財産学部を抱える強みも生かし、連携する大阪商工会議所の会員企業など地域のモノづくりを支えることを大きな特色として打ち出していきます。また、学部・学科の枠を越えた融合教育も推進し、若手研究者の研究も活性化していきます。摂南大にとって今年は、広がりを持った戦略を進める年になります。1月末には寝屋川キャンパス隣接の日本ペイント跡地の引き渡しがあります。枚方キャンパスに2020年開設する農学部構想も打ち出しました。現在は学生数8000人規模ですが、農学部が加わることで名実ともに大規模の総合大学になります。農業は我が国の大きな課題で、そのための人材育成を目指します。従来の農学部の学科の枠を広げ、「食」や「ビジネス」の学科も加え、農業関連産業の川上から川下までをカバーする新学部になります。更に文系新学部を寝屋川キャンパスに設置する構想も進めていきます。今年20周年を迎える広島国際大ですが、人口減少の時代にあって、特に地方の大学には学生確保のための改革が不可欠です。3キャンパスを2キャンパスに集約する「ユニバーサルキャンパス構想」は、学生のための前向きな改革で、呉キャンパスの大規模整備、東広島キャンパスの再整備を強力に進めていきます。2020年開設を目指す健康スポーツ学部は地域と交流してともに学ぶというユニバーサルキャンパスを中身のあるものにする構想です。スポーツ科学という新しい領域に医療系大学として取り組み、高齢化の中でスポーツや健康という国民の課題に応えていきます。“筋肉質”の安定したオンリーワンの大学に脱皮していきます。大学進学実績が向上している常翔学園中高は「選ばれる学校」という目標にどんどん近付いています。文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定という目標実現も目前です。昨年の「科学の甲子園」大阪府大会入賞も教育改革が進んでいる証です。今後もICT教育の推進などで教員の指導力を更に向上させていきます。常翔啓光学園中高はクライミングウォールとミューズギャラリーが昨年完成し、スポーツと音楽の魅力が生まれて学校の大きな特色になりました。中学校では今春、未来探求コースというキャリア教育、体験学習などを通じて将来をデザインさせるコースを新設します。学園内大学との連携も強め、勉強とクラブ活動のバランスの取れた教育を目指していきます。学校間の競争はますます激化しており、危機意識を持った教職員の総力戦が求められる時代です。学園の発展に必要な持続可能で盤石な財政基盤を確保するため、教職員の更なる教育への情熱と経営的感覚の向上に取り組みます。卒業生、保護者の皆様にはご寄付など継続的なご支援もお願いしてまいります。内需が落ち込み企業はグローバルな視点を持たないと生き残れず、そのための人材を求めています。多様な能力を身につけ世界で活躍できる人材を輩出することが長期ビジョン「J-Vision22」にある「次代の要請に応える」ことです。これからも学生・生徒をはじめ保護者、卒業生の皆様の期待にお応えできるように改革に邁進してまいりますので、一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。02January, 2018 | No.77 | FLOW
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