三浦 英恵さん

社会福祉法人あと会・広島市阿戸・矢野地域包括支援センター 相談員

大好きだったおばあちゃんに接するように高齢者をケア

Graduate Voice 活躍する卒業生

FLOW No.75

Profile
みうら・はなえ 在学中に社会福祉士と介護福祉士の国家資格を取得し、2016年広島国際大学医療福祉学科卒。同年社会福祉法人あと会入職。介護老人保健施設で介護士として勤務後、2017年7月から現職。広島県出身。
母方の祖母にかわいがられて「おばあちゃん子だった」こともあって、高齢者を支える介護福祉を学ぼうと広島国際大医療福祉学科に進んだ三浦英恵さん。昨春の卒業後、広島市の社会福祉法人あと会に入職してまだ2年目ですが、7月からは念願だった地域包括支援センター相談員の仕事に就きました。それまでは老人保健施設で介護士として働きましたが、大学の授業だけでは想像もつかないショッキングな経験の連続だったと言います。

介護職に関心があったので、在学中に介護福祉士の国家資格を取ろうと思っていましたが、併せて資格を取るつもりだった社会福祉士の仕事に次第に魅力を感じるようになったと言います。「3年の実習で地域包括支援センターに行ったのですが、社会福祉士の相談員の仕事のすごさに圧倒されました」。地域の高齢者のどんな相談にも臨機応変にてきぱきと対応し、時には老人虐待のような深刻な問題にも当たる姿にあこがれました。「その夢だった相談員にこんなに早くなれたのですから、早く一人前になれるよう先輩たちについていきながら毎日が勉強です」と目を輝かせます。入職して1年余りでの相談員抜擢は、あと会では異例のことでした。

地域包括支援センターは、施設介護と違って地域全体の高齢者のケアをするのが大きな仕事です。自宅で暮らす高齢者が施設に入らなくてもいいように(介護予防)、さまざまな相談業務、虐待や消費者トラブルから守る権利擁護、地域でケアをするネットワーク作り、個々の高齢者の介護予防プラン作り、など多岐に及びます。社会福祉士の相談員は、主に権利擁護を担当しますが、センター内の保健師やケアマネジャーの相談員とも連携しチームプレイでさまざまな問題に対処します。三浦さんは「地域の人と信頼関係を築いている職場の先輩方が身近な目標です」と話します。

今後相談員の仕事を続けるために、介護老人保健施設での介護士の仕事は貴重な経験になりそうです。「大学で勉強はしていたのですが、現場でやってみないと分からないことだらけでした。トイレの介助だけでもお年寄り一人一人でやり方が違います。それぞれの日々の暮らしをよく見ていないと対応できないことが多いです」。時にはきつい言葉で叱られて落ち込むこともありましたが、「『ありがとね』『きれいになったね』などと声を掛けてもらえると大きなパワーになりました」と振り返ります。毎日接していた人が亡くなった時は、大きなショックでしたが、「命を預かっている仕事だと、改めて気が引き締まりました」と話します。7月に転勤が決まると、担当の高齢者が別れを惜しんでくれました。「大好きなお年寄りに囲まれた本当に中身の濃い1年」が大きな財産になりました。

入職後の1年はあっという間に過ぎましたが、同期で同じ広島国際大出身の友達と休日にひたすらおしゃべりするのが三浦さんの息抜きです。高校時代はあと少しでインターハイに出られるまで水泳に打ち込んだスポーツウーマンですが、やはり介護士の仕事は疲れることも多く、「介護の悩みを友達同士で聞き合うだけで気持ちが楽になりました」。職場にも母校の卒業生が多く、何かと気に掛けてくれます。"広国大ファミリー"が三浦さんの大きな支えになっています。その大学の後輩たちへは「早い時期に自分が何をしたいのか具体的にイメージして、目標に向かってください」とアドバイスします。

母が介護していた祖母は6月に亡くなりましたが、看取りの時期に三浦さんも手伝うことができました。「介護の仕事の経験を少しは役に立てることができました」。おばあちゃん子として最後に恩返しができました。

活躍する卒業生