常翔学園広報誌 FLOW 77号
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14January, 2018 | No.77 | FLOWイヌ年最初の今号の表紙は、広島国際大リハビリテーション支援学科義肢装具学専攻4年の藤田宗一郎さんと、藤田さんに義足を作ってもらっている犬のロンド君です。ロンド君は推定6歳のオスの雑種。一昨年の春、広島県内山中に捨てられイノシシ用の罠にはまっているところを発見され、動物愛護センターに収容されました。その後、同県神石高原町にある犬の保護施設「ピースワンコ・ジャパン」に保護されて殺処分を免れましたが、前脚2本のけがはひどく、緊急手術で右前脚は根元から切断、左の前脚も指を切断しました。這うことしかできないため左前脚用の義足を作ってもらい、ようやく3本足で歩けるようになりました。しかし、それも1年以上経つと古くなり、新しい義足がそろそろ必要になっていました。そんな時、藤田さんが新しい義足作りを申し出たのです。犬の殺処分ゼロに取り組むピースワンコ・ジャパンのプロジェクトリーダー大西純子さんは「こうした取り組みに関心を持ってくれる人は少ないのに、義足作りまで協力してくれる藤田さんは本当に貴重です」と話します。10年前に大阪の大学でスポーツ経営学などを学んでいた藤田さんは、ライフセービングの活動のつながりで、両前肢をサメに食いちぎられたメスのウミガメ「悠ちゃん」に人工ヒレを取り付けるプロジェクトにかかわりました。実は現在神戸市の須磨海浜水族園で泳ぐ悠ちゃんのヒレは藤田さんが設計したものです。その経験から動物たちの義足や義手作りを目指すようになり、それを学べる広島国際大に入り直したのです。といっても大学の授業はあくまで人間用の義肢装具が中心。授業とは別に動物のことを知るために獣医学の本で独学し、友達の飼い猫の歩き方のデータを取るなどこつこつと研究も重ねてきました。昨春、その仕上げとして卒業研究で犬の義足に取り組むことを決め、ピースワンコ・ジャパンに連絡を取ったのです。「障害のある犬は殺処分されやすいという厳しい現実があり、義足を広めることで、そうした命を少しでも救うことができれば」と思いを語ります。新しくするだけでなく、より歩きやすい義足を目標に1本目に試作したのはブレード式の義足。納得できずに2本目はゴム底に。わずか47gと元の義足の半分以下の軽さを実現し、昨年12月にロンド君に装着してみると、その軽さに歩幅が広がり、飼育員も「本当に歩きやすそうです」と評価してくれました。心臓病も抱えて長い時間歩けないロンド君だけに、軽くなった義足は大きな味方です。藤田さんは「人間なら装着した具合を細かく話してくれますが、犬は話せないのでよく観察するしかなく、それが一番の苦労です」と打ち明けます。卒業するまで更なる改善を進めるという藤田さん。愛知県内の義肢装具製作会社に就職した後もロンド君との絆は切れそうにありません。広島国際大学ピースワンコ・ジャパンの施設でロンド君に新しい義足を装着する藤田さん(右)前脚を失くした犬のロンド君に義足を声なき命に寄り添う義肢装具学専攻4年の藤田さんピースワンコ・ジャパンの大西さんに義足の説明をする藤田さん(右)の人表紙ラグビー部は11月19日、「第97回全国高等学校ラグビーフットボール大会」大阪府予選第3地区の決勝に出場。大阪産業大附属高を28-22で制し、3年連続36回目の全国大会進出を決めました。前半は7-10とリードされましたが、後半早々トライを決め逆転。守備でも粘りを見せて相手に食らい付き、一進一退の攻防を制しました。全国大会の初戦は12月28日に仙台育英学園高と、決勝戦は1月8日に東大阪市花園ラグビー場で行われます。常翔学園高校ラグビー部が大阪府予選で優勝3年連続36回目の全国大会出場へキンチョウスタジアムで躍動した常翔学園高
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